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通信講座No.032 「部屋全体がくすんで、暗く感じていませんか?」

講座No.032-1 「照明のリフレッシュで部屋も気分も快適に」

15年以上、照明器具や内装の取替えを行っていなかったり、家族にタバコを吸う人がいたりすると、ほとんどの場合、家の中全体がくすんで暗く感じられます。たとえ、こまめに掃除をしていても、照明器具や内装材の経年変化により、くすんで見えるようになるのは仕方がないことです。
さらに、安全性の観点からも、古い照明器具は交換する方が望ましいでしょう。各メーカーや社団法人日本照明器具工業会では、安全性の確保のために、照明器具の交換時期は8~10年が目安としています。蛍光灯の照明器具についている安定器は、平均寿命40,000時間(8~10年)です。つまり、外観に異常がなくても内部の劣化は進行しているのです。同時に、ソケット、スイッチ、パッキンなども劣化してきます。

そこで、暗く感じる部屋を快適にするために、まずは照明のリフォームをお薦めします。
では、照明リフォームを行う際のポイントを説明しましょう。

◆省エネ性を考える

照明のリフレッシュで部屋も気分も快適に家庭で消費される電力では、図1で示すとおり照明器具が第3位で約16%にもなります。例えば、1ヶ月の電気代が10,000円だとすると、照明には1,600円も払っていることになり、年間にすれば、19,200円にもなるということです。
地球温暖化の原因にもなるCO2の排出量削減や節電のためにも、照明のリフォームで考えなくてはならないのが、まずは省エネ性でしょう。

□LED照明

照明の省エネといえば、だれもが思いつくのがLED照明ではないでしょうか。東日本大震災の原発事故による供給電力不足から、多くの人がLED電球を買い求め、一時期は入手困難な状況になったほどでした。各メーカーの努力もあり、現在では生産も安定し、最近ではコンピニエンスストアでも購入できるようになっています。 では、まずLED照明のしくみと特性について確認しましょう。
LEDは、「Lighting Emitting Diode(発光ダイオード)」の頭文字の略称で、電気を流すと発光する半導体の一種です。これを照明に応用したものがLED照明です。灯火、白熱灯、蛍光灯に次ぐ第4世代のあかりと言われています。急速な技術革新で、シーリングライトからスポットライト、ダウンライト、プラケット、ペンダントなど、家まるごとLED照明でそろえることができるようになってきました。寿命が長く、消費電力が少ない、器具がコンパクト、調光・点滅が自在などの特徴があり、新しい住宅照明として普及が急速に進んでいます。また、LED照明は熱線や紫外線がほとんど含まれていないため、絵画などの美術品や花・植物などを傷めることがなく、展示用のあかりとしても用いられています。
住宅でLEDを使用する際、このようなLEDの特性を活かす場所に、まずは導入すると良いでしょう。例えば、省エネ性の高さを活かして長時間点灯することの多い常夜灯や足元灯、玄関のポーチライト、外構照明、また、長寿命を活かしてメンテナンスに苦労する吹き抜け部分や階段室の高い天井のシーリングライト、さらに指向性の高さを活かしたダウンライト、熱線を出さないので手元を照らす読書灯のようなスタンド照明などいろいろな使い方ができます。LEDのコンパクトさがそのまま活かされた薄型照明器具や浅いダウンライト、柱・天井・ドアなどの部材に組み込んだ使い方など、デザイン性やインテリア性の高い空間づくりも可能です。調光可能型もありますので、シーンに合わせた空間の演出もできます。
図2は、LEDの省エネ性と経済性の目安をまとめたものです。

照明のリフレッシュで部屋も気分も快適に

LEDの普及率が高まるにつれ価格は下がり、電気代、取替えランプ代なども加味して考えると経済的なメリットがだいぶ感じられるようになってきました。図3は、ある照明メーカーが蛍光灯及び白熱灯から買い替えた場合の経済的メリットと環境貢献度を示したものです。リフォームの際の参考にすると良いでしょう。

照明のリフレッシュで部屋も気分も快適に

□電球型蛍光ランプまたは長寿命蛍光灯

LEDは予算的に難しいと思われる人におすすめしたいのが、電球型蛍光ランプや長寿命蛍光灯です。電球形も丸形もありますので、ダウンライトやシーリングライトにも使えます。自在に調光可能なものや、明るさを検知して自動調光するもの、生体リズムに適した光と音で目覚ましセット時間の30分前から、徐々に明るくするものなど、機能が充実した製品もたくさんあり、デザインも豊富です。図4は、白熱灯と電球形蛍光ランプの買換えメリットを示しています。また、図5はある照明メーカーが示した白熱灯を長寿命蛍光灯へ買い換えるメリットです。省エネ性が高いうえに、LED照明器具よりも価格が低いため、メリットも大きくなります。

照明のリフレッシュで部屋も気分も快適に

照明のリフレッシュで部屋も気分も快適に

□Hfランプ

Hfランプ(高周波点灯専用ランプ)用インバーター式蛍光灯器具も省エネ効果の高い製品です。インバーター式は、点灯がすばやく「ジー」という音も少ないうえに、蛍光灯特有のチラツキを抑えて目に優しく、同じ電気代で明るさが約1.7倍とメーカーは省エネ性を示しています。調光可能なものもありますので、空間の演出と節電が自在にできます。

◆部屋の用途にあった明るさを考える

照明は部屋を明るくするという機能だけではありません。使い方次第でより快適な生活、住まいづくりに役立てることができます。そのためには、照明の性質である明るさや見え方についての知識が必要です。

□明るさの基準

明るさは、主に照度や光色という基準で表します。照度(lx=ルクス)とは、光源によって照らされている面の明るさを表わす単位です。また、光色は色温度=k(ケルビン)という単位で表わします。色温度が高い光は、青っぽく感じ、低い色は赤っぽい光として感じます。
そして、同じ照度でも光源の光色によって明るさ感は異なります。たとえば、同じ照度の蛍光灯でも白色と電球色を比べた場合、多くの人が白色光のほうが明るいと感じます。特に私たち日本人は、さわやかで活動的な印象を受ける白色光を好む傾向があるそうです。部屋の用途によって適切な照度があります、JIS規格では、図6のように照度基準が定められています。

照明のリフレッシュで部屋も気分も快適に

高齢者住宅では、若年者の住む空間の2~3倍の明るさが必要と言われますが、それはあくまでも視作業をする場合のことで、全般照明を2~3倍にする必要はありません。逆に、高齢者は水晶体内の不純物によって光が拡散されて、まぶしさに敏感になるので明るすぎる照明はかえって不快に感じることもあります。高齢者が真っ白よりもベージュ系を好む傾向にあるのは、このためだともいわれています。
ちなみに、自然界の明るさを照度計で測ると下記のような結果がでています。
・晴れた日中の直射日光:10万ルクス
・日中の木陰(壁の輪郭線から1m内側):1万ルクス
・室内の窓から1m内側:3千~5千ルクス
・室内の北窓の中央:100~200ルクス
・満月の月明かり:0.2ルクス
しかし、ここで問題になるのが、光源による色の見え方を評価する演色性(Ra=アール)です。演色性については、次項「色の見え方」で詳しく説明しますが、基準光で照らしたときの色の見え方を100とした場合、どのくらい基準と違いがあるかを数値で示すことです。つまり、色がどのくらい自然に見えているかということがRaで分かります。色が見えにくい例で言えば、トンネルの照明があります。多くのトンネルでは高圧ナトリウムランプが使われていますが、このランプの演色性はRa20しかありません。白熱灯などの電球はRa100で、一般的白色蛍光灯はRa60ほどです。つまり、蛍光灯の下では、白熱灯などの電球よりも本来の色が見えにくい状態にあるのです。そうなると、もっとはっきり見るために、図6のJIS規格よりも明るい照度を求めてしまいがちです。
このように明るさは、照度と光色、演色性によって見え方や感じ方が変わるので、照明のリフォームを成功させるには、用途にあった適切な明るさについてよく考えることが大切です。

□色の見え方

前述の「明るさの基準」でも触れましたが、照明には色の見え方を評価する演色性という数値があります。演色評価数とは、図7に示した試験色を、試料光源と基準光で照明したときの色ずれの大きさを数値化したもので、基準光で見たときを100とし、色ずれが大きくなるにしたがって数値が小さくなります。すなわち演色性が良いランプは、演色評価数の数値が大きく、演色性の劣るランプは数値が小さくなります。しかし、演色評価数はその基準光とのずれの方向が好ましい方向にあるかどうかに関係なく数値化されていますので、演色評価数が低くても好ましい色に見える場合もあります。また、演色評価数には平均演色評価数(Ra)と特殊演色評価数(R9、R10・・・R15)があります。平均演色評価数(Ra)は図7のNo.1~8の演色評価数値の平均値として表されます。一方、特殊演色評価数(R)は、木や肌を測るなど目的が決定されている際の光源の演色評価数のことで、試験色は図7のNo.9~15の色標が用いられます。

照明のリフレッシュで部屋も気分も快適に

演色性は、単なる色の見え方に留まらず、私たち人間の感覚に直接訴えて作用します。例えば、スーパーで美味しそうに見えた肉が、家に帰って見たら「あれ?」と感じた経験がある人は多いのではないでしょうか。これが、演色性の作用です。スーパーでは、食品が美味しそうに見えるように波長を選択して放射するダイクロイックミラー付ハロゲン電球などの照明器具が使われています。一方、家庭の天井についた一般的な蛍光灯のあかりでは、演色性が低いためハロゲン電球で見たスーパーでの印象が際立ってしまうのです。これは、家庭での食事にも当てはまることです。味覚は視覚によって大きく作用されますので、演色性の高い照明の下なら、いつもの料理がより美味しく感じられるかもしれませんし、反対に演色性の低い照明なら、せっかくの美味しさを損なうことにもなりかねません。
ところが、この演色性と明るさの関係には問題があります。人の目がもっとも明るく感じる波長は555nm(黄緑色)付近の光で、この波長を多く含む光源ほど明るいことになります。しかし、人の目が慣れ親しんでいる自然光は、いろんな色の光を含んでいて、その分光分布に近いほど演色性が良いことになります。つまり多くの場合、演色性と明るさは相反する関係にあり、同時に満たすことは、かつては出来ませんでした。
現在では、人間の目に感じやすい青・緑・赤の光を効率よく発光する蛍光体を用いることで明るさもあり演色性も高いランプが完成し、一般家庭にも普及しています。それが3波長(域発光)形蛍光灯といわれるものです。一般的白色蛍光灯がRa60ほどであるのに対して、3波長形蛍光灯ではRa88にもなります。また、特殊演色評価R15(日本人の肌色)では95前後にもなりますので、平均的な色味よりも肌色を良く見せてくれます。朝、洗面所でみる自分の顔が、くすんで疲れているように見えるよりも、顔色が良く見えるほうが気分はいいに違いありません。

このように、照明は視覚ばかりではなく感情にも影響する大切な要素です。照明をリフォームする際には、部屋をどのような用途に使うのかを考え、そこに生活する家族のことを考えて、照明の明るさや見え方を決めるようにしましょう。

◆健康状態を考える

人間の体には生来備えている生体リズムがあり、外的要因に関わらず一定の周期で生体機能の変動を繰り返しています。それは、呼吸のように1分以内の短い周期のものから、1年を周期とするものもあります。そのなかでも、1日を単位とした周期性変動は、体温、作業能力、血圧、ホルモン分泌などたいへん多くなっています。生体リズムの多くは、体内にある体内時計によって規定されていることが明らかになっています。体内時計がどこにあるのかは、まだ特定できていませんが、脳の中の視交叉上核(しこうさじょうかく)という神経細胞の集まりが非常に深く関っていることがわかっています。視交叉上核は、左右の眼球の後ろから出ている視神経が、頭蓋骨の真ん中で交叉する場所のすぐ上に左右ひとつずつあることから、光の受容=明暗の変化が体内時計に大きく関っていると推察されているのです。
生体リズムは、外的要因を受けていない状態でも、朝は体温や血圧が低く、日中にかけて高くなり、夕方、夜にかけては徐々に下がるというようにやわらかな曲線を描いて変動しています。しかし、睡眠・覚醒のリズムは24時間より長いため、光の変化を受容して体内時計を調整し、生体機能を合わせる必要があります。この調整を行わず、リズムが狂ってしまうと心身の健康にひずみがでることになります。例えば、時差飛行や昼夜逆転の交替勤務では、しばしば睡眠障害や胃腸機能障害などをきたします。それだけではなく、生体リズムの異常は、うつ病、小児自閉症、登校拒否症、神経性食欲不振症、中枢神経疾患など様々な病的状態に関ることもわかっています。
しかし、光と生体リズムの関係、その影響を受ける睡眠・覚醒リズムの重要性はわかっていても、自然光にあわせて日常生活をおくることは現代社会ではほとんど不可能です。そこで、照明を上手に使って、体内時計の調整を行うことが大切になってきます。例えば、北ヨーロッパの緯度の高い地域では冬の日照時間が短く、うつ病や自殺が多いことは良く知られています。このような日照時間が短い地域では、冬に顔面だけでも人工照明を一定時間当てる治療法が行われていて、その成果が認められています。
また、照明環境による作業性の効率や快適性の研究も進んでいて、作業内容によって効率の上がる照明環境が異なることが日本建築学会でも発表されています。例えば、私たちが集中力を高めて勉強や仕事をするには、全般的な明るさの10倍くらいの照度が机上に求められます。しかし、就寝直前までこのように明るい状態のもとで生活していると、睡眠障害の原因になることもあるのです。最近の研究によって、100~200ルクスでも誘眠ホルモンであるメラトニンが抑制され、眠りにくくなることがわかりました。就寝前のひと時は、明るさを抑えた暖かい光でくつろぐようにすることが大切です。
照明のリフレッシュで部屋も気分も快適に社団法人照明学会が行った「ストレスとあかり」についてのアンケート(男性209人、女性295人、10代~60代)の結果では、癒されると感じる光の種類はという問いに対し、半数以上の人が夕日や月明かりなど夕方から夜にかけての自然光と答えています。キャンドルライトも6割で癒し効果としての人気が高く、多くの人が炎のゆらめきに魅力を感じるようです。一方、人工光の癒し効果はあまり期待できず、アンケートでも蛍光灯やLEDの評価は低く、人工光の中でもっとも高いと言われる白熱灯でも2割程度でした。さらに、あかりの色についても、夕日やキャンドルライトを連想させるオレンジ色に癒し効果を感じる人が8割近くと飛びぬけて多い結果が得られています。ストレスはさまざまな形で健康を害する要因にもなりかねません。家族の健康のため、そしてより快適な住まいづくりのためには、照明リフォームに際して、ストレスのない照明についても考えてみると良いでしょう。

なお、照明器具のお手入れ方法については、講座No.16をご参照ください。

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