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通信講座No.036 「飼っているペットの臭いが気になりませんか?」

講座No.036-1 「壁リフォームでペットの臭い対策」

現在、日本でどのくらいの数の犬猫がペットとして飼われているかご存じですか。財団法人ペットフード協会による平成22年度全国犬猫飼育実態調査(図1)によると、2010年10月現在で、全国(沖縄県を除く)の犬の飼育頭数は11,861千頭、猫の飼育頭数は9,612千頭にもなります。これは15歳以下の子どもの人口1600万人を上回り、子どもを育てている人より、犬猫を育てている人のほうが多いということになります。

壁リフォームでペットの臭い対策

しかし、ペットと家の中で暮らしてきた歴史の長い欧米に比べ、私たち日本人とペットの室内での共同生活はまだ始まったばかりといえる状況です。靴を脱ぐ日本の住宅で外を歩き回る犬や猫をどうやって受け入れるか、臭いや住まいの傷をどうクリアするかなど、人とペットが共に快適に暮らせる住環境はまだまだ整備されているとはいえません。特に、臭いは共に生活している人にはなかなか分からないものです。花王株式会社が行った「においの意識調査」によると、図2のように「知人・友人の家で臭いが気になったことがあるか」の問いに、「よくある」または「たまにある」と答えた人は80%以上にもなり、図3のようにペット関連の臭いが第3位に上げられています。さらに、INAXが行ったアンケート調査では、家族がペットを飼うことに反対する理由の第1位は、「ニオイ」でした。
このようにペットと共に快適に暮らすためには、臭い対策は重要なのです。

壁リフォームでペットの臭い対策

ペットの臭いは、ペットのトイレから発するアンモニア臭や、ペット自身の体臭や口臭に起因します。また、ペットが普段使っている寝床やクッション、おもちゃ、カーペットなどはその臭いが染み付いています。それらの臭いを取り除くには、ペット自身を清潔にすることとこまめな清掃、十分な換気が大切ですが、なかなかそのために時間をつくることが難しい場合もあるでしょうし、冷暖房機器を使う冬や夏は換気もおろそかになりがちです。
そこで、ペットの臭い対策に壁のリフォームを考えてみてはいかがでしょうか。
部屋の中で壁の面積が占める割合は、思っているよりも大きなものです。例えば、6帖の部屋で床面積は約10平方メートルですが、壁面積は約25平方メートルにもなります。つまり、この壁を有効利用することでペットの臭い対策を効果的に実行できます。

では、ペットの臭い対策に適した壁材にはどんなものがあるでしょうか。

◆壁材選びのポイント

リフォーム後の生活が快適であるためには、消臭の他にも安全性が大切なポイントではないでしょうか。どんなにデザイン的に優れていても、機能が充実していても、健康を害してしまうようでは困ります。人間よりも嗅覚が優れているうえに体の小さなペットは、人間以上にさまざまな物質の影響を受けやすいといえます。
一般的に安全の目安としているのが、表示マークF☆☆☆☆ではないでしょうか。実際、現在の法規上では表示マークF☆☆☆☆のついた建材は使用制限の規制対象外です。しかし、その建材のどれもがホルムアルデヒドがゼロという意味ではありません。F☆☆☆☆は、28℃の温度条件において、1時間で建築材料1㎡当たりから発散されるホルムアルデヒドの量が5μg(0.005mg)以下であるということを示しただけです。つまり、F☆☆☆☆の建材でも、室温が28度以上になったときに、ホルムアルデヒドの量が5μg(0.005mg)以下であるとは限らないということです。通常、温度が上がれば発散速度は変わり、量も増えるからです。また、ゼロではないということは、密室状態では時間が経てば発散された分だけ室内の濃度が上がることにもなります。省エネの面から推奨されている高気密の家では、室内のホルムアルデヒドの数値が上がりやすいということになります。さらに、F☆☆☆☆はホルムアルデヒドの発散量のみについて示すもので、それ以外の化学物質の発散量について示すものではないということです。ホルムアルデヒドの他にも、室内の空気を汚染する化学物質として、VOC(揮発性有機化合物)があげられ、主なVOC13種については厚生労働省でも室内濃度の指針値を示しています。これらVOCの発生源は建材だけではなく、家具や衣類などの防虫剤、殺虫剤、芳香剤、防カビ剤、灯油なども発生源となっています。外出中に閉ざされた室内にいるペットの健康を考えれば、十分に留意したいものです。
そこで、今見直されているのが自然素材の壁材です。それぞれの自然素材の特性が活かされ、機能性・快適性の両方で優れており、いろいろな自然素材の壁材が発売されています。自然が作り上げた構造は、人工的に再現するのが難しいほど複雑且つ巧妙にできています。そして、それぞれ特有な構造は、自然環境に適応して創られたものであるため、神秘的なほど環境に順応する特性を持っています。素材の特性から生じる効果なので、薬品などを添加して得られる効果と違い、持続性や安全性の上でも優れているといえるでしょう。また、素材自体が自然のものですから、廃棄する際も環境を汚染する心配がいりません。いくつかの消臭効果が高い自然素材の製品例と特徴を説明しましょう。

□イ草

こうぞやみつまた、ケナフなどさまざまな植物繊維を使った壁紙が発売されていますが、その中でも、消臭効果が高いのはイ草です。畳などにも使われるイ草には、空気を清浄化する作用、防カビ・抗菌作用、調湿作用などがあります。また、シックハウス症候群の原因となる物質(ホルムアルデヒドなど)を吸着したら放出しないという特徴も持っています。イ草のほのかな香りには、沈静効果もあると言われています。そのイ草のよさを生かした壁紙があります。ビニールクロスよりも高価ですし、色・柄のバラエティーは少ないですが、自然な風合いならではの良さと自然素材という安心感があります。ただし、産地には気をつけたほうがよいでしょう。イ草は、輸入検査を受ける必要の有る品目です。輸入時に病害虫等が付着していることが判明した場合には、薬品による薫蒸、消毒等の措置を必要とします。製品となったものの輸入には検査は不要となっていますが、それはそれで心配とも言えます。例えば、現地で黒味が消えすっきりした色調になるからと有毒な二酸化硫黄で薫蒸した畳が高級材として市場に出ていたりします。安心できるイ草の壁材を選ぶのであれば、国産の低農薬・無農薬のイ草を原料としたものかどうか確認するほうがよいでしょう。

□珪藻土(図4・左)

内装材として珪藻土を売りにしている新築物件も見られるほど、最近はすっかり耳慣れた壁材です。珪藻土は、コテなどで塗布する左官材として一般的には使用されますが、珪藻土を混入したビニールクロスなども最近は発売されています。珪藻土は、藻類の一種である珪藻の殻の化石の堆積物(堆積岩)です。珪藻の殻は二酸化ケイ素でできているため、珪藻土もこれを主成分としています。混入している粘土粒子などの色の違いにより、珪藻土の色は白色、淡黄色、灰緑色と産地によってさまざまです。昔からろ過材として使われるほど、珪藻土は多孔質です。そのため、消臭効果があり、耐火性と断熱性に優れ、高い保温性と程よい吸湿性で昔から壁材として使われてきました。珪藻土そのものには接着能力はないので、壁材としては石灰やアクリル系接着剤や樹脂を混ぜて使用されるのが一般的です。したがって、珪藻土を数パーセントしか含まないものも多く流通していますので、成分をしっかり確認して選びましょう。珪藻土の機能を阻害しないためには、樹脂を含んでいないものが望ましいでしょう。

□石灰岩・貝殻(図4・右)

石灰岩や貝殻を焼成すると、成分が酸化カルシウムの生石灰になります。ちなみに、石灰岩からできた生石灰を石灰(いしばい)、貝殻からできたものを貝灰(かいばい)と呼びます。
生石灰に水を加えると成分が水酸化カルシウムの消石灰になり、消石灰に水を加えて練り合わせて壁に塗ると、空気中の二酸化炭素と反応して硬化します。消石灰を水で練ったものは粘性に乏しいので、壁材としての作業性を向上させるために角又(つのまた。暖海の岩上に生育する海藻)などの糊やスサと呼ばれる植物繊維を混ぜて補強したものが漆喰です。防火性が高いのが特徴で、古くは城や土蔵に使われたりしました。また、調湿機能を持ち、季節の変化に耐え、カビがつきにくいという性質をもつため、今でも押入れの壁などに使われることもあります。消臭性や遮音性、遮光性にも優れています。乾燥後の収縮率が高いためひびが入りやすいのが欠点といわれています。
ヨーロッパの建築にも石灰が使われています。それは消石灰に川砂だけを混ぜた石灰モルタルや生石灰を大量の水で練り寝かせてペースト状にした生石灰クリームです。生石灰クリームは、消石灰に比べて、硬化後の収縮が少なく表面硬度が硬いうえに、コテによる艶が出やすい特徴があります。樹脂を含んだ安価なものも多く発売されていますので、機能性や安全性を重視するなら、成分をよく確認しましょう。

壁リフォームでペットの臭い対策

□シラス

シラスは、2万5千年前、現在の鹿児島湾北部を火口とする姶良カルデラの大噴火によって発生した火砕流が堆積したもので、マグマの超高温で焼成された高純度のセラミック物質です。南九州はシラスによる広大な台地から形成され、シラス地層の厚さは5~60mから150mにもなります。シラスは、すでにマグマの超高温で焼成された高純度のセラミックですから、珪藻土や石灰のように焼成する必要がなく、製造過程においても省エネで環境に優しい材料といえます。
非晶質の割合が60~80%もあるシラスは、火山灰や他の火山噴出物とは全く異なる特異な性質をもっています。非晶質は、分子構成が不安定で活性化し、環境によって触媒反応等が起きやすくなることから、消臭・分解・殺菌・イオン化などの機能を発揮すると考えられています。図5が示すように家の臭いの大きな原因でもある物質の消臭性能に優れ、ホルムアルデヒドを吸着して再放出しません。また、多孔質なシラスの特性で、調湿性、断熱性、防火性にも優れています。

壁リフォームでペットの臭い対策

シラスを原料とした壁材は、漆喰や珪藻土とも違った独特の風合いと色合いが特徴です。図6はシラス壁の施工例です。最近では、ビニールクロスの上から塗れるリフォーム用のシラス壁材(図7)も発売されています。既存のクロスが下地にしっかり貼られていれば既存のクロスを剥がすことなくリフォーム用のシラス壁材が使えますので便利です。少し器用な人であれば、養生を念入りにすることと乾くまで家具などを動かさないことなどいくつかの注意点に気をつければ、ローラーで塗りつけることができるのでDIYでリフォームも可能です。

壁リフォームでペットの臭い対策

以上のように、さまざまな自然素材の壁材が発売されています。消臭効果と安全性を考慮したうえで、好みや予算などと合わせて決めるとよいでしょう。ただし、「自然素材」とうたっていても、わずかに自然素材が含まれているだけというものがたくさんありますので、よく成分を確認するようにしましょう。

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