ちょっと本格的なDIY講座~住まいの学習館(通信講座)~

住まいに関する知恵や技術を学ぶことが出来る通信講座や体験イベント情報を紹介

通信講座No.035 「健康的な暖房について考えてみませんか?」

講座No.035-1 「暖房のポイントは頭寒足熱」

私たちが温熱的に快適と感じるのは、暑くも寒くもない状態です。この時、体の中でできた熱(産熱)と体から逃げていく熱(放熱)の量はイコールとなります。そして、温熱的に感じているのは、部屋の温度だけではなく、湿度、気流、壁・床・天井の温度(放射温度)、そして服装と運動量が加わります。これらの要素がそれぞれ影響し合って、私たちの体感温度を変化させます。(各要素の詳細については、講座No.024‐2をご覧下さい。)そして、これらの要素のうちで温度、湿度、気流、放射温度のバランスが、冬の暖房の省エネ性や快適性を高めるために重要となります。例えば、室温が高くても、壁や床の表面温度が低ければ、体から輻射熱が奪われ寒いと感じます。特に、私たち日本人のように靴を脱ぐ生活では、床面との接触によって感じる温度は身体全体の温熱感に大きく影響します。接触した部分の温度が一気に下がるため、身体は不快な冷たさを感じてしまいます。さらに、不快なだけでなく、急激な温度変化に対する適応性が弱い高齢者にとっては身体への負担が大きく、さまざまな事故を引き起こす原因にもなります。低下した表面温度を元に戻そうとして、皮膚表面の血液の流れを増加させるなどの活動が体内で行われるので、身体への負担になるのです。つまり、足元の熱の伝わり方を考慮することで、体感温度は変わり、室温を変化させることなく温かく感じるようにすることが可能なのです。気流も体感温度大きく左右します。同じ気温(室温)でも気流があるのと無いのとでは、快適な温度が変わってきます。夏の服装のときに、気流が0.15m/秒~0.25m/秒あれば、室温が1度下がったのと同等の感覚になるそうです。

最新のエアコンには、温度と湿度だけではなく、気流も適切にコントロールし、夏は気流が人にあたるようにし、冬は気流が直接当たらないようにすることができるものも発売されています。しかし、温かい空気は自然と上に溜まってしまうのは避けようがないうえ、足が触れる床の放射温度を上げるにはかなり高温に設定する必要があります。それに対し床暖房は、気流を起こさず、輻射熱により足に不快な冷たさを感じさせません。部屋全体をほとんど一定に均一な暖かさを保つことができます。アコンと床暖房の場合の垂直温度分布を比べてみると、その差は図1のとおり一目瞭然です。エアコンは高い場所の方が温度が高く、足元よりも頭の高さの方が約10度も高くなっています。一方、床暖房はどの高さでも均一の温度で、足元はさらに温かで快適です。床暖房が部屋全体を均一に暖かくできるのは、前述したように輻射熱を利用しているからですが、輻射熱は人体にあたって暖かく感じさせるだけでなく、同時に部屋の中の壁や天井、家具などにも吸収され、それらが再び放射され、室内の空気を効率的に暖めます。ホットカーペットと同じと誤解する人も時々いるようですが、全く違うものです。ホットカーペットは、「熱伝導率」によって触れている部分が暖まるだけで、室内全体を暖めることはできません。

暖房のポイントは頭寒足熱

東京ガスの資料によれば、床暖房では室温20℃、床温29℃であれば快適と感じるのに対し、エアコン暖房では室温25℃、床温17℃で、足下が冷たく不快に感じるそうです。つまり、床暖房であれば、設定温度が低くてよい分、自然と省エネになります。さらに、足元からしっかり暖めることで、エアコンのように暖かさで頭がボーとすることがありません。昔から「頭寒足熱」といいますが、公立中学2年生108人(男女各54人)に対して、35点満点のテストを7回行った時の各回の平均得点を比較してみると、すべての回で、エアコンの部屋よりも床暖房の部屋での平均得点の方が高い結果になったそうです。
また、図2のように足元からしっかりとあたためることで冷え性や腰痛にも効果的ですし、気流が生じないためほこりやダニを舞い上げず、清潔な室内環境を保つことができるので健康的な暖房方法ともいえます。さらには、図3で示すように床暖房とエアコンと暖房なしの部屋で睡眠実験を行うと、床暖房の部屋で就寝した場合に、最も高い睡眠効率が得られることがわかります。
床暖房の仕上げ材は木質フローリングだけでなく、コルクや畳などさまざまな素材でも可能です。(但し、それぞれの対応商品を使用する必要があります。)

暖房のポイントは頭寒足熱

このようにさまざまな利点のある床暖房には、どのような種類があるのでしょうか。

◆温水式と電気ヒーター式

床暖房の方式には、主に温水式と電気ヒーター式があります。温水式はボイラーで沸かしたお湯を床下のパイプに循環させて暖房する仕組みです。お湯を沸かす熱源はガス、電気、灯油などが使われます。最近では、大気熱利用の電気で給湯を行うエコキュートにも床暖房対応の機種がでてきています。一方、電気ヒーター式はヒーターと一体化した木質床材(フローリングなど)を貼るか、ヒーターを内蔵したパネルを床下に埋設して電気を通し、その上にフローリング材やカーペットなどの床材を貼る方法などがあります。深夜電力を利用して床下の蓄熱材に熱を蓄えるタイプもあり、割安な夜間の電力を利用することができるのがメリットです。温水式にも電気ヒーター式にも熱源機やヒーターの種類によってさらに種類がわかれ、特徴も違います。
詳しくは下記の分類表を参考にしてください。

暖房のポイントは頭寒足熱

暖房のポイントは頭寒足熱

温水式か電気ヒーター式のどちらを選んだ方がいいのかは、一概にはいえません。それぞれ特徴があり、メーカーや商品によっても違いがあります。また、使う床材の種類やリフォームの規模などによって、取り入れる商品が限定されることもあります。そこで、どちらを選べばいいのか悩む場合は、まず取り入れる面積や部屋数、生活スタイルから考えてみましょう。広い面積や数多くの部屋に設置したい場合や、家にいつも誰かが居ることが多いご家庭であれば、維持費の安い温水式が向いているでしょう。一般的に、ガス温水式床暖房と電気ヒーター式床暖房では、ガス温水式の方が立ち上がりが早いと言われています。また、東京ガスの資料によれば、ガス床暖房を8畳1間で1日8時間30日間使用した場合の費用は、約5,121円で1日あたりだと約170円です。ちなみに同条件で電気ヒーター式床暖房を使用した場合1日あたりの費用は210円となります。さらに、最近、東京ガスではエコジョーズやエコウィル、エネファームとガス温水式床暖房を導入している場合に適応するお得な料金プランもあります。(図6)

暖房のポイントは頭寒足熱

温水式や電気ヒーター式以外にも、太陽エネルギーをそのまま使用するタイプの床暖房システムもあります。

◆太陽熱利用(図7)

床暖房が必要な冬は、屋根に降り注ぐ太陽の熱で空気を温め、それを床下に送り基礎コンクリートに熱を蓄えます。蓄えた熱は、夕方以降ゆっくりと放熱して建物全体を床から温めます。システムが稼働している間は、常に新鮮な外気を室内に取り込んでおり、暖房しながら換気ができるという点も大きな特徴です。ただし、太陽を熱源にしているので、天気に左右されます。また、日射が十分に得られない地域や立地条件によっては暖かさが足りないこともあります。その場合は、機械を活用して補助的に暖房を行い、足りない分を補う必要があります。暖房の必要がない夏は、太陽熱を給湯の熱源に使用できます。ただし、このシステムは基礎コンクリートの蓄熱と建物全体の空気循環が重要なポイントとなるため、リフォームでの導入には大規模な工事が必要です。

暖房のポイントは頭寒足熱

以上のようにいろいろな床暖房の種類がありますが、選ぶときはイニシャルコスト(設備費)だけでなく、ランニングコスト(燃料費・メンテナンス費など)も確認するようにしましょう。燃料の維持費という面では、温水式のガスの方が電気式よりも安いといえます。しかし、温水式は機器代が電気式よりも割高で、熱源機の定期的な点検や部品の交換などメンテナンスの費用も必要になります。電気式は基本的にはメンテナンスは不要としていますが、機械であるからには、将来的に故障が生じることもあるでしょう。どちらの場合も、メーカーや施工業者のアフターメンテナンス体制をきちんと確認しておくことが大切です。
また、床暖房を生かすためにも、建物本体の気密性や断熱性を上げることは重要です。特に床下の断熱材は重要です。古い住宅では、根太張りのうえに、断熱材もないのはよくあることです。せっかくの床暖房を効率よく使うためにも、断熱材を入れるようにしたいものです。また、床下の湿気が多い場合は、防湿シートを敷くなどの対処をした上で断熱材を入れればより効果的でしょう。

同じカテゴリーの通信講座をピックアップ

その他
その他
講座No.009「家の臭いが気になりませんか?」
講座No.015「地震対策はちゃんとやっていますか?」
講座No.016「照明器具が汚れていませんか?」
講座No.023「カビや結露が出ることはありますか?」
講座No.024「寒い冬には暖かい部屋~部屋の防寒対策~」
講座No.025「家の外観全体を模様替えする気持ちはありませんか?」
講座No.030「夏に部屋が暑くてつらい思いをしていませんか?」
講座No.031「自然エネルギーで夏の暑さ対策をしてみませんか?」
講座No.035「健康的な暖房について考えてみませんか?」
講座No.037「照明の省エネ化は済んでいますか?」
講座No.040「住まいが健康を脅かしていませんか?」
講座No.041「無理して省エネ&節電していませんか?」
講座No.043「わが家で再生可能エネルギーをつくろう」
講座No.044「光だけじゃない!太陽熱も利用しよう」
講座No.047「今、使わず空いている部屋はありませんか?」
講座No.048「冬のエコライフ講座 in 保土ヶ谷公会堂」
講座No.051「室内を全面的に改装して、気分転換したい気持ちはありませんか?」
講座No.058「風通しの悪い家だなぁと、感じたことはありませんか?」
講座No.060「寝室が狭くて窮屈を感じていませんか?」
講座No.062「家の中にゴキブリや虫が多いと感じたことはありませんか?」
講座No.068「家族、兄弟が集まったとき、リビングが狭いと感じていませんか?」
講座No.083「省エネ住宅ポイント制度をご存知ですか?」
講座No.091「玄関の下駄箱が小さくて不便になっていませんか?」
講座No.092「本棚に本をすっきり収納してみませんか。」
講座No.093「家の中のデッドスペースを有効活用しませんか?」
講座No.094「便利なお掃除アイテムと掃除のポイントの紹介」
講座No.095「DIYで断熱効果を高める」
講座No.097「寒さを解消するための簡易的な暖房方法」
講座No.099「住まいを快適にできる生活雑貨をご存知ですか?」
講座No.100「中古マンションを購入したけど有効なリフォームとは?」
講座No.101「5分でわかる冬の色々リフォーム」

自然素材主義パートナー紹介