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通信講座No.033 「バルコニーの防水は、まだ水漏れしていませんか?」

講座No.033-1 「バルコニーの構造とチェックポイント」

バルコニーは、部屋と外を自由に行き来できるオープンスペースとしてさまざまな用途に活用される空間です。物干し場として使う、季節の花や家庭菜園を楽しむ、簡易な屋根や囲いを付けて部屋の延長のように使うなど、ライフスタイルに合わせていろいろな用途があります。
しかし、バルコニーはあくまでも外部であり、紫外線や風雨にさらされる外壁や屋根と同様に適切な手入れが必要です。ところが、屋根や外壁の傷みは他人の目にも付きやすいため、多くの人が定期的に手入れを行っていますが、バルコニーの傷みについてはあまり気に掛けてない人がほとんどです。バルコニーは雨漏りの原因になることもある重要な部分です。特に、バルコニーの下が居室の場合や建物本体と一体化して張り出しているバルコニーの場合は、防水機能が維持されていないと大事になりやすいので注意が必要です。

まずは、バルコニーの構造を正しく理解し、適切な手入れができるように日頃どんなところをチェックしたらよいか確認しましょう。

◆バルコニーの種類と構造

□種類

バルコニーには、建物とは別構造で作られているものと、建物と一体化して作られているバルコニーがあります。また、どちらのタイプのバルコニーにも、床に防水層を施したタイプと防水層を作らずスノコ状の床を設置するタイプがあります。例えば、図1と図2はどちらも後付けタイプのアルミ製バルコニーで、外壁とバルコニーを固定するブラケットと柱によって強度が保たれている建物とは別構造のものです。床には、図3のようなスノコ状の塩ビ製パネルが設置してあります。別構造ですのでリフォームにも適しています。素材の種類も豊富で、既製のアルミ製の他にも鉄鋼や木材で希望の大きさやデザインに合わせて作ることも可能です。

バルコニーの構造とチェックポイント

バルコニーの構造とチェックポイント

一方、図4~図6は、建物と一体化して作られるバルコニーの例です。図4は木製のバルコニーを下から見上げた部分で、壁から張り出している茶色に塗られた木材が建物の梁と繋がっています。床は、木製のスノコ状になっています。図4は、外観をモルタルの手すり壁と鉄製の手すりで仕上げたバルコニーで、床の構造は図3と同様に木材によって建物の梁と繋がって支えられています。床は防水層が施されています。また、図5はアルミ製ですが、外壁が作られる前に専用のブラケットを建物の梁に取り付けて固定してあります。床は、図1や2と同様の塩ビ製のスノコ状のパネルが設置してあります。
どんなバルコニーであっても、建物と繋がっている部分を通して雨水が内部に浸み込み、腐食が広がります。もちろん、そのようなことにならないようにしっかりと防水・止水措置が施されていますが、経年劣化によっても防水機能は損なわれるということを理解しておきましょう。

バルコニーの構造とチェックポイント

バルコニーの構造とチェックポイント

□構造

バルコニーの構造とチェックポイント図7は、バルコニーの下が居室になっている断面図の例です。バルコニーの床や赤い○印をつけた箇所の防水・止水機能が十分でないと、建物本体に雨が入り込みやすい構造であることが分かります。
図が示すように、バルコニー全体が居室の屋根の代わりになっています。したがって、手すり壁や窓下の立ち上がり部分も屋根同様にしっかりと防水・止水されている必要があります。バルコニー床の防水機能はもちろんですが、赤い○印をつけたところは、特に雨仕舞いがしっかりされていないと雨漏りなどの原因になる危険があります。上から下へまっすぐと雨が降っている場合は問題が起りにくくなかなか気づかないのですが、台風など強風を伴った大雨が下から巻き上がるように降った時に、手すり壁の笠木や窓下の立ち上がりから雨水が入り込み突然雨漏りが生じたりします。また、バルコニーの床に設置されている排水ドレインの取り付け部分も経年劣化により隙間が空いたり、ゆがみが生じて防水・止水措置に亀裂が生じたりするので注意が必要です。
図8は手すりの断面図、図9は窓下の断面図です。図8が示すようにバルコニーの手すり壁と笠木・手すりの取り付け部分は、防水テープと防水シートをしっかりと組み合わせて貼ることで、水が入り込まないようにしてあります。笠木部分は通気を確保するためと、手すり壁と笠木の間に水が入っても速やかに外部に出て行くようにするため、シーリング材などで塞ぐことはしません。そのため、入り込んでしまった雨が内部に浸み込まないようにしっかりと防水する必要があります。

バルコニーの構造とチェックポイント

バルコニーの構造とチェックポイント一方、図9のように、サッシとバルコニーの立ち上がりとの納まり部分にはシーリング材を使います。もちろん、その下には防水テープや防水シートが貼られていますので、万が一シーリング材の隙間から水が入り込んでも、内部の防水シートの下まで入り込まないのが通常です。しかし、経年劣化や長年の間にゆがみが生じて、防水シートが破れているとも限りません。したがって、サッシまわりの雨仕舞いも重要なのです。

□バルコニー床の防水

バルコニー床面の防水は大きく分けて、露出型と保護モルタル型の2つの施工方法があります。

①露出型
最近の住宅のバルコニーは、この露出型防水が一般的です。図10は露出型のFRP塗膜防水の例です。下地材にはグラスマットや樹脂などが何層にも施され保護されています。したがって、表面が少し傷ついたくらいでは問題ありませんが、傷が深くて下地が出てしまったり、防水層に亀裂が生じたりすると、雨漏りなどの問題が生じやすくなります。 また、傷などがなくても、表層部分は紫外線や風雨にさらされ、人が歩くこともある傷みやすい場所です。表面が傷めば、内部も徐々に被害を受けやすくなります。日頃の清掃と早めのお手入れが大切です。

バルコニーの構造とチェックポイント

②保護モルタル型

バルコニーの構造とチェックポイント防水層を図11のようにモルタルで保護した施工方法です。ビルや集合住宅の屋上、一般住宅の広いルーフバルコニーなどで見られますが、最近の一般的な新築住宅のバルコニーにはあまり使われません。防水層の状態が確認しづらいため、雨漏りなどが生じるまで防水層に問題が生じていることに気がつかないこともよくあります。問題が大きくなるのを防ぐためには、モルタル部分にヒビや劣化が見えるようになったら早めに対処することが重要です。

◆日頃のチェックポイント

バルコニーの劣化状況は、使い方や設置場所、周辺地域の環境などにより変わってきますが、早めに適切な処理を施せば、大事にいたらずに済みます。日頃から下記のような点に気をつけてチェックするようにしましょう。

1.傷がついているところはありませんか。
バルコニーの床や手すり壁についた傷をそのままにしておくと、雨漏りや腐食の原因になりかねません。応急処置として防水テープなどで覆って保護した後は、なるべく早めに工務店やリフォーム業者に相談しましょう。大事になる前にきちんとした補修を行うことが大切です。

2.ひどく汚れているところはありませんか。

バルコニーの構造とチェックポイントバルコニーの構造とチェックポイント風などによりゴミが動くことで表面に傷がつくことになりますし、放っておいて取れにくくなった汚れを強力な洗剤や硬いタワシなどで取り除くことは、部材を傷める原因になります。さらに、汚れやゴミが付いたままになっていると、傷や劣化などに気づきにくく、腐食が進むまでそのままということにもなりかねません。
例えば、図12のバルコニーは手すり壁と水切りの収まり部分の止水が悪く、内部に水が入り込んでいました。普段バルコニーを使用していなかったため、長い間ホコリやアオモが付き異常にも気がつきませんでした。ある日、バルコニーの上げ裏が抜け落ちて、図13のようにバルコニー内部の腐食が進んでいることに気がつきました。バルコニーに人が乗っているときに床が抜けずに済んだのが幸いだったといえます。異常を早く発見するためにも、月に1度ぐらいはホコリや汚れを取り除くようにしましょう。

3.ひどく汚れているところはありませんか。
バルコニーのドレイン廻りは雨漏りの原因となりやすい場所です。そこで、前述の図6に示されているように、普通はバルコニーの張り出した先が建物側よりも下がるように勾配をつけ、排水溝及び排水ドレインは屋内側に設置しないように設計されています。そのため、排水溝や排水ドレインは隅のほうに設置してあることが多く、汚れやすい部分であるにもかかわらず、気づきにくい状況になっています。バルコニーに鉢植えなどを置いている場合は、土が流れ出て詰まっていることが多いですし、物干しとして使っているだけでも、糸くずや綿ホコリ、髪の毛などが排水溝や排水ドレインに絡まったりしています。落ち葉など飛散物やゴミ、土、ホコリなどをついたままにしておくと水の流れが悪くなり、ますます汚れが付き易くなる悪循環が生じます。ゴミや汚れで排水溝や排水ドレインが詰まっていると、大雨のときにバルコニーに雨水が溜まりやすくなり、掃き出し窓下のサッシまわりから水が入りやすくなります。
バルコニーの構造とチェックポイントさらには、図14のようにドレイン廻りの接合部分に汚れが溜まっていて、防水状態の確認ができず、防水・止水が不十分であっても気がつかないことになりかねません。こびりついた汚れを取るために硬いブラシで擦ることは、部材や接着部分を傷める原因にもなります。土やゴミは速やかに取り除き、防水状態がいつでも確認できるようにしておきましょう。また、オーバーフロー用水抜きが設置されている場合は、水抜きがゴミや汚れで詰まっていないかも確認しておきましょう。ゴミが詰まって肝心な時に水抜きが出来ないようでは困ります。

4.ひび割れはありませんか。
図15は保護モルタルにヒビが生じた様子です。長い間放っておいたため、ヒビ周辺のモルタルが脆くなって欠けているところがあり、雨が降ると水が浸み込むようになってしまいました。このまま放っておくと、モルタルの劣化がますます進み、防水層を傷める原因になります。表面だけのヒビの場合であれば、ヒビ部分の補修後に防水塗料を塗る処置で済みます。早めに工務店や総合リフォーム業者に診断を依頼するようにしましょう。

バルコニーの構造とチェックポイント

5.手すりなどが錆びているところや取り付けが悪いところはありませんか。
金属製のバルコニーと言えば、最近はアルミ製が一般的ですが、以前は鉄鋼を溶接して作るのが一般的でした。鉄製のバルコニーは耐久性、強度共に優れていますが、錆びを防ぐためには定期的な手入れが必須です。そのため、一度手入れを怠ると図16のように錆びによる腐食が進行してしまいます。一度錆びが生じると元に戻すことはできませんので、錆止めと塗料でそれ以上腐食が進まないようにするしかありません。特に、手すり部分の鉄鋼材は軽量化のために中が空洞の場合が多く、腐食がはじまるとあっという間に脆くなります。さらに、アルミ製の手すりであっても、全く腐食しないわけではありませんし、ネジやボルトはアルミ製ではありませんので注意は必要です。特に、海岸に近い地域では、こまめに塩分を洗い流すようにし、早め早めの手入れを心がけましょう。

バルコニーの構造とチェックポイント

6.水がたまりやすくなっているところや乾きが遅いところはありませんか。
露出型、保護モルタル型のどちらも、経年変化により床面に水が溜まりやすい場所が生じたり、手すり壁がいつまでも塗れていたりすることがあります。すぐに問題につながるとは限りませんが、長い時間濡れているのは劣化の原因になることもありますし、不具合が生じている兆しの場合もありますので注意しましょう。
例えば、図17は降雨の後手すり壁の濡れ色が他と異なっている様子です。調べてみると、バルコニーの小窓に付けられた笠木の止水措置が不十分であったため、水が内部に入り込んで図18のように腐食が始まっていました。腐食が進行すると強度にも問題が生じ非常に危険です。おかしいと気づいたら、まずは原因を確かめるようにしましょう。

バルコニーの構造とチェックポイント

7.バルコニーの上げ裏に水が浸みた後はありませんか。
図19のようにわずかなシミのうちに気づいて対処することが大切です。図20のようになると、内部の腐食もかなり進み、工事も大がかりになってしまいます。上げ裏を取り替えるだけではなく、雨染みの原因となった部分の処置もしっかり行うことが大切です。

バルコニーの構造とチェックポイント

8.シーリング材が劣化しているところはありせんか。
サッシの下枠や縦枠と防水層の取り合い部分(図10)、防水層と手すり壁との取り合い部分(図10)、排水ドレイン廻り、手すりや笠木の取付部分など、いろいろなところの止水のためにシーリング材が使われています。しかし、シーリング材の劣化は避けられません。紫外線や風雨、汚れなどさまざまな要因により徐々に劣化し、やがては止水できずに雨水が内部へ入り込む可能性が増えることになります。シーリング材は樹脂ですので、新しいうちは油分を含み弾力がありますが、劣化すると弾力が無くなりひび割れや収縮により接着部分との間に隙間が生じます。雨水の侵入による腐食という大事にならないためにも、早めにシーリング材の打ち直しは行うようにしましょう。

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