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通信講座No.039 「環境によい庭を作ってみませんか?」

講座No.039-2 「ビオトープ池づくりのポイントと楽しみ方」

前講座で、環境によい庭づくりの具体策をいくつかあげました。その中の1つ、ビオトープ池の作り方について詳しく説明しましょう。

ビオトープ池は、観賞用の金魚や鯉などを飼うための池ではありません。本来そこに生育していた生き物とともに、自然環境を復元するための池です。そのため、ビオトープ池づくりでもっとも大切なことは、できるだけ本来の植生と生態系を復元することです。適切で適量な植栽と生き物を配することで、池の水が自然に浄化できるように保ちます。したがって、大きければよいというわけではありませんし、金魚や鯉を飼う池のように水を取替えたりする必要は基本的にありません。

それでは、DIYで作る方法を説明しましょう。複雑な作業ではありませんので、ご家族で楽しみながら作ることが可能です。

◆用意するもの(0.5坪用)※ビオトープ・キット「水澄まし」(販売:株式会社高千穂)使用

ビオトープ池づくりのポイントと楽しみ方

□松杭 直径10cmx長さ50cm~1mのものを60本前後(池の外周に打ち込みます。)

水に強い松杭を使用します。ホームセンター等で購入するなら焼杭杉でもよいでしょう。池に入れる植物や生き物にも配慮し、化学物質による防腐処理を施したものは避けましょう。

□椰子繊維ネット(池の外周半分に土留めに使います。)

池に入れる植物や生き物に配慮し、自然素材のネットを使用することをお薦めします。ホームセンター等での購入が難しい場合や予算を抑えたい場合は、ゴルフネットのようなもので代用することも可能です。

□椰子繊維ネット止め杭

□敷石 18㎏入り 4袋(水が流れ込むところに設置します。)

池に水深の浅いところ、深いところを作るために使います。池のデザインによって、必要な量は異なります。

□防水シート 1.5㎜厚のもの(池全体を覆うようにします。)

大きめなものを用意します。一枚もので覆うようにすると、水漏れの心配がないので施工も簡単です。

□循環ポンプ&ストレーナー(配管)

立ち上げ時や大雨などで大量の水が池に注がれたときに水質環境を整えるのにあるとよいでしょう。

□赤土 適宜

庭の土を使う場合は土壌テストを行ってからにしましょう。

□ブロアー

空気を吹き込む機械で、機械的攪拌により酸化作用を促進させ、好気性微生物による分解作用を促すために使用します。立ち上げ時のみに必要なため、購入せずに用意できるとよいでしょう。

□炭素源ボール 30ℓ

立ち上げ時とその後の水質環境を維持し易くするため材料です。(ビオトープ・キット「水澄まし」のオリジナル品)

◆施工手順

ビオトープ池づくりのポイントと楽しみ方まず、循環ポンプの設置場所を考慮し、池をつくる場所を決めます。池のビオトープが成長することを考えて決めると良いでしょう。また、場所を決める時、樹木などで、池の一部が日陰となるようなところを選びましょう。日陰は生物の住処となり、真夏、水温が上昇しすぎるのを防いでくれます。既存の植栽を活かしつつ、余分な植栽は移植を行います。

移植が終わったら、池の形に合わせて掘削します。一番浅いところは40㎝ほど、一番深い部分を80㎝ほど掘るようし、池の淵から階段状にするとよいでしょう。20㎝~30㎝ほどの厚さで土を敷き詰めることを考えて掘りしょう。

池の掘削ができたら、防水シートを敷きます。池よりも大きめにシートをカットします。作業中に防水シートを傷つけないように注意しましょう。

循環ポンプにつなぐ配管(ストレーナー)を設置します。

シートの上に赤土を20㎝~30㎝の厚さで敷き詰めます。庭の土を使う場合は土壌テストを行ってからにしましょう。庭の土が使えるかどうか判断するには、掘った土を水に入れてかき混ぜて、水が透明に戻れば使用できますが、濁ったり、土が浮いたりする場合は使えません。

池の周囲に松杭を打ち込みます。防水シートを傷つけないように、シートの外側に打っていきます。シートの余分を切って整えます。

循環ポンプを設置し、配管(ストレーナー)を接続します。

炭素源ボールを均一に埋め込みます。

ビオトープ池づくりのポイントと楽しみ方

ビオトープ池づくりのポイントと楽しみ方土で覆った池の斜面に土留め用のネットを固定します。ネットは、生き物たちの住処となり、卵を産み付け子育ての場所になりますので、自然素材のものがよいでしょう。ネットの上は、土で軽く覆います。

土が流れたり崩れたりしないようにするため、水の流れ込む部分に石を敷きます。池底に起伏をつくることで池の中の状態を多化できる上に、景観も良くなります。

斜面の部分に、植物を植え込みます。図1のように沈水植物、抽水植物、湿地植物をそれぞれ生育条件に合わせて植えていきましょう。ビオトープ池に適した植物は後述を参考に選びましょう。生き物を入れる場合は、その生き物のことを考えて選ぶことが大切です。

生き物の住む水環境にするためには、この後サイクリング(水質環境の立ち上げ)という作業を行います。サイクリング後、生き物を入れれば大自然の入り口、小さなビオトープ池の完成です。

ビオトープ池づくりのポイントと楽しみ方

◆水質環境の立ち上げについて

□水質環境の立上げ手順

①還元(嫌気)域の立ち上げ
粒浮遊物の沈降を促し、水の貧酸素状態を保つために一定期間は止水状態を維持します。還元域の立ち上げ期間は、最高気温30℃以上、または30℃前後の夏場で約3日間、最高気温20℃前後の春・秋で5日間、最高気温10℃以下の冬場で7日から10日間を要します。※その間はブロアー、循環ポンプなどの付帯設備は一切稼動しないでください。

②酸化(好気)域の立ち上げ
水状態の維持開始から所定の日数が経過した時点でブロアーの稼動を始め、曝気(エアレーション)により水中の溶存酸素量を高めるとともに池の土壌表層部に酸素の豊潤な環境を作ります。

③生体の投入
ブロアーの稼動から2~3日を経過した時点で、生体を移入します。生体を購入もしくは捕獲したときに入れた容器のまま、水の上に約30分浮かべて水に慣らします。その後、容器から取り出し移入します。

④循環ポンプの稼動
生体の移入と同時に循環ポンプを稼動します。

□立ち上げ完了

水温が適正で溶存酸素が潤沢な水環境の下では、稼動から夏場で3週間(約21日間)、春秋4週間(約28日間)、冬場で5週間(約35日間)を経過した時点が立ち上げ完了の目安です。所定の日数が経過した後、水の状態を確認した上でブロアーと循環ポンプの稼動を停止し、環境を安定させてください。なお、大雨の後や水を多量に足した時は、2~3日循環ポンプを稼動するとよいでしょう。

◆元気なビオトープ池に必要な植物と生き物について

元気なビオトープ池にするために、図12のように適切な植物を用意し、生物の投入も必要です。一般的に用意される植物と生物は下記のとおりです。池の大きさにもよりますが、繁殖することも考慮して、あまり多くを入れないように注意しましょう。また、池の中に外来種やもともと地域には存在してない動植物を投入することはやめましょう。

ビオトープ池づくりのポイントと楽しみ方

□土壌動物(図13)

・陸産貝類(カワニナ、モノアラガイ、カワエビ、ヨコエビ)

ビオトープ池づくりのポイントと楽しみ方

□昆虫類(図14)

・トンボ類(シオカラトンボ、ギンヤンマ)
・ヘイケホタル

ビオトープ池づくりのポイントと楽しみ方

□両生類(図15)

・アズマヒキガエル
・ニホンアカガエル

ビオトープ池づくりのポイントと楽しみ方

□魚類(図16)

・クロメダカ
・ホトケドジョウ

ビオトープ池づくりのポイントと楽しみ方

□苔類(図17)

・ニセヤハズゴケ
・ケゼニゴケ

ビオトープ池づくりのポイントと楽しみ方

□高等植物(図18)

・浮葉植物(コウホネ)
・沈水植物(マツバイ)
・抽水植物(オモダカ、コガマ)
・湿生植物(イグサ、セリ)

ビオトープ池づくりのポイントと楽しみ方

◆ビオトープ池のメンテナンスについて

下記の点に留意して、できるだけ手を加えずに自然のまま見守っていただくことをお勧めします。

通常は、循環ポンプは停止します。
降水量が極端に少ない時期や夏期の水位に気をつけましょう。水が少なくなっている場合は、少しずつ水を足してください。
大雨の後や水を多量に足した時は、2~3日循環ポンプを稼動します。
落ち葉などが多量に混入した場合は、取り除きましょう。
動植物が増えすぎた場合や大きくなりすぎた場合は、間引きが必要です。ただし、勝手に川や沼などに捨てないようにしてください。
外来種や本来の繁殖区域ではない動植物の混入は避けてください。

ビオトープ池は、鑑賞用ではなく、自然の循環の一部を庭に復元したものです。したがって、季節の移り変わりとともに変化するさまや枯れた植栽が再生する自然の力を観察し、それを楽しむものです。人工的に何もかも手を入れて整えるのではなく、お子様やお孫さんと一緒に自然の循環の様子を注意深く見守り、たまに少し手助けするというスタンスで楽しむとよいでしょう。山や森に行かなくても、庭という限られた空間の小さな池が自然の一部であることを再認識できるに違いありません。それは、環境配慮型住宅の機能や性能ばかりではなく、ライフスタイルも見直すきっかけになるはずです。

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