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通信講座No.042 「打ち水をしてみよう」

講座No.042-2 「打ち水効果をアップする建材と設備」

前講座で説明したとおり、正しい打ち水は一時の涼を得るだけではなく、省エネやエコに役立ちます。
そこで、本講座では打ち水の効果が持続し、省エネ&エコに役立つ建材や住宅設備について説明しましょう。

◆雨水を利用する

前講座で説明したように、打ち水で大切なことは水道水ではなく二次利用水を使うことです。水道水は貴重な自然資源であり、多くのエネルギーを要して私たちのもとに届けられています。そんな貴重な水道水を打ち水に使うことは、省エネやエコとはいえません。そこで、打ち水には、お風呂の残り水やエアコンの室外機から出る水などを再利用するのはもちろんですが、ぜひ有効利用したいのが雨水です。雨水は打ち水や庭の水まきはもちろん、災害時には生活雑水としても利用できます。震災時に必ず問題になるのが、トイレの水です。飲み水さえ制限される状況下で、トイレの水を確保することは非常に困難です。そのため、トイレを我慢しがちになり、体調を崩す人が多いといわれています。雨水タンクを設置しておけば、非常時も安心です。雨水タンクの利用方法は簡易なものから、大規模のものまでさまざまで、ホームセンターや通販で購入し、自分で設置できる手軽なものから埋設タイプのものなど、大きさも形も強度もいろいろあります。

打ち水効果をアップする建材と設備例えば、図1のように省スペースタイプの雨水タンクなら、比較的簡単な工事で設置できます。一方、図2は図3で示すような本格的な雨水利用システム用のタンクの設置例です。図3のような本格的な雨水利用システムは、増改築や新築、外構工事などと同時期の施工を検討すると無駄なコストを抑えることができます。大きなタンクは敷地や庭の有効利用の妨げになるので、通常は埋設します。埋設したタンクに溜めた雨水は、汲み上げポンプやフィルターを設置することで、トイレなどの生活用水としても可能です。
雨水をどう利用するかをよく考え、用途とライフスタイルにあった容量と設置方法を選びましょう。ちなみに、1坪タイプの浴室の使われている浴槽を満水にしたとすると240~250ℓになります。夏に十分な水を確保するためには、かなりの大きさのタンクが必要になります。タンクが大きくなると設置スペースの問題だけではなく、設置場所の安全のために基礎工事も必要になりますので、まずは工務店やリフォーム会社に相談するようにしましょう。

また、各都市の行政機関によっては雨水貯留槽設置補助事業が行われていますので、助成金を申し込むこともできます。例えば、横浜市では、100ℓ以上の雨水タンク(雨水貯留槽)の購入費用を上限2万円まで助成します。(但し、平成24年度は予定数に達したため申請受付終了)川崎市では、市販されている容量100ℓ以上の未使用の雨水タンクに対して、購入費用の1/2(上限3万円)が助成されます。その他の地域でもそれぞれ助成制度がありますので、一度問い合せてみるとよいでしょう。

◆保水性建材を利用する

保水性建材を利用することで、水の気化により表面温度が低下し、輻射熱の改善や気温低下の効果が持続的に得ることが可能になります。

□舗装材

一般的に、住宅の犬ばしりやアプローチには、コンクリートやタイル、敷石などが使われていますが、これらの素材は熱伝導率が高いため、夏は熱く冬は冷たくなりやすいというデメリットもあります。家の中の温熱環境は外気温度の影響を大きく受けますので、室内の温度管理のためには、家の周りの温度は重要なことです。そこで、家の周りの外気温の上昇を押さえるために、犬ばしりやアプローチの表面温度の上昇を抑える効果のある保水性舗装材を使うことをお勧めします。
図4は、路面温度上昇抑制舗装研究会によるもので、それによると一般のアスファルト舗装と比較した場合に保水性舗装は、上空数mの位置で1℃程度の大気温度の上昇抑制効果が期待できるとされています。また、歩行者環境に注目した場合には、ベビーカーに乗った幼児の高さに相当する50cmの位置で2℃程度の大気温度の上昇抑制効果が期待できるそうです。

打ち水効果をアップする建材と設備

保水性舗装材は、保水性アスファルトや保水性ブロックなど、形状も主原料もさまざまで、製品の主原料や施工方法の違いによって強度に差があるため、敷設する場所や用途に合わせた舗装材を選ぶ必要があります。ただし、家のまわりに使用する舗装材は人の歩行に耐えられればよいのですから、強度をポイントにするのではなく、環境に優しい自然素材を原料としたものが良いでしょう。保水性舗装材が十分な効果を発揮するためには、降雨や打ち水などで保水した水分をゆっくりと蒸発することが大切です。長時間継続する水分の蒸発とともに、まわりの空気質に悪影響を与えることがあってはいけません。さらに、保水性舗装材は、透水性を合わせ持つものが多くありますので、舗装材を浸透した水が土壌に悪影響を与えてもいけません。このような理由からも、環境にやさしい自然素材でできた舗装材なら安心といえるしょう。
図5と図6は保水性舗装材の施工例で、マグマセラミック・シラスを原料とした自然素材100%の舗装材とたたき材です。多孔質なシラスの特性を活かした保水性と極めて高い透水能力を持ち、水たまりができず、濡れてもすべりにくく、安全で歩きやすい舗装材です。また、輻射熱をためにくく、照り返しの熱をやわらげる効果もあります。

打ち水効果をアップする建材と設備

□外壁材

熱の流入割合が多い外壁に保水性がある素材を使用すれば、気化熱作用で温度上昇を抑制することができます。雨を内部に侵入させないという外壁の基本的防水機能を保ちつつ、壁材表面に保水性がある材質であれば、打ち水をある程度染み込ませ、その気化により冷却作用が生じます。防水性はもちろん、建物の意匠性や耐久性にも優れている保水性外壁材を選ぶとよいでしょう。

①シラス壁
打ち水効果をアップする建材と設備図7は、マグマセラミック・シラスを原料とした自然素材100%の外壁材「スーパー白洲そとん壁W」(高千穂シラス株式会社)の施工例で、優れた防水機能と保水性、耐候性を併せ持った外壁材です。図7の壁が濡れ色をしているのは、自動打ち水システム「クルクール」により、外壁に保水させているからです。この打ち水システムにより、壁表面温度で5~10℃、室内温度で3~4℃低くすることが可能です。

図8は、「スーパー白洲そとん壁W+打ち水システム」の実証実験の熱画像と温度変化グラフです。熱画像左下の白○印をつけた実験棟は一般的なモルタル外壁、右下の青○印をつけた実験棟はそとん壁Wの外壁に打ち水システムにより保水させた状態です。外壁表面温度で、5~10℃差があることが分かります。

打ち水効果をアップする建材と設備

②壁面緑化
植物の蒸散作用と緑陰効果で温度上昇を抑えることができます。最近は、土壌がなくても生育する植物の研究や基盤材の軽量化が進み、施工可能範囲が広がってきています。例えば、図9は保水性のある繊維ボードとコケを合わせてマット状にした製品(株式会社モス山形)です。保水性に優れ、雨水の当たる場所であれば、灌水・施肥などのメンテナンスがほとんど不用なうえに、接着剤・ビス等で建物に固定することができ、施工性にも優れています。打ち水に効果的なだけではなく、断熱効果もあり、製品自身の光合成による二酸化炭素の吸収削減も期待できる環境に優しい省エネ&エコ製品です。

打ち水効果をアップする建材と設備

□屋根材

打ち水効果をアップする建材と設備 屋根に自分で打ち水することは難しいですが、屋根材にも壁面緑化と同様に植物の蒸散作用と緑陰効果で温度上昇を抑える製品が発売されています。防水及び防根技術や軽量化が進み、既存の建物にも使いやすい製品がいろいろあります。例えば、陸屋根の場合は、前述のコケマットの他にも、図10のような薄くて強い保水セラミックパネル上に耐乾性に優れた植物を設置した屋上緑化製品(株式会社トーケン)も発売されています。製品を置くだけの簡単な工法で、灌水もほとんど必要がないため、設置後のメンテナンスや建物への負担も少なくてすみます。
また、図11は、瓦と緑化システムが一体化した製品です。苔の保水性と蒸散効果によりヒートアイランド化を抑制します。苔の遮熱効果もあり、通常の瓦と比べ最大15.6℃もの温度差が実証されています。瓦には乾燥に強いスナゴケが埋め込んでありますが、スナゴケは根が無いので防根シートなどを必要とせず、手入れがほとんど不要です。

打ち水効果をアップする建材と設備

◆保水性建材選びの注意点

水性のある舗装材や外壁材を選ぶ時に気をつけなければならないのが、その地方の気候条件に耐えられる耐久性があるかどうかです。さまざまな建材や設備には寒冷地仕様というのがあり、凍結溶解に耐えられるかどうかで仕様が分類されています。その土地の気候条件に適さないものを使うと早期劣化の原因となります。例えば、前述した保水性のある外壁材・スーパー白洲そとん壁Wは、気温-18度と+23度(温度差41度)の凍結融解テストを繰り返し連続80回行った結果、変化は一切見られず、シラスのもつ多孔質と完全無機質による物質安定性が実証されています。
気化熱による冷却もしくは温度上昇抑止はさまざまな実験で確認できていますが、同時に相対湿度が上がることもわかっています。家の周りに適度な通風を確保しないと、温度が下がっても湿度のせいで、体感温度は上がってしまいます。庭木の剪定やフェンスの見直しなど風の通り道をしっかり確保するようにしましょう。

緑化による蒸散作用も、気化熱による冷却作用も自然の力によるもので、無駄なエネルギーを使わずに打ち水と相まってより高い効果を得ることが可能です。最新の自然素材活用技術による建材や設備を住まいに取り入れながら、自然エネルギーを上手に活用して、省エネで環境にやさしい夏の暑さ対策にチャレンジしてみましょう。

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