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通信講座No.033 「バルコニーの防水は、まだ水漏れしていませんか?」

講座No.033-2 「バルコニーの本格的リフォームのポイント」

バルコニーのリフォームの目的は大きくわけて3つあります。
1.防水機能の向上・回復
2.劣化・腐食の修繕
3.取替え・造り替え

劣化や傷み具合、雨漏りが生じているかどうか、生じている場所はどこかなど、状況や不具合の発生原因によって上記1.だけのリフォームで済む場合もあれば、1.と2.を同時に行う必要がある場合もあります。状況によっては、バルコニーの大部分もしくは全部を取り替えるか造り替えなければならないこともあります。
そこで、今回はそれぞれの場合のリフォームポイントについて説明しましょう。

◆防水機能の向上

最近の木造住宅のバルコニーには、露出型のFRP(Fiber Reinforced Plasticの略称)防水が施されているのが一般的です。FRP防水は、図1のようにガラスマットを2層以上使用した上に、防水用樹脂塗材と保護塗材が塗布されており、耐久性・強度ともに大変優れています。ただし、非常に硬いため、建物本体にゆがみが生じて変形したり、重量物を落したりすると防水層が割れることがあります。このような場合は、再度ガラスマット層を重ねて施工し直します。一方、劣化がひどくない場合は、表層部分に仕上材を再度塗布するだけで済みます。

バルコニーの本格的リフォームのポイント

バルコニーの本格的リフォームのポイント図2は、保護モルタル型のバルコニーで、劣化によりモルタルにヒビが生じている様子です。雨漏りなどの問題がなく、モルタル下にある防水層がしっかりしている場合は、ヒビの補修を行った上で表面をウレタン防水樹脂により保護するのが一般的なリフォーム方法です。ただし、モルタルの劣化が酷い場合は、既存のモルタルを撤去して、保護モルタルから施工し直さなければなりません。既に保護モルタルにウレタン防水樹脂が施されている場合も、再度塗り直すのが一般的です。このとき、既存のウレタン防水樹脂が剥がれていたり、浮きがあったりした場合は、既存の塗膜を剥がしてから再度塗布しなければなりません。
防水工事は、専門技術を要しますので、実績があり信頼できる業者に依頼することが大切です。値段だけで決めるのではなく、施工方法、手順、バルコニーに置いてあるエアコンの室外機など設置物の移動、保証やアフターメンテナンスについてしっかり確認し、納得してから工事を依頼するようにしましょう。特に、雨漏りの原因になりやすいサッシ廻りの納まりや排水ドレイン廻りの防水・止水措置については、よく確認するようにしましょう。なお、既存の防水材を撤去しない場合のリフォーム工事の一般的作業工程は下記を参考にしてください。
1.下地調整
①設置物の移動(エアコン室外機、鉢植えなど)
②高圧洗浄
③付着物の撤去(ドレインなども含む)
④必要に応じてヒビなどの補修
2.乾燥養生
3.プライマー塗布
4.トップコート塗布
5.乾燥養生
6.設置物・付着物を戻す

◆劣化や腐食の修繕

劣化や腐食の場所や原因によって工事の方法も工程も予算も大きくことなります。そのため、現状をしっかり把握することと今後の住まい方をどうするかを考えることが、リフォームを成功させるポイントになります。

バルコニーの本格的リフォームのポイント例えば、図3のような鉄製のバルコニーの場合、錆びてはいても根太や桁、柱など構造上重要な部分の強度に問題がなければ、溶接による補強や錆止めと仕上げ用塗料を塗布すれば、安全性も美観も確保できます。しかし、錆びによる腐食をこれ以上進行させないためには、2年~5年に一度は再塗装が必要です。したがって、将来この家にどう住むのかによっては、修繕ではなく思い切って耐久性に優れ、定期的な塗装の心配がないアルミ製のバルコニーに交換する方がよい場合もあります。

バルコニーの本格的リフォームのポイントまた、図4のような確認しづらい内部の腐食の場合は、信頼できる業者に現状の問題点をよく確認してもらうことが大切です。図4のようなバルコニーの先端部分の傷みは、強度にも関わることです。安全性を確保するためにもしっかりと現状を把握する必要があります。ただし、腐食がどの程度進んでいるかは、部分的にでも壊してみないとわかりません。腐食しているかどうかは別にして、壊した部分を復旧するには費用が発生することを理解しておきましょう。
人が乗るバルコニーは、雨漏りや防水の問題だけではなく、安全性の確保も非常に重要なポイントです。値段だけしか見ないで工事を依頼するのは、危険を伴うことにもなりかねません。これからも長く住む予定であるならば、それなりの予算でしっかりとしたリフォーム工事を行うようにしましょう。

◆取替え・造り替え

バルコニーの取替えや造り替えは不具合を直すためだけではなく、使い勝手をよくすることや家の外観を変えることにも役立ちます。業者に依頼する前に、新しいバルコニーをどう使いたいか、どんなデザインが望ましいか、自分の希望の優先順位を整理しておきましょう。そうすることで、見積りを依頼するときに正しく自分の考えを伝えることができます。さらに、打ち合わせをスムーズに進めることができますし、予算に合った適切な選択をしやすくなります。
まず、後付けのバルコニーを取替え・造り替えるときのポイントは、素材選びです。最近は、手入れの手軽さとデザインや色の選択肢の豊富さからアルミ製品が人気です。既存のサッシ枠や外壁の色とのバランスを考慮して決めると見栄えよく仕上がるでしょう。
一方、跳ね出しバルコニーや階下が居室のバルコニーの造り替えは、後付けのバルコニーより費用も時間も掛かります。デザインや素材選びなども大切ですが、雨漏りが生じやすい構造なだけに、防水・止水機能に優れている施工方法かどうかにも注意しましょう。
現在、雨漏りや腐食が進行しているバルコニーの場合は、その原因をしっかり把握し、同じことが起きないようにバルコニーを造り替えることが大切です。場合によっては、形やデザインを変えるほうが良いこともあるでしょう。問題をしっかり把握していなければ、適切な選択ができません。信頼できる業者にしっかりと現状を確認してもらい、問題点を理解できるまでよく説明してもらいましょう。その上で、希望や予算に合った適切なプランを提案してもらいましょう。
下記は、バルコニー工事の住宅金融支援機構技術基準や性能保証住宅設計施工基準で求められる仕様です。プランや施工方法の参考にしてください。

□跳ね出しバルコニーの基準

跳ね出しバルコニーは、外壁芯から跳ね出し長さが概ね1m以下とする。
跳ね出し長さは、屋内側の床ばりスパンの1/2以下とし、先端部分はつなぎばりで固定する。
跳ね出しばりには、原則として継ぎ手を設けてはならない。
乗せ掛け又は渡りあご掛け(図5)、羽子板ボルト(図6)締めとする。

バルコニーの本格的リフォームのポイント

バルコニーの根太の断面寸法及び受けばりへの取り合いは、2階の根太と同じにする。
FRP塗膜防水仕上げの下地板張りは、次のとおりとする。
・下地板はJASに適合する普通合板の1類、構造用合板の1類もしくは特類、又は構造用パネルとする。
・下地板を受ける根太間隔が350mm以下では、下地板は厚さ12mmを2枚張り又は15mmを1枚張りとする。(性能保証基準では300mm以下で厚さ12mm2枚張り)
・下地板を受ける根太間隔が500mm以下では、下地板は厚さ15mmと12mmの2枚張りとする。(性能保証基準では455mm以下で厚さ15mmと12mmの2枚張り)
・専用の勾配付き断熱材を用いる場合は、下地板の厚さは12mmを1枚張りとする。
下地板は1/50以上の勾配を設け、溝部分では1/200以上の勾配を設ける。
下地板を2枚以上重ねる場合は、継ぎ目が重ならないようにし、目違い、段差及び不陸が生じないようにする。

□床防水

FRP塗膜防水は、ガラスマット補強材を2層以上とし、防水層の立上り高さは、外部開口部の下端で120mm以上、それ以外の部分で250mm以上、端部にはシーリング材または防水テープを施す。性能保証基準では工程を以下のとおりとしている。
1)プライマー塗り(0.2kg/㎡)
2)防水用ポリエステル塗り(0.4kg/㎡)
3)接合、打継ぎ部、入隅部などの処理
4)防水用ポリエステル塗り(0.7kg/㎡)
5)防水用ガラスマット(複層用)敷き(0.38kg/㎡)
6)防水ポリエステル塗り(0.7kg/㎡)
7)防水ポリエステル塗り(0.7kg/㎡)
8)防水用ガラスマット(複層用)敷き(0.38kg/㎡)
9)防水ポリエステル塗り(トナーにて着色する)(0.7kg/㎡)
10)防水ポリエステル塗り(トナーにて着色する)(0.4kg/㎡)
排水ドレイン取付部は防水層の補強措置及び取合部の止水措置を施し、原則として複数個所設置する。
排水管は原則として室内を通らない経路とする。やむを得ず屋内を経由する場合は、適切な防水処理および結露防止措置を行い、点検口を設置する。

□防水層立上りの建具廻りの止水方法

サッシ取付に対して防水工事が先施工か後施工かによって止水方法は異なるが、リフォームの場合は後施工となるケースが多い。その場合は、防水層を直接サッシ枠に重ねるため、サッシの下枠および縦枠の釘打ちフィンの幅全体を覆うようにする。サッシ枠と防水層端部の取り合いは、図7及び図8のようにシーリング処理を施す。

バルコニーの本格的リフォームのポイント

□手すり壁及び笠木の防水・止水措置(図9)

雨水をを浸入させないため、手すり壁の外側及び内側は外壁と同様の防水措置を施す。そのため、防水紙はJIS A6005に適合するアスファルトフェルト、JIS A6111に適合する透湿防水シートまたはこれらと同等以上の防水性能を有するものを用いる。
防水紙は、手すり壁の両面からそれぞれ張り上げ、上端部で重ねてそれぞれ反対側に巻き込み150mm以上立ち下げる。立ち下がり部分は、ステープルまたは防水テープで留め付ける。
鞍掛シートは、手すり壁上端で折り曲げ、手すり壁の外側及び内側に100mm程度立ち下げ、ステープル又は防水テープで留め付ける。
手すり壁の上端部には、金属製の笠木を設置するなど雨水の浸入を防止するために適切な措置を施す。なお、笠木を取り付ける位置の鞍掛けシートには両面防水テープを張り、防水テープの上から笠木を留め付ける。防水テープの替わりに、ビス穴部分への先行シーリングや鞍掛けシートにビス穴止水性の高いアスファルト系防水シートで可能な場合もある。
笠木手すりは、支柱部分から笠木の内部に雨水が侵入しにくく、侵入した雨水は排出しやすい構造のものとし、熱などによる伸縮に対して、止水材の破断が生じにくい構造のものにする。
手すり壁と外壁との取合部は、手すり壁の防水紙を外壁の防水紙の裏に差込み、防水テープで止水する。
手すり壁に小窓を設置する場合は、手すり上端部と同様に防水紙、鞍掛けシート、笠木を施し、雨水の内部侵入を防ぐ。

バルコニーの本格的リフォームのポイント

□その他

建築基準法施行令第126条では、2階以上のバルコニーには安全上1,100mmの手すり壁や柵などの設置を規定しているが、公営住宅建築基準第36条では、手すりに足がかりとなるもの のが高さ650mm未満にある場合は、その位置から850mmの高さが必要としている。
公営住宅建築基準第36条では、床面もしくは高さが 650mm未満の足がかりとなるものから高さ800mm以内の部分にある転落防止のための手すりの手すり子は、相互間隔を内寸で110mm以下としている。

以上を参考に、適切なリフォーム工事でバルコニーをより快適で便利な空間として、有効に活用しましょう。

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