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通信講座No.045 「あなたの住まいの空気はきれいですか?」

講座No.045-1 「すぐに実行できる住まいの空気対策」

かつての日本家屋は、木造で、襖や障子、土の壁で仕切られ、床は木材や畳が敷かれた構造でした。日本の夏の高温多湿の気候に都合がよく、通気のよいつくりでした。
近年、私たちの住まいは、高断熱化と高気密化が進み、外の暑さ、寒さや騒音などの影響を受けにくい住環境となっています。高断熱化・高気密化は省エネの観点からも私たちの生活には重要な機能です。しかし、高気密化が進むにつれ、建材、家具、消臭剤、芳香剤などさまざまなものから発生する化学物質などによる室内空気汚染と、それによる健康影響が指摘されるようになりました。その健康影響が、今では誰もが耳にしたことのある「シックハウス症候群」です。その症状は、目がチカチカする、鼻水、のどの乾燥、吐き気、頭痛、湿疹など人によってさまざまです。人に与える影響は個人差が大きく、同じ部屋にいるのに、まったく影響を受けない人もいれば、敏感に反応してしまう人もいます。シックハウス症候群の原因は、化学物質による空気汚染だけではありません。住まいの高気密化・高断熱化により、湿度が高いと細菌、カビ、ダニが繁殖しやすくなります。さらに、石油ストーブやガスストーブからも一酸化炭素、二酸化炭素、窒素酸化物などの汚染物質が放出されます。たばこの煙にも有害な化学物質が含まれています。つまり、私たちが普通に生活しているだけで、住まいの中はシックハウス症候群の原因となる物質に溢れているといえます。
空気をきれいにすることは病気を予防することにもつながります。あのナイチンゲールは、すでに100年以上も前にこの換気の大切さに着目し、衛生管理とともに徹底して行うことで、感染で病人が増えるのを抑えた記録が残っています。
安らぎの場であるはずのわが家が、不快で不健康の原因となるほどつらいことはありません。あなた自身と家族の健康を守るために、住まいの空気について考えてみましょう。

◆防止対策

厚生労働省では、生活環境におけるシックハウス対策として、カビ・ダニ対策と化学物質対策の2つを勧めています。

□カビ・ダニ対策

カビ・ダニ対策では、湿度(空気中の水分)に気をつけることが大切です。湿度が高くなると、カビが繁殖しやすくなります。そして、高気密・高断熱の現代の住まいでは、1年中繁殖が可能です。カビはダニの大好物ですし、カビそのものが真菌症やアレルギーなどの原因になります。逆に、乾燥しすぎると、のどの粘膜を傷つけ、風邪をひきやすくなります。そのため湿度は50%くらいに保つようにするとよいでしょう。
①住まいの湿気度をチェックしましょう。
カビやダニの繁殖の原因となる住まいの湿気の発生源は、人の体、暖房、加湿器、調理、洗濯物、植木鉢、水槽、浴室などいろいろとあります。そこで、まずは自分の住まいの水蒸気の発生源とその量を確認してみましょう。下記のリストで自分に当てはまる項目が何個あるかチェックしてみてください。その結果を住まいの湿気度の目安として、これからの対策や処置に役立てましょう。

◇湿度計がありますか。
◇1日中、家を閉め切りにしていませんか。
◇室内を換気するときに、対角線方向の窓を開けるなど効果的な換気をしていますか。
◇炊事のとき、換気扇を回していますか。
◇湯沸器を使うとき、換気扇を回していますか。
◇鍋物をするとき、換気扇を回していますか。
◇入浴中、換気扇を回すか、窓を開けていますか。 ◇入浴後、浴室の壁が乾くまで換気扇を回すか、窓を開けていますか。
◇室内に鉢植えが大量に置いてありませんか。
◇室内に熱帯魚の水槽がありませんか。
◇室内に洗濯物を干していませんか。
◇乾燥機(洗濯用、食器用、浴室)の排気が室内に排出されていませんか。
◇石油ストーブやガスストーブの上に、やかんを乗せていませんか。
◇石油スト-ブやガススト-ブ、ファンヒ-タ-を使用しているとき、換気をしていますか。
◇加湿器を必要以上に使用していませんか。
◇窓ガラス、アルミサッシにできた結露をふき取っていますか。

■チェック数15以上  ランクA
立派です。あなたの住まいの湿度環境はかなり良好に保たれているはずです。今後もこの状態を維持していきましょう。
■チェック数14~10 ランクB
少し気を許すとすぐにカビが顔を出します。湿気対策で大切なのは継続していくことです。
■チェック数9以上   ランクC
このままではカビやダニは増える一方。室内から湿気を追い出すために、まずやれる項目から実行していきましょう。

なお、下記の表は、部屋ごとの湿気や結露の原因と対策、さらに注意すべき季節をまとめたものです。表を参考に、日頃から場所にあった適切な対策を実行しましょう。

すぐに実行できる住まいの空気対策

②換気を心がけましょう。
キッチンや浴室、トイレなどの換気設備を活用して、汚れた空気を排気するとともに、とき どき窓を開けて新しい空気を入れましょう。換気は、湿気の除去にも有効です。

③通気を確保しましょう。
壁や窓ガラスなどの表面は、どうしても温度が低くなり、結露が起こりやすくなっています。これはカビの育成に好都合です。壁や窓ガラスなど結露を起こしやすい場所の通風を良くし、壁や窓付近の温度を部屋中央の温度とおなじくらいにするとともに、結露してしまった水分を再び蒸発させるようにすることは、防カビ対策として有効です。また、家具のうしろや押入の奥などは通風がわるくなりがちなので、その付近の通風が確保されるようにしましょう。

④日照を利用しましょう。
太陽光には、乾燥と殺菌の効果があります。畳・カーペット・寝具などの日光干しを行って、常に乾燥した状態におくように心がけると、それだけでかなりの防カビ効果が期待できます。さらに、直射光を受けるとその部分の相対湿度が下がるので、その点においてもカビの育成を防ぐ効果があります

⑤こまめに掃除しましょう。
ダニやダニの死骸、ふんなどがアレルギー、ぜんそく、皮膚炎、結膜炎などを起こし、これらの症状を悪化させることがあります。また、食べかすやフケなどはダニのエサにもなります。したがって、こまめな掃除や洗濯により、ダニによる室内環境汚染を防止することができます。
掃除は部屋だけではなく、エアコンや除湿機も定期的に掃除することが大切です。管理が不十分だと、中で増殖したカビの胞子を部屋にまき散らすことになります。それを防ぐためには、フィルターを月に1回以上は掃除する必要があります。また、エアコンを運転する前には窓を開け送風運転をして胞子を排出する、スイッチを切る前も送風運転してエアコン内をよく乾燥させる、というように清潔に保つ工夫も必要です。
カビが発生している場所は、胞子や菌糸を残さないよう撤去する必要があります。風呂場など水をかけて洗える場所は、殺菌・漂白作用がある次亜塩素酸ナトリウムを含む漂白剤やカビ取り剤を使用すると簡単です。ただし、皮膚についたり、吸込んだりしないように注意しましょう。さらに、作業の時は必ず換気扇を回し、窓を開け、肌を露出しない服装で行うようにしましょう。塩素系カビ取り剤や漂白剤は、酸性の洗浄剤を混ぜると有毒な塩素ガスを発生します。混ぜないように十分注意してください。汚れのひどい部分や浴室のタイルの目地に生えたカビは、歯ブラシなどで軽くこすると落ちやすくなりますが、カビ取り剤や漂白剤をしばらく定着させてから行う方がよいでしょう。むやみにこすっても効果は薄いので 、カビ取り剤の上にティッシュで湿布してしばらく置いておけば、落ちやすくなります。素材を傷めないように、仕上げによく水で洗い流すようにしましょう。
壁や家具など水で洗い流せないところのカビは、布に消毒用アルコールを染み込ませてふき取ります。この場合、アルコールは引火性がありますので、換気や火気に注意しましょう。もし、カビの色素によるシミが着いてしまった場合は、薄めた漂白剤でシミ抜きをすると良いでしょう。その場合、アルコールが完全に乾燥してから漂白剤を使用するようにしてください。なお、洗剤や漂白剤などを使わずに、環境にも人にもやさしいエコなお掃除方法もありますので、詳細については、通信講座No.009-2をご覧ください。

⑥素材にも配慮しましょう。
例えば、床はフローリングの方がじゅうたんや畳より、カビ・ダニによる汚染が少ないことがわかっています。ただし、床材や床塗料には化学物質を放散するものもあるので、その点も留意して素材を選びましょう。

□化学物質対策

①建材が発する化学物質を防ぎましょう。
リフォームを行う際は、施工業者や設計者と十分な話し合いを行い、自分の希望をしっかり伝えて材料選びを行うことが大切です。建材や接着剤の使用や原材料についてきちんと説明を受けるようにしましょう。ちなみに、建材に記されているF☆☆☆☆は、ホルムアルデヒドの放散量が少ないことを示しています。ただし、全く放散していないわけではありません。また、天然の無垢材の場合は、ホルムアルデヒドに関する規制の対象外(安全なもの)とされているため、F☆☆☆☆などの表示がありません。

②身近な化学物質と上手に付き合う工夫をしましょう。
椅子、テーブル、カーテンといった家具や内装品にも化学物質は使われています。衣類の防虫剤、殺虫剤にも使われます。化学物質は私たちの日常生活に非常に身近なものです。できるだけ、化学物質が使われていないものを使う工夫をするとともに、私たちは化学物質と上手につきあう工夫をしなければなりません。

以上のように、日頃からカビ・ダニの繁殖を防ぐことや住まいで使う化学物質を減らすことが、住まいの空気をきれいにする基本です。しかし、どんな対策を講じても、カビやダニが完全にいなくなるわけではありませんし、私たちの生活から化学物質がなくなることはないでしょう。そこで、今すぐ身につけ、継続的に実行すべきなのが、上手に室内の空気を入れ替えることです。
それでは、どのように換気や通風をしたらよいでしょうか。
換気には、窓などを開けて換気する「自然換気」と、換気扇などを使って換気する「機械換気」があります。現在は、建築基準法が改正され(平成15年7月1日施行)、居室には原則として機械換気設備の設置が義務付けられています。これは、シックハウスの原因となる化学物質の室内濃度を下げるための対策のひとつとして施行されました。そして、通風は文字通り家の中に風を通すことです。ただ単に窓を開けて換気をするのではなく、家の中に風を通すように工夫すれば、室内の空気がずっと短時間に改善されるうえに、除湿の効果も高くなります。効率的に換気・通気するためには、下記の手順で行うことをお勧めします。

1.窓を開けるときは、カーテンも開ける。
2.大きく一箇所の窓を開けるよりも、対角線上になるように2箇所の窓を開ける。
3.空気の出口となる方の窓を全開にし、入り口となる方の窓を15cmくらい開ける。
4.空気が流れにくく、よどんでしまう場所がある場合は扇風機などを使う。
5.晴れた日の湿度の低い時間帯(春・夏:12~16時、秋・冬:12~14時)に行う。
6.換気扇を回すときは、必ず窓や給気口を開けて空気の入り口(給気)を確保する。尚、 空気の入り口(給気)は、なるべく換気扇から離れている方がより効果的に換気が行える。
7.換気扇を回す場合、給気窓は全開にするよりも15cm位開ける方が空気の流れがよくなる。
8.入浴中や調理中には必ず換気扇をつける(使用後もしばらく止めない)。

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