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通信講座No.042 「打ち水をしてみよう」

講座No.042-1 「効果的な打ち水とは」

最近、大暑の頃に、さまざまな場所で打ち水のイベントが行われています。ヒートアイランド対策として呼び掛けていることが多く、それぞれの地域で参加者が一斉に打ち水をするイベントや社会実験として効果の計測を兼ねて行われたりもしています。

そもそも、打ち水は、茶道において欠かせない作法の一つで、現在のようにヒートアイランド対策のためではなく、もてなしの作法としてずっと昔から行われてきました。茶席では「三露」といって露地に三度の打ち水がなされたり、玄関に打ち水がされていれば、茶会や茶事のおり主催者の準備が全て整っていることを示したりします。

では、打ち水は本当に暑さ対策に効果があるのでしょうか。
結論から言えば、打ち水後はある一定時間において、気温の低下が見られることがさまざまなデーダに示されています。ただし、打ち水をする場所、地域環境、時間、天気、風などさまざまな条件により効果の程度に差が生じます。また、気温の低下と同時に、ある一定時間において湿度の上昇も確認されています。気温の低下と湿度の上昇は相反するため、体感的な暑さの軽減は実際の気温の低下よりも少なくなっています。しかし、打ち水大作戦本部がこれまでに行った「いっせい打ち水特設会場」の計測結果をまとめた「打ち水大作戦効果測定データ集 平成23年7月」によれば、気温や湿度が示す以上の効果を生んでいることが良くわかります。
図1と図2はデータ集に示されているグラフの一部で、平成16 年から平成18 年にかけて、都内の打ち水大作戦特設会場において、参加者を対象に実施したアンケートの結果です(有効回答数合計1329)。天気や時間に関わらず、約9割の人が打ち水をして涼しく感じたと答えています。また、約8割の人が打ち水をして風を感じています。なお、日中に打ち水をした方が気温の低下は大きくなりますが、夕方の方が涼しく感じる人が多いようです。

効果的な打ち水とは

さらに、データ集によれば、約9割の人は打ち水が楽しかったと感じ、約8割の人は継続したいと思っています。また、平成21 年と平成22 年に、インターネット上で行った調査の結果では(有効回答数4,000)、打ち水をすることで約7割の人は生活が変わったと思っており、その内の23%の人は風呂水、雨水などを貯めるようになったと答え、22%の人は環境問題への関心が高まったと答えています。
※「打ち水大作戦効果測定データ集 平成23年7月」の詳細はこちらをご参照ください。

このように、打ち水にはヒートアイランド対策や暑さ軽減という実質的な効果だけではなく、生活スタイルや環境問題への意識を変える効果もあるようです。

では、打ち水を効果的に行うにはどうしたらよいでしょうか。
打ち水が効果的な時間帯は、一般的に朝夕の日が高くない時間に行なうことが良いとされています。それは、路面がアスファルトなどの場合、熱せられた状態に打ち水をしても、水はすぐに蒸発してしまい、気温上昇の抑制効果が得にくいためです。 朝夕の比較的気温が低い時間に打ち水することにより、地面などの温度上昇を抑制する効果を持続させることができるのです。そして、もっとも大切なことは、水道水ではなく二次利用水を使うことです。二次利用水とは、お風呂やシャワーの残り水、エアコンの室外機から出る水、雨水、台所のすすぎの残り水、米のとぎ汁、二層式洗濯機のすすぎ水、雑巾がけのすすぎ水などです。路面だけでなく、屋上やベランダ、壁、室外機の周りなどにも打ち水をするとよいでしょう。
路面や壁などに保水性の高い建材が使われていれば、より高い効果が得られます。環境省の資料によれば、保水性建材による道路や建物表面が保水することにより温度上昇が抑制されて、大気への影響も軽減されるため、ヒートアイランドの抑制につながるとされています。環境省の資料に記載された文献によると道路などでは10℃程度低下するそうです。また、夏は、蒸散により建物表面温度が抑制されて、冷房負荷が削減されるとも記されています。
植栽への打ち水も効果的です。それは、植物は自分自身の体を守るため、限られた水分を効率よく利用して蒸散により自分の体温を下げる仕組みを持っているからだそうです。また、葉の陰になっている空間の気温は、葉の表面温度よりもさらに低くなることから、そこで冷やされた空気が風や対流で拡散し、植物周辺の温度は気温よりさらに降下します。この現象が植物による打ち水効果です。したがって、路面などに直接打ち水を行うよりも、植物を植えて打ち水をした方が持続的で効率のよい気温降下が期待できます。株式会社サカタのタネによれば、植物は周辺の温度や湿度に微妙に反応しながら適切な蒸散を続けるので、人力や動力によるよりも経済的かつ効率的に打ち水効果が実現できるとしています。
さらに環境浄化植物のサンパチェンスなら、環境にも良く、見た目にも美しく打ち水効果を得ることができます。サンパチェンスは株式会社サカタのタネが開発した品種で、図3が示すように従来の花き園芸植物の約4~6倍もの高い炭素固定(CO2吸収)能力と、水中に溶けた窒素やリンといった栄養塩類に対する高い浄化機能を持った植物です。

効果的な打ち水とは

図4は、株式会社サカタのタネが野外でサーモカメラを用いて行った植物の打ち水効果の実験結果です。サンパチェンスの表面温度は他の花き植物よりも3.0~4.5℃低い結果となり、気温よりも2.5℃低く、地面の温度よりも10℃以上低い結果になったそうです。表面温度が低ければ、その分周辺の温度を効果的に下げることが期待できます。

効果的な打ち水とは

また、気温34℃の日にサーモカメラを用いて緑のカーテンとサンパチェンスの葉の表面温度の測定を行ったところ、図5が示すように、緑のカーテンよりもサンパチェンスの方が、打ち水の効果があることが分かりました。したがって、緑のカーテンで日射を防ぎながら、サンパチェンスで打ち水効果を得れば、より省エネやヒートアイランド対策に役立つといえるでしょう。

効果的な打ち水とは

※サンパチェンスの詳細については、株式会社サカタのタネのHPをご覧下さい。

このように、古からの智恵「打ち水」と植物が持つ自然のちからを上手に使って、まずは手軽にできるエコ&省エネにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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