自然素材主義研究所

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自然素材ストーリー

農業の新しいカタチ「LED菜園」

農業の新しいカタチ「LED菜園」

LED菜園ってどんなもの?

食料自給率(供給熱量ベース)はTPP参加により現在の約40%から約27%へと低下することが見積もられています[1]。また、農業従事者数は平成2年から平成24年で約120万人減少し[2]、新規就農者数も平成18年の8万1千人から、5万8千人(平成23年)へと減少しています[3]。結果として、農業従事者の高齢化が進行しており、平成24年では65歳以上層が60%を占めています[3]。こうした背景から、国産の農作物の安定した生産方法を模索することは、現在のわが国の課題の一つとなっています。そんな中、新しい野菜の生産方法が広がってきています。それは、省エネ性が高く寿命の長いLED(発光ダイオード)照明を用いた、LED菜園という試みです。温度および湿度が管理された施設の中でLEDを光源として野菜を水耕栽培するもので、そのシステムを体感できる「新横浜LED菜園見学会」に参加してまいりました。

大規模植物工場ショールーム「新横浜LED菜園」は、システムを開発、製造している株式会社キーストーンテクノロジーと同社の栽培装置を販売する株式会社アグリ王が共同で運営しており、2013年4月から稼働しています。「新横浜LED菜園」は、ガラス張りの面から、内部設備や栽培の様子を見ることができるショールーム型の植物工場で(写真1・上)、内部には植物工場用のLED植物栽培ユニット「AGRI Oh! (アグリ王)」が12台導入されています。
LED菜園は、栽培できる野菜の品種が現状では限られている(葉物野菜やハーブが中心)などの制約もある一方、天候に左右されず、収穫までの時間が短縮でき(レタスの場合約1/3に短縮)、狭いスペースでも多くの収穫が得られるなどの利点を持っています。また、露地栽培に比べ衛生管理や病害虫の侵入対策に注意が必要ですが、徹底することにより無農薬で野菜を生産することができます。

LED育ちの野菜たち

生産された野菜は、一般的な野菜と同等の栄養価をもち、ポリフェノールなどの機能性成分は露地栽培の野菜より多く含まれるものもあるとのこと。また、香りが高く、柔らかいといった特徴を持っているそうです。見学会では、野菜の試食もありましたが、確かに香り豊かで、柔らかな食感でした。また、目にも鮮やかな、生き生きとした色合いで、いわゆる「人工的」「ひ弱」といった印象は全くありませんでした(写真2、写真3)。

農業の新しいカタチ「LED菜園」
農業の新しいカタチ「LED菜園」

さらに、土壌を用いない水耕栽培により生産されるため、付着した泥を洗う手間がかからず、また葉の大きさがそろいやすいという点で扱いやすく、レストランなどの飲食店からの評価が高いそうです。実際に、飲食店の店内や外食チェーン店の食品加工場(株式会社コロワイドMD)などにも導入され、地産地消ならぬ「店産店消」を実現し、物流コストやフードマイレージの削減にも一役買っています。

これからの農業

これまでの農業は、収穫量が天候に左右され、収入が安定せず、さらに無農薬にするためには多大な労力も必要であるという問題点がありました。その点LED菜園は、電力こそ使用するものの、完全無農薬野菜の安定した収穫が望めます。近年の気候の変化やさまざまな災害の発生を考えたとき、農業のカタチを多様化させることは、リスクを小さくすることにもつながります。

このように、従来の農法に加え、LEDを活用した野菜の生産も併行して行なうことは、安心、安全な国産野菜の安定供給にもつながる試みの一つといえます。100%自然素材主義では、これからも日本の食と農林漁業の再生に関する、さまざまな試みをレポートしてまいります。

■引用文献
[1] 関税撤廃した場合の経済効果についての政府統一試算(農林水産省、平成25年3月公表)
(別紙)農林水産物への影響試算の計算方法について, p18
[2] 平成24年度 食料・農業・農村白書(農林水産省、平成25年6月11日公表)
参考統計表, p53
[3] 平成24年度 食料・農業・農村白書(農林水産省、平成25年6月11日公表)
  概要版, p13–14

100%自然素材主義 編集部

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