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通信講座No.004 「排水パイプが詰まることはありませんか?」

講座No.004-1 「排水パイプの構造とつまりの原因」

住宅から出る排水は次の3つに分けられます。

・汚水…  トイレの排水
・雑排水…  浴室、洗面所、洗濯、台所の排水
・雨水…  建物の屋根に落ちた雨水と敷地内に落ちた雨水

ちなみに、U字溝などの水路への排水管工事なら個人での施工が可能ですが、汚水管など下水道への配管の場合は各自治体の排水設備工事指定店より自治体へ工事申請を提出し、受理後に工事を着工することとなっており、個人で勝手に工事をすると法律違反になります。(下水本管完備の場合)また、これらの配管工事を行うにあたっては、下水道法とはじめとする条例やその他関係諸規程の遵守が義務付けられています。さらには、どこに設置するのか(屋内か屋外)、接続される設備機器は何か(トイレ、洗面所、浴室、台所など)、どんな施設か(一般戸建住宅かマンションや公共施設か)などにより、パイプの材質や径の大きさ、接続方法、設置勾配などの基準があります。

このように、規程や基準に従って正しく施工がされていたとしても、排水パイプの劣化はやむを得ません。劣化の症状は、臭いがでる、詰まる、サビの発生などであらわれます。また、排水パイプの詰まりや汚れを放置しておくことは、臭いや衛生面の問題だけではなく、排水パイプのさらなる腐食へとつながりかねません。劣化が進んで床下などで漏れたり、パイプが外れたりすると、不衛生ですし悪臭のもとにもなり、放っておけば床回りが腐ってしまうこともあります。特に、隣家と段差のある敷地では、地中の排水パイプが割れたり外れたりして漏水するようだと地盤沈下や、土留めが倒れたりクラックが入ったりして、被害が大きくなる可能性があるので要注意です。
排水パイプの寿命は、材質や使用具合・場所、水質などによって異なります。例えば、キッチンでは、浴室や洗面所に比べ有機物や脂肪分を多く使うため、排水パイプの腐食は早く進みます。一般には、キッチン系統で15年、洗面所・浴室系統で30年、トイレ系統で35年と言われています。また、材質では、鋼管よりも鋼管と樹脂の複合タイプの方が寿命が長く、現在塩ビ管が一番腐食の心配が少ない材質として多用されています。ただし、紫外線や圧がかかると劣化しやすいのが難点といえます。
排水パイプのトラブルを防ぐためには、日頃の予防、定期的なメンテナンス、そして、適切な時期に交換することによって被害を大きくしないようにしましょう。マンションなどでの漏水は、被害も大きくなりやすいので、定期的な点検とメンテナンスをしっかり行いましょう。

「排水パイプの構造とつまりの原因」では、まず排水パイプの構造について説明します。
図1は、下水本管完備の場合、家全体から公共下水道までの排水パイプがどのように設置されているか大まかに表しています。図で示すように、一般的に雨水は雑排水・汚水とは違う別のマンホールにつながれています。マンホールの手前、敷地内には、排水マスがあります。排水マスとは、雨水や汚水などの排水を流す排水パイプにゴミや汚泥が流れ込み詰まると掘り起こして工事をするなど手間が掛かるため、それを防ぐ目的で排水パイプの曲点や合流部、排水勾配が変わるところなどの詰まり易い部位に蓋付の枡を埋設し、ゴミや汚泥などは枡に溜まって水だけが配水管を流れるようにした構造物のことです。排水会所とも呼ばれます。排水マスの材質や形状にはいろいろな種類があります。例えば、図2のようにインバート枡と呼ばれるものは、汚物が停滞しないよう半円形の溝が切ってあります。以前はコンクリート製の排水マスが多く使われましたが、老朽化して割れることや底が抜けることも多く、現在では劣化に強い塩化ビニール製やポリプロピレン製が多用されています。また、狭少地にも対応できる小口径桝が普及しています。図2~5は、いろいろな排水マスの様子です。

「排水パイプの構造とつまりの原因」

排水マスの掃除を怠ると悪臭や害虫の繁殖の原因になり、最悪配水管が詰まって敷地を掘り起こさなければいけなくなることもあるので、定期的な掃除が必要です。
排水パイプは、施工や建物形状の都合で予想以上に曲がりが多くなっています。この曲がり部分にわずかな髪の毛などの異物が絡むと、後から流れてくる微細な異物を停滞させる原因になり、普通なら通り過ぎていく小さなものまでも留まらせて・・・と、まさにチリも積もれば的に詰まりが生じます。
汚水や雑排水用のパイプがつながれている設備機器には、悪臭と害虫防止のためにそれぞれの器具トラップが設置されています。トラップの中には、常に水が溜まっていて(この水を封水といいます)、パイプを水で塞ぐ機能を持ちます。この封水が乾燥してなくなると、トラップの機能を失い、臭気や害虫が上がってくる場合がありますので、常に適量の水を張っておく必要があります。
図6は、いろいろな種類のトラップとその特徴です。

「排水パイプの構造とつまりの原因」

サイフォン式トラップ(管トラップ)

排水パイプをS字型やP字型などに形成し、排水が満水状態で通過するときのサイフォン作用を利用し水封部分のゴミを吸い出す自浄作用があるが、破封しやすい欠点があります。

①Sトラップ

排水パイプを床に逃がすようにしたもので、自己サイフォン現象を起こしやすく破封しやすい。

②Pトラップ

排水パイプを壁に逃がすようにしたもので、一般に広く用いられ他の管トラップに比べ封水が最も安定している。

非サイフォン式トラップ(床排水トラップ)

容器内に水をためて水封部としたもので、破封されにくい特徴があります。

③わんトラップ

ベルトラップともいい、椀形のふたをかぶせて封水をつくるもので、これを取り外すと機能しなくなりゴミなども詰まりやすいので、椀の点検や清掃が必要である。

④ドラムトラップ

封水部分がドラム上(胴状)になっていて、多量の水をためることができるので破封されにくい。自浄作用がないので、掃除口が必要となる。

※自己サイフォン現象とは、ため水を一気に流すとサイフォン現象が起こってトラップ内の水を吸い出してしまうこと。

このように、トラップの機能で通常は臭気や害虫の侵入を防ぎ、トラップ内の自浄作用により詰まりが生じないようになっています。しかし、油、石鹸カス、ゴミ、毛髪などが少しずつ溜まって固まると突然水の流れが悪くなったり、詰まったりするのです。その主な原因は下記の通りです。

キッチンの場合

キッチンの詰まりはほとんどが油分の固形化によるものです。排水パイプは緩やかな勾配により排水を流す仕組みになっていますが、少量の排水の場合は十分な水かさが確保されず、一緒に流れてしまった異物を途中で停滞させることもあります。油分は水よりも粘性が高いため排水パイプに付着しやすく、停滞した油分が固形化していきます。固形といってもヨーグルトや豆腐の様な状態で、これが増えると排水パイプを塞ぐため、詰まりが表面化します。

浴室の場合

洗い場や浴槽の排水のつまりの原因は、主に人のアカ、石鹸カス、髪の毛によるものです。油分を含んだ整髪料なども原因のひとつとなります。排水と一緒に流された油分やアカが排水パイプに付着します。付着した汚れに雑菌が繁殖し、ヌメリが生じて汚れが粘着しやすい状態になります。やがて、パイプに付着した汚れに髪の毛が引っかかり、さらに油分やアカ、石鹸カスが引っかかり・・・と汚れの層や塊が大きくなっていきます。

洗面台の場合

洗面台のつまりの原因は、主に髪の毛や石鹸カス、整髪料や化粧品類等の油分などです。特に最近の洗面台には洗髪用のシャワーが付いているものも多く、髪の毛や整髪料が付着する機会も増えています。また、女性が使うクレンジングオイルなども原因のひとつです。まれに歯磨き粉のキャップや、ヘアピン、洗顔料などのボトルキャップなどを気付かずに流してしまい、詰まらせる事もあるでしょう。

トイレの場合

水以外のものを流すトイレでは、使い方次第では一瞬にして詰まりを起こすことがあります。便器はその内部に多くの曲がりがあり、中間には少し狭くなっている部分もあります。そのため、一度に多くのトイレットペーパーを流してしまうと便器内部で詰まることがあります。トイレットペーパー以外のものを流したり(ティッシュペーパーなど)、うっかりポケットから物を落として気付かずに流したり・・・という原因がほとんどです。最近のトイレは節水タイプで以前の水量の半分以下しか使用しませんので、ティッシュペーパーを使用した場合は必ず「大」で流水するようになっています。

その他

ユーティリティーやベランダに設置されたシンクの詰まりの原因は、異物を流してしまったり、泥や小石などによるものがほとんどです。例えば、金魚などの水槽の洗浄の際に小石が流れてしまってそれがパイプの途中に留まっていたところに、小さなゴミが積もり積もって水が流れなくなったり、ユーティリティーのシンクで運動靴やひどく汚れた雑巾を洗ったことにより、泥やゴミが流れきらずに溜まっていたためにゴミが詰まりやすくなったりということが多いようです。

以上のように、日頃の使い方が詰まりの原因となっている場合が多いようです。そこで、下記にあげた点に気をつけ、日頃から詰まりの原因をつくらないようにしましょう。

  • 食器やフライパン・鍋についた油はある程度ふき取ってから洗うようにしましょう。
  • 天ぷら油などはパイプに流さないようにします。食用油固化剤を使うか、紙などにしみ込ませてゴミとして廃棄しましょう。
  • 排水口にあるゴミ受けかごや網皿に水切りネットなどを取り付け、できるだけゴミや髪の毛などを流さないようにしましょう。
  • 定期的な掃除を心がけましょう。使用状況にもよりますが、1週間に1回くらい行うのが理想的です。キッチンや洗面所なら、シンクの1/2~2/3くらいまで、40℃~50℃のお湯をためて、一気に流すだけでもパイプに付着した油などを溶かし流す効果があります。ためたお湯に酸素系漂白剤を溶いて流せばより効果的です。漂白剤を使用した場合は、パイプを傷つけないために仕上げに水をたっぷり流し込み漂白剤を洗い流します。
  • パイプ用洗浄剤を使用して清掃する場合は、使用説明書を読んで正しく使いましょう。これらの洗剤はあくまでも化学薬品です。必要以上の使用量や間違った使用方法(酸性洗剤との併用や必要以上長い時間の放置など)は、排水パイプを劣化させることもあるだけでなく、人体にも悪影響を与えます。必ず換気をしながらするようにしましょう。

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