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通信講座No.039 「環境によい庭を作ってみませんか?」

講座No.039-1 「環境に優しく省エネに役立つ庭づくりとは」

環境に優しく省エネに役立つ庭づくりとは地球温暖化対策とエネルギー政策は、世界共通の重要課題です。特に、2011年の東日本大震災における福島第一原発事故は、世界中の国々にとって、エネルギー政策の見直しを余儀なくさせることとなり、日本でも、電力のピーク対策や建材の省エネ性能の底上げなどを盛り込んだエネルギー使用の合理化に関する法律(省エネ法)の改正が進められています。(2012年3月現在)日本では、かねてから国交省、経産省、環境省の3省が運営する「低炭素社会に向けた住まいと住まい方推進会議」において住宅やオフィスビルなど新築建物すべてを対象に、省エネ基準の適合の「義務化」に向けた協議が進められており、現在、2020年の義務化に向けて関係省庁は動き始めています。「部門別のCO2排出量の推移(図1)」を見ると分かるように、近年、産業部門の排出量は減少傾向にある一方、運輸部門や家庭部門、業務その他の部門の排出量が増加していることがわかります。したがって、家庭部門からのCO2排出量をこれ以上増やさないようにするためには、省エネ基準適合の「義務化」はやむを得ぬ状況にあるのです。

政府ばかりではなく、地方自治体でも住宅の省エネ基準適合化は進められています。例えば、横浜市では、CASBEE横浜と称した建築物環境配慮制度を設け、(財)建築環境・省エネルギー機構(IBEC)が開発したCASBEEを基に横浜の地域性をふまえた評価システムを用いて、建築物の環境配慮の取組を進めています。2012年4月1日からは、従来2,000㎡以上に適用されていたこの制度を、戸建住宅にも適用し、環境配慮型住宅の拡充と一般市民への認知度の向上を図ろうとしています。CASBEE横浜により評価付けされた物件は、横浜市のホームページに公開されるとともに、不動産売買の際には、環境性能を表わすラベルを表示できます。また、省エネ基準住宅には、固定資産税や都市計画税の減税制度が受けられます。この減税制度は、新築だけではなく、断熱工事などによる熱損失防止改修住宅にも適用されます。このように、省エネ基準の適合は、新築の義務化だけに限らず、既存建築物の改修工事等にも影響を及ぼし始めているのです。今こそ、私たちは、自らの住まいや住まい方が環境に配慮されているかを見直す必要があるのではないでしょうか。

では、省エネで環境にやさしい環境配慮型住宅とは具体的にどんな住宅かCASBEE戸建を使って整理してみましょう。ちなみに、CASBEE戸建は、住宅に求められる様々な快適性及び品質を3分野11項目で、環境負荷の低減性を3分野10項目、合計54の採点項目を5段階で評価し、住まいの環境効率(エコ度)を総合的に測るものです。

◆環境品質・性能が高い住宅

□室内環境が快適・健康・安心である。

暑さ・寒さに対する対策(冬暖かく、夏は涼しい)。
明るさに対する対策(室内の照明が適切であると同時に、外の照明等の影響を受けない)。
健康と安全・安心に対する対策(バリアフリー、シックハウス対策)。
静かさに対する対策(外部に音が漏れにくく、外部の音が漏れ聞こえてこない)。

□長く使い続けることができる。

建物の長寿命に対する基本性能。
維持管理がしやすく、コストが経済的。
機能性の継続。

□街並み・生態系を豊かにする。

街並みや景観へ配慮し調和を図っている。
周辺の自然環境・緑環境の保全を図るため、既存生態系に影響を及ぼさない。
地域の安全・安心を妨げない。
地域の資源の活用と住文化を継承する。

◆環境負荷を低減する住宅

□エネルギーと水を大切に使う。

建物の工夫で省エネをする。
設備の性能で省エネをする。
水の節約をする。
維持管理と運用に工夫をする。

□資源を大切に使いゴミを減らす。

省資源、廃棄物抑制に役立つ材料を採用する。
生産・施工段階における廃棄物を削減する。
リサイクルの促進。

□地球・地域・周辺環境に配慮する。

地球環境への配慮。
地域環境への配慮。
周辺環境への配慮。

以上の項目から分かるように、省エネで環境にやさしい住まいとは、単に建物の省エネの基本性能を上げるだけではなく、地域や周辺環境、生物にも配慮し、建築している最中から維持管理、廃棄に到るまで、環境に負担をかけない住宅ということです。CASBEEでは、上記の項目をより細かく分けて評価し、「環境品質・性能」に関する点数を「環境負荷」に関する点数で割って求めた比率を環境効率として格付けします。つまり、いくら環境品質や性能が高くても、環境負荷が大きければ大きいほど、格付けは低くなります。図2はCASBEE評価結果シートの例です。赤い星が3つ並んでいる部分が環境効率の格付けを示した部分で、★が多いほどランクが高いことを示します。他にも、評価結果シートには、温暖化影響チャートや大項目のレーダーチャート、中項目ごとのバーチャートなどで、住まいの評価が分かり易く表示されており、自分の住まいの良いところと悪いところがよくわかります。このような客観的チェックシートを用いることで、環境配慮型住宅について見直すことができ、新築に限らず、既存住宅の改修工事のときにも役立ちます。

環境に優しく省エネに役立つ庭づくりとは

CASBEEのチェック項目からも分かるように、庭づくりにおいて省エネや環境負荷の軽減に役立つためには、街並みや景観に配慮し調和を図りながらも、周辺の自然環境・緑環境を保全し、既存生態系に悪影響を及ぼさないこと、そして地域の安全・安心を妨げないことが大切になります。いくら、緑豊かに植栽をしても、その植栽によって地域の生態系に悪影響をあたえるようでは感心できませんし、見通しを悪くしてしまっては防犯対策上安全とは言えません。さらに、環境負荷を低減するための工夫を庭に施すことも大切です。例えば、建物の品質・性能を最大限に活かすために、冬は日差しを遮らずに室内を暖め、夏の日差しは適度に遮断し室内の温度を上昇させないような植栽が望ましいでしょう。また、雨水を利用したり、適宜に地中に浸透させることができるようにしておくこともゲリラ豪雨のような集中豪雨時の地域環境の安全確保やヒートアイランド現象の緩和のためにも大切です。
このような観点から、環境配慮型の庭づくりに適した具体策をあげてみましょう。

1.建物の設計に適した植栽を配置する。
南側に大きな窓を設置していることが多い日本の住宅では、冬の日差しを遮らないように植栽を選び、配置する必要があります。場合によっては、近隣の建物や植栽も考慮することも必要です。背の高い植栽を避け、道路からの目隠し程度にした方が、防犯対策上も安心でしょう。夏の日差し対策として、ツル系の植物で緑のカーテンを作れば、夏の省エネ対策にもなります。緑のカーテンの詳細については、通信講座No.31-1をご参照ください。

2.透水タイプのたたき材や舗装材を利用する。
地域によって異なりますが、多くの住宅では雨水は雨樋を伝って雨水枡から下水へと排水されます。しかし、雨が降っているのは屋根の上ばかりではありません。庭に落ちた雨水が、すぐに排水溝へと流れるばかりでは、最近の問題になるゲリラ豪雨の時に都市型洪水の危険が増えてしまいます。適度に庭の土壌から地中へと浸透していくことが望ましく、さらに庭や家屋のことを考えれば土壌が流れないような対策を講じるとよいでしょう。例えば、アプローチや犬走り、南面の掃出し窓下などに、透水タイプのたたき材や舗装材を使用すれば、コンクリートのように雨水が流れることも足下や建物が土の跳ね返りで汚れる心配もありません。夏にはコンクリートに比べて輻射熱が少なく、照り返しを和らげる効果もあります。さらに、打ち水をすれば、気化熱による涼を得ることも可能です。透水タイプのたたき材や舗装材の詳細については、通信講座No.31-2をご参照ください。

環境に優しく省エネに役立つ庭づくりとは

3.雨水利用システムを導入する。
雨水は貴重な資源のひとつです。庭の水まき、洗車はもちろん、災害時には生活雑水としても利用できます。震災時に必ず問題になるのが、トイレの水です。飲み水さえ制限される状況下で、トイレの水を確保することは非常に困難です。そのため、トイレを我慢しがちになり、体調を崩す人が多いといわれています。雨水タンクを設置しておけば、非常時も安心です。雨水利用システムも簡易なものから、大がかりのものまでさまざまです。用途や大きさ、予算などに合わせて選ぶとよいでしょう。

4.ビオトープ池を設置する。
ビオトープとは、生物「Bios」と場所「Topos」というギリシャ語をもとにつくられたドイツの言葉で「生き物の暮らせる場所」を意味しています。自然環境は、本来そこに生息していた生き物とともに保全しなくてはなりません。本来の植生と生態系を復元するビオトープづくりの取り組みは、自然環境を守る上で、最も有効な手段のひとつとされています。このビオトープの方法論を取り入れたビオトープ池は、例え小さな池でも周辺環境や地域環境の生態系を豊かにする拠点として大きな役割を果たします。庭にあるビオトープ池がその地域の生物の餌場や水場になり、地域の自然公園や里山への中継点、大自然への入口となるのです。教育的観点から幼稚園や学校などでも取り組んでいます。大きな池をつくる必要はありません。家族が協力してできる池でよいのです。枯れていた植物たちが緑を増し、そしてつつましい花をつける。トンボが羽化する。思わぬ野鳥が来訪する。家に居ながら、自然の営みを見守る楽しみを味わえます。

環境に優しく省エネに役立つ庭づくりとは

環境により庭づくりの方法は、いろいろあります。庭の大きさや建物の間取り、近隣の状況、そして家族のライフスタイルに適した方法でチャレンジしてみるとよいでしょう。

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