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通信講座No.032 「部屋全体がくすんで、暗く感じていませんか?」

講座No.032-2 「内装リフォームで部屋も気分もリフレッシュ」

前講座では、くすんでいたり、暗く感じたりする部屋のリフォームとして、まずは照明を見直すことをお薦めしました。部屋の明るさや雰囲気を変えるのに照明のリフォームは確かに有効ですが、内装も合わせてリフォームすれば、より効果的に部屋をリフレッシュすることができます。例えば、カーテンやじゅうたんを変えるだけも部屋の印象を明るくすることができますし、家具の買換えや置き方を変えるだけでも、かなりイメージは変わります。しかし、部屋を明るくしリフレッシュするのに最も効果的なのは、部屋でもっとも大きな面積を占めている壁のリフォームでしょう。
そこで、照明との関係も考慮しながら行う壁のリフォームのポイントを説明しましょう。

前講座で説明したように、照明には「照度」「演色性」「光色」による特性があり、それによって部屋の印象や居心地が大きく変わります。そのほかにも、空間の大きさ、内装の素材、材質、色などによっても、見え方が変わります。特に、色、素材、材質は重要なポイントです。
それは、素材の色と質感によってあかりの「反射率」が違うからです。一般的に、反射率が低いと柔らかいあかりに感じ、高いと強いあかりに感じます。反射率の違いは、色と質感によって生じます。白や淡い色は反射率が高くなる傾向があり、濃い色は低くなります。また、素材の表面に凹凸があると反射率は低くなります。図1は素材ごとの反射率を表しています。落ち着いた空間やくつろげる空間をつくりたいのであれば、同じ色でも反射率の低いものを選ぶとよいでしょう。

内装リフォームで部屋も気分もリフレッシュ

近年の住宅で最も普及している壁材は、なんといってもビニールクロスでしょう。ビニールクロスには、安価で施工性、色・柄の豊富さなどの利点があります。さらに最近では、ビニールクロスのさまざまな材料を混入しやすい特性を活かし、汚れ防止、抗菌、防カビ、表面強化、撥水、消臭、調湿など、いろいろな機能が付加された壁紙が、各メーカーから発売されています。ただし、その機能の効果や効力の持続性は、各メーカー、商品、使用状況などにより差があります。機能を過信せずに、一般的なものよりは効果があるという程度に考えたほうが良いでしょう。

しかし、シックハウスが社会問題として取り上げられるようになってから、安全性の高い自然素材の壁材が見直されるようになってきました。つまり、壁の素材選びの大切なポイントは、見た目のためばかりではないということです。大きな面積を占める壁だからこそ、その素材が室内の空気環境を左右するといっても過言ではありません。どんなに見た目が良くても、健康を害してしまっては意味がありません。一般的に安心の目安となっているのが、表示マークF☆☆☆☆です。実際、現在の法規上では表示マークF☆☆☆☆のついた建材は使用制限の規制対象外です。しかし、その建材のどれもがホルムアルデヒドがゼロという意味ではありません。28℃の温度条件において、1時間で建築材料1㎡当たりから発散されるホルムアルデヒドの量が5μg(0.005mg)以下であるということを示しただけです。つまり、F☆☆☆☆の建材でも、室温が28度以上になったときに、ホルムアルデヒドの量が5μg(0.005mg)以下であるとは限らないということです。通常、温度が上がれば発散速度は変わり、量も増えるからです。また、ゼロではないということは、密室状態では時間が経てば発散された分だけ室内の濃度が上がることにもなります。 さらに、F☆☆☆☆はホルムアルデヒドの発散量のみについて示すもので、それ以外の化学物質の発散量について示すものではないということです。ホルムアルデヒドの他にも、室内の空気を汚染する化学物質として、VOC(揮発性有機化合物)があげられ、主なVOC13種については厚生労働省でも室内濃度の指針値を示しています。VOCの中には内分泌撹乱物質として、エピジェネティックス変異を危惧されているものもあります。
また、機能においても、消臭や抗菌や調湿など求められる機能は人さまざまですが、今誰もが気に掛けるべきは、省エネ性と環境負荷が少ないかどうかという点ではないでしょうか。CO2削減と環境保全は今や世界的な重要課題であり、住まいづくりにおいてもそれは重要なポイントです。この点からも、自然素材の壁材は見直されています。化石燃料をつかわない素材であり、環境負荷が少ないうえ、自然素材の壁材の多くが、調湿性、断熱性に優れているからです。自然が作り上げた構造は、人工的に再現するのが難しいほど複雑且つ巧妙にできています。そして、それぞれ特有な構造は、自然環境に適応して創られたものであるため、神秘的なほど環境に順応する特性を持っています。素材の特性から生じる効果なので、薬品などを添加して得られる効果と違い、持続性や安全性の上でも優れているといえるでしょう。また、素材自体が自然のものですから、廃棄する際も環境を汚染する心配がなく、今求められている循環型社会の構築にも貢献できます。

このように、見た目の問題だけではなく、安全性、省エネ性、環境問題の観点からも、壁のリフォームの際は、自然素材の壁材について検討すると良いでしょう。
そこで、素材選びの参考となるよう、主な自然素材の製品例と特徴を説明しましょう。

◆自然素材の壁材とその特徴

□植物

植物繊維でつくられた紙による壁紙がいろいろ発売されています。こうぞやみつまたで作られた和紙はその製品のひとつですが、最近はさまざまな植物繊維を使った壁紙が作られています。

①こうぞ・みつまた
こうぞはクワ科の植物で繊維が長く太いので、たいへん丈夫な紙ができます。一方、みつまたは、ジンチョウゲ科の植物でこうぞに比べ繊維は短く強さもやや劣りますが、滑らかで光沢のある紙ができます。これらを主原料とした和紙は、木材と同じで呼吸しています。湿度の高い時は湿気を吸収し、乾燥したときには蓄えていた湿気を放出しますので、調湿効果により夏は涼しく、冬は暖かく過ごせます。また、無作為に並んだ繊維が光を乱反射させるので、照明の灯りや日光を柔らかくする調光効果もあります。光と同様、音も分散・乱反射しますので、音は柔らかくなるだけでなく、部屋から洩れる音も軽減できます。保温効果もあります。さらに、和紙の場合はそのまま重ね貼りができますので、リフォーム時の工程が大幅に短縮できます。重ね貼りする事で、和紙の特性がより高い効果を発揮します。植物が原料ですから、環境負荷が低く、腐れば肥料になり、燃やしても有害物質をだしません。本物の和紙は高価なものです。安価なものは、材料にわずかなこうぞの繊維などが混入しているだけの和紙もどきですので、注意しましょう。

②ケナフ
アオイ科の植物で成長が早く収穫できる繊維も多いため、木材パルプの代替資源として森林伐採の防止作物として有名になりました。これを使用したケナフ紙の壁紙もいろいろ発売されています。和紙に混ぜてあるものもあります。強い繊維が特徴的である上に、和紙などと同様の調湿、調音、調光効果があります。廃棄しても、燃やしても有害な物質をだしません。

③オーガニックコットン
オーガニックとは、有機栽培の意味で、化学合成農薬や化学肥料に頼らず、有機肥料などにより土壌の持つ力を活かして栽培する農法のことですが、オーガニックと名乗るには、国によって認定機関、基準、それを示すマークがあります。つまり、認定されない限り、有機栽培=オーガニックとは言えないことになっています。ちなみに、日本では、図2のJASマークで示され、基準として3年間農薬や化学肥料を使用しない土地で栽培、化学合成農薬や化学肥料は原則使用しない、遺伝子組み換え原材料は使用しない、放射線照射はしない、合成添加物の使用制限など細かく決められています。そのような基準をクリアしたオーガニックコットンは、織物、つまり布クロスとして使われています。(図3参照)オーガニックの安心が、赤ちゃんやペットがいる家庭などで人気があるようです。また、布クロス独特のボリューム感と、あたたかな風合い、ソフトな感触も魅力です。特徴としては、調湿性・通気性があり、結露が発生しにくいという長所があります。反面、水分や汚れを染みこみやすく、ホツレやすく、汚れが落ちにくい、価格が高いなどの短所があります。布クロスには、撥水・防汚加工などが施されたものもありますが、せっかくオーガニックコットンを使用しているので、無加工のものを選ぶべきでしょう。布クロスは、普通に張ると継目が目立ちやすいという特徴があります。きれいに張るには、熟練した職人による施工が必要です。

内装リフォームで部屋も気分もリフレッシュ内装リフォームで部屋も気分もリフレッシュ

④い草
イ草には、空気を清浄化する作用、防カビ・抗菌作用、調湿作用などがあります。また、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒドを吸着したら放出しないという特徴も持っています。また、イ草のほのかな香りには、沈静効果があるとも言われています。そのイ草のよさを生かした壁紙があります。ビニールクロスよりも高価ですし、色・柄のバラエティーは少ないですが、自然な風合いならではの良さと自然素材という安心感があります。
ただし、産地には気をつけましょう。イ草は、輸入検査を受ける必要の有る品目です。輸入時に病害虫等が付着していることが判明した場合には、薬品による薫蒸、消毒等の措置を必要とします。製品となったものの輸入には検査は不要となっていますが、それはそれで心配とも言えます。例えば、現地で黒味が消えすっきりした色調になるからと有毒な二酸化硫黄で薫蒸した畳が高級材として市場に出ていたりします。安心できる壁材を選ぶのであれば、国産の低農薬・無農薬のイ草を原料としたものかどうか確認するほうがよいでしょう。

□珪藻土

内装材として珪藻土を売りにしている新築物件も見られるほど、最近はすっかり耳慣れた素材のひとつです。珪藻土は、コテなどで塗布する左官材として一般的には使用されますが、珪藻土を混入したビニールクロスなども最近は発売されています。珪藻土は、藻類の一種である珪藻の殻の化石の堆積物(堆積岩)です。珪藻の殻は二酸化ケイ素でできているため、珪藻土もこれを主成分としています。混入している粘土粒子などの色の違いにより、珪藻土の色は白色、淡黄色、灰緑色と産地によってさまざまです。耐火性と断熱性に優れ、高い保温性と程よい吸湿性で昔から壁材として使われてきました。珪藻土そのものには接着能力はないので、壁材としては石灰やアクリル系接着剤や樹脂を混ぜて使用されるのが一般的です。したがって、珪藻土を数パーセントしか含まないものも多く流通していますので、何がどのくらい含まれているのか確認して選ぶようにしましょう。

□石灰岩・貝殻

石灰岩や貝殻を焼成すると、成分が酸化カルシウムの生石灰になります。ちなみに、石灰岩からできた生石灰を石灰(いしばい)、貝殻からできたものを貝灰(かいばい)と呼びます。
生石灰に水を加えると成分が水酸化カルシウムの消石灰になり、消石灰に水を加えて練り合わせて壁に塗ると、空気中の二酸化炭素と反応して硬化します。消石灰を水で練ったものは粘性に乏しいので、壁材としての作業性を向上させるために角又(つのまた。暖海の岩上に生育する海藻)などの糊やスサと呼ばれる植物繊維を混ぜて補強したものが漆喰です。防火性が高いのが特徴で、古くは城や土蔵に使われたりしました。また、調湿機能も持ち、季節の変化に耐え、カビがつきにくいという性質をもつため、今でも押入れの壁などに使われることもあります。そのほか、遮音性や遮光性にも優れています。乾燥後の収縮率が高いためひびが入りやすいのが欠点といわれています。
ヨーロッパの建築にも石灰が使われています。それは消石灰に川砂だけを混ぜた石灰モルタルや生石灰を大量の水で消化させ寝かせてペースト状にした生石灰クリームです。生石灰クリームは、消石灰に比べて、硬化後の収縮が少なく表面硬度が硬いうえに、コテによる艶が出やすい特徴があります。

□シラス

内装リフォームで部屋も気分もリフレッシュ内装リフォームで部屋も気分もリフレッシュシラスは、2万5千年前、現在の鹿児島湾北部を火口とする姶良カルデラの大噴火によって発生した火砕流が堆積したもので、マグマの超高温で焼成された高純度のセラミック物質です。南九州はシラスによる広大な台地から形成され、シラス地層の厚さは5~60mから150mにもなります。非晶質の割合が60~80%もあるシラスは、火山灰や他の火山噴出物とは全く異なる特異な性質をもっています。非晶質は、分子構成が不安定で活性化しやすく、環境によって触媒反応等が起きやすくなることから、消臭・分解・殺菌・イオン化などの機能を発揮すると考えられています。そのシラスを原料とした壁材(図4)は、漆喰や珪藻土とも違った独特の風合いと色合いが特徴です。調湿、消臭性能に優れ、ホルムアルデヒドを吸着して再放出しません。また、多孔質なシラスの特性で、断熱性、防火性にも優れています。
シラスは、すでにマグマの超高温で焼成された高純度のセラミックですから、珪藻土や石灰のように焼成する必要がなく、製造過程においても省エネで環境に優しい材料といえます。 さらに、色も豊富な上、塗りつけのパターンを変えることができるため、デザイン性の高い部屋づくりも可能です。既存のビニールクロスの上に塗布できる、リフォーム専用の施工性に優れた製品もあります。(図5)

このように、さまざまな自然素材の壁材がありますので、機能性や安全性の確認とともに好みや予算などに合わせて決めるとよいでしょう。ただし、「自然素材」とうたっていても、わずかに自然素材が含まれているだけというものがたくさんありますので、よく確認しましょう。
なお、自分でできるビニールクロスのお手入れ方法や張替え方については、講座No.17をご参照ください。

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