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通信講座No.031 「自然エネルギーで夏の暑さ対策をしてみませんか?」

講座No.031-2 「気化作用で涼しく」

前講座では、環境省が発表したヒートアイランド現象に対する適応策の効果調査に基づいて、夏の暑さ対策としてすまいの緑化について説明しました。今回は、もう1つの効果的な適応策、保水について考えて見ましょう。

さて、前講座に示した表のとおり、ヒートアイランド現象に対する対応策として保水性舗装は、街路樹に次いで高い効果がありました。これは、水の気化により表面温度が低下することによる、輻射熱の改善や気温低下の効果と推測されます。つまり、気化熱の作用が、熱ストレスを低減するのです。
気化作用で涼しく図1は、保水性舗装技術研究会によるもので、それによると一般のアスファルト舗装を比較した場合に保水性舗装は、上空数mの位置で1℃程度の大気温度の上昇抑制効果が期待できるとされています。また、歩行者環境に注目した場合には、ベビーカーに乗った幼児の高さに相当する50cmの位置で2℃程度の大気温度の上昇抑制効果が期待できるそうです。
それでは、この保水による効果を住まいに導入する方法を説明しましょう。

◆犬ばしりやアプローチに保水性舗装材を使う

家の周りやアプローチには、雑草を防ぎ、雨で足元が悪くなることを避けるために、コンクリートやタイル、敷石が一般的に使われています。確かにその部分には雑草が生えませんし、雨が降っても土で汚れることはありません。しかし、コンクリートやタイルなどは熱伝導率が高いため、夏は熱く冬は冷たくなりやすいというデメリットもあります。室内のことではないので、普段は気にしていない人も多いと思いますが、家の中の温熱環境は外気温度の影響を大きく受けますので、家の周りの温度は実は重要なことなのです。図2は家の部位による熱の流出入割合を示したものですが、夏も冬も熱の流出入は窓と外壁の割合が非常に大きくなっています。前講座で説明したように、日差しを遮る緑のカーテンの効果が高くなるのもそのためですが、家の中の温度を変えるのは、日差しだけではなく外気の温度も同様です。特に、断熱対策が不十分の家の場合、外気温の影響を受けやすくなります。そこで、家の周りの外気温の上昇を押さえるために、犬ばしりやアプローチに気化熱により表面温度の上昇を抑える効果のある保水性舗装材を使うことをお勧めします。

気化作用で涼しく

□舗装材の選び方

保水性の高い舗装材にはいろいろあります。保水性アスファルトや保水性ブロックなど、形状も主原料もさまざまですが、一般的には多孔質な素材を混入したものが多いようです。製品の主原料や施工方法の違いによって強度に差があるため、本来は敷設する場所や用途に合わせた舗装材を選ぶ必要があります。しかし、家のまわりに使用する舗装材は人の歩行に耐えられればよいのですから、強度をポイントにするのではなく、環境に優しい自然素材を原料としたものが良いでしょう。保水性舗装材が十分な効果を発揮するためには、保水した水分をゆっくりと蒸発することが大切です。長時間継続する水分の蒸発とともに、まわりの空気質に悪影響を与えることがあってはいけません。さらに、保水性舗装材の多くは、透水性を合わせ持つものが多くありますので、舗装材を浸透した水が土壌に悪影響を与えてもいけません。そのためにも、環境にやさしい自然素材を選ぶとよいでしょう。図3と図4は保水性舗装材の例で、マグマセラミック・シラスを原料とした自然素材100%の舗装材とたたき材です。多孔質なシラスの特性を活かした保湿性と極めて高い透水能力を持ち、水たまりができず、濡れてもすべりにくく、安全で歩きやすい舗材です。

気化作用で涼しく

◆外壁の気化熱を利用する

熱の流入割合が多い外壁にも、保水性がある素材を使用すれば、気化熱作用で温度上昇を抑制することができます。もちろん、雨を内部に侵入させないという外壁の基本的防水機能を保ちつつ、壁材表面に保水性がある材質であれば、打ち水などにより水を染み込ませその気化により冷却作用が生じます。それには、デザイン性や耐候性など基本的条件を備えた上で、優れた防水機能と保水性、そしてそれらの機能の耐久性に優れている壁材でなければなりません。例えば、マグマセラミック・シラスを原料とした自然素材100%のそとん壁Wは、優れた防水機能と保水性、耐候性を併せ持った外壁材で、図5はその施工例です。

気化作用で涼しく図5の壁が濡れ色をしているのは、自動打ち水システム「クルクール」により、外壁に保水させているからです。この打ち水システムにより、壁表面温度で5~10℃、室内温度で3~4℃低くすることが可能です。図6は、この打ち水システムの実証実験の熱画像です。左下の実験棟は一般的なモルタル外壁、右下の実験棟はそとん壁Wの外壁に打ち水システムにより保水させた状態です。外壁表面温度で、5~10℃差があることがよく分かります。

気化作用で涼しく

◆保水性と気化熱利用の注意点

・保水性のある舗装材や外壁材を選ぶ時に気をつけなければならないのが、その地方の気候条件に耐えられる耐久性があるかどうかです。さまざまな建材や設備には寒冷地仕様というのがあり、凍結溶解に耐えられるかどうかで仕様が分類されています。その土地の気候条件に適さないものを使うと早期劣化の原因となります。例えば、前述した保水性のある外壁材・そとん壁Wは、気温-18度と+23度(温度差41度)の凍結融解テストを繰り返し連続90回行った結果、変化は一切見られず、シラスのもつ多孔質と完全無機質による物質安定性が実証されています。

・気化熱作用の効果を得るために、他のエネルギーを使うのでは意味がありません。水道水は貴重・自然資源であり、多くのエネルギーを要して私たちのもとに届けられています。打ち水のために、水道水を多量に使うのでは環境に優しいとはいえません。できるだけ、残り湯や雨水を利用するようにしましょう。雨水を利用するのに便利な雨水タンクはさまざまな大きさのものが、いろいろなメーカーから発売されています。ホームセンターや通販で購入し、自分で設置できる手軽なものから、地中に埋め込みタンクの上の地表を有効利用できるものなど、形も強度もさまざまです。雨水をどう利用するかをよく考え、用途とライフスタイルにあった容量と設置方法を選びましょう。ちなみに、1坪タイプの浴室の使われている浴槽を満水にしたとして240~250リットルです。夏に十分の水を確保するためには、かなりの大きさのタンクが必要になります。タンクが大きくなると設置スペースの問題だけではなく、設置場所の安全のために基礎工事も必要になりますので、まずは工務店やリフォーム会社に相談するようにしましょう。

・気化熱による冷却もしくは温度上昇抑止は、さまざまな実験で確認できていますが、同時に相対湿度が上がることもわかっています。家の周りに適度な通風を確保しないと、温度が下がっても湿度のせいで、体感温度は上がってしまいます。庭木の剪定やフェンスの見直しなど風の通り道をしっかり確認するようにしましょう。

・打ち水は、日中の暑いときではなく、朝夕に行うと効果的です。

前講座で説明した緑化による蒸散作用も、今回説明した気化熱による冷却作用も自然の力によるものです。最新の自然素材活用技術を住まいに取り入れながら、自然エネルギーを上手に利用して、省エネで環境にやさしい夏の暑さ対策にチャレンジしてみましょう。

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