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通信講座No.050 「隣の部屋の音や2階の音が気になりませんか?」

講座No.050-1 「生活騒音を見直そう!」

生活騒音を見直そう!近年、生活スタイルの多様化や住宅の密集化、そして住民同士のコミュニケーション不足などが相まって、生活騒音によるトラブルは少なくありません。集合住宅における配慮はもちろんのこと、戸建住宅であっても、住宅密集地では大きなトラブルになることも多々あります。そのため、環境省をはじめ、各地方自治体でも生活騒音に関する指針づくりを行い、ウェブサイトやリーフレットなどで音に対する気配りや対策などを呼びかけています。例えば、環境省では図1のような近隣騒音防止ポスターやカレンダーを応募作品から作成し、普及活動を行ったりしています。
横浜市環境創造局のHPにも生活騒音のページがあり、そこには平成9年から平成13年の間に、横浜市によせられた騒音に関する苦情の内、約4%を占める生活騒音に関する苦情について書かれています。図2、その内訳を示すグラフです。生活騒音の苦情のうち、4分の1がマンションなどの集合住宅上下階の物音で、次いでエアコンの室外機の音、テレビやオーディオ機器などからの音、楽器の音となっています。これらの音は、どれも特別な音ではなく、自分の住まいからも発しているようなものばかりです。もちろん、音を発している側に明らかに問題がある場合もありますが、人によって音に対する感じ方が違うところに根本的な原因があるとも言えます。ある人にとっては好きな音楽でも他の人にとってはうるさいだけの音となることがありますし、このくらいの音なら自分は気にならなくても、他の人にとっては大きな音と感じられることもあります。 横浜市のHPにも書かれていますが、苦情原因となる生活音の感じ方は、その音を出している家の気配りと人との付き合いの程度によって変わるそうです。つまり、日頃から日常生活の音に注意を払うことと、ご近所とより良い関係を作ることが、生活騒音によるトラブルを減らためには大切だということです。

生活騒音を見直そう!

そこで、まずは音について見直すことからはじめましょう。
音は、音の高低を表す周波数(Hz=ヘルツ)と強弱を表す振動(dB=デジベル)で表現されます。 周波数は音の波が1秒間に何回上下するかを数値にしたものですで、周波数が少ない音は低音、多い音は高音となります。ちなみに、人間の耳に聞こえる音は、一般的には周波数の範囲が20Hz~2kHzといわれています。振動は、音の波の振幅を数値化したもので、音のエネルギーが大きいと振幅が大きくなり、音が強く、つまり大きく聞こえます。通常、騒音のレベルを示すときは、dBで示します。
そして、音は伝わり方によって下記の2種類に分けて考えられます。

◆固体音

二階で子どもが飛び跳ねたり、スプーンを落したりした場合など壁や床を振るわせて階下や隣室に伝わる音です。特に、床に衝撃が加わって発生する音を床衝撃音といい、2種類に分けられます。

□軽量床衝撃音(LL)

スプーンなどを落とした時に発生する、軽くて硬い感じの音です。一般的な防音フローリング材は、主に軽量床衝撃音対策として販売されています。

□重量床衝撃音(LH)

子どもが飛び跳ねたり、走り回ったりする時に発生する、重くて鈍い感じの音です。日本防音床材工業会によれば、床の仕上げ材よりも、コンクリート床の厚さや建物の躯体の剛性など、構造そのものの方が大きく影響します。

◆空気音

人の声やクラクションのように空気中を伝わって聞こえる音です。隙間や穴を通して伝わってきます。

これらの音の伝わりを遮断することを遮音といいます。「住宅の品質確保の促進等に関する法律」の施行により確立された「住宅性能表示制度」にも音環境に関する性能表示の規定があります。性能表示では、共同住宅の床・壁の遮音性と住宅の外壁に設ける遮音性が評価されます。ただし、国交省が概説で述べているように、界壁(共同住宅の隣戸との間の壁)、界床(共同住宅の上下住戸との間の床)、外壁に関する音の遮音性能については、反射、干渉、共鳴、共振などといった波動としての特殊な特性把握が難しく、施工上のさまざまな誤差などがもたらす変化の把握も困難であるため、設計図書の段階で予測ができ、かつ、判断のできる内容に置き換えて表示方法や評価方法が設定されています。そのため、完成した住宅室内で聞こえる実測結果を保証するものではありません。
また、共同住宅等で聞こえる音としては、給排水設備やエレベーターから発生するもの、扉やサッシ、襖などの開閉により発生するものは、予測が難しいため評価対象になっていませんし、上下階からの話し声の遮音性も対象外です。
なお、遮音性能を向上させるためには、大まかには下記の対策が必要となります。

◆重量床衝撃音対策

床の構造や構成方法の違いに応じて、床の構造躯体の厚さを増加させる、床を重くする、振動を抑えるように床の端部の取り付け方を工夫する、衝撃音を増幅させないように床仕上げ材の種類を選択するなどの対策が必要です。「住宅性能表示制度」では、その性能を重量床衝撃音対策等級か相当スラブ厚で評価されます。相当スラブ厚とは、床の構造の構成と形状を、計算によって普通コンクリートを用いた均質な短単板スラブの厚さに置き換えて効果を評価するものです。遮断性能は、通常、日本工業規格(JIS)のLi,r,H-等級で表現され、等級の数字が小さいほど性能が高くなりますが、性能表示制度の等級は、等級数字が大きいほど優れた性能をもっていることになります。

◆軽量床衝撃音対策

重量床衝撃音対策と同様に、床の構造や構成方法の違いに応じて、床の構造躯体の厚さを増加させる、衝撃音を増幅させないように床仕上げ材の種類を選択するなどの対策が必要です。ただし、重量床衝撃音の遮断に有効な対策が軽量床衝撃音の遮断に有効かどうかは、個々の状況によって異なります。遮断性能は、通常、日本工業規格(JIS)のLi,r,L-等級で表現され、等級の数字が小さいほど性能が高くなりますが、性能表示制度の等級は、等級数字が大きいほど優れた性能をもっていることになります。

◆空気(伝搬)音対策

□界壁

住宅や壁の構造や材料の構成の違いに応じて、壁の構造躯体の厚さを増加させる、壁の重さを増す、空気伝搬音を通しにくいような複合構造の壁を選択する、界壁に隙間やコンセントボックスを作らないようにする、バルコニーや共用廊下に面する窓や換気口などから音が回り込まないようにするといった対策が必要です。
なお、建築基準法では、共同住宅などの界壁について、一定の技術的基準に従って遮音上有効な構造にしなければならないことになっており、一般的な構造の界壁について必要なコンクリートの厚さや構造などを定めたり、一定の試験方法により一定の性能を有する構造の界壁であることが確かめられたものについて国土交通大臣が認定することが定められています。遮断性能は、通常、日本工業規格(JIS)のRr-等級で表現され、等級の数字が大きいほど性能が高くなり、性能表示制度の等級も、等級数字が大きいほど優れた性能をもっていることになります。ちなみに、建築基準法で定められている技術的基準は、性能表示制度で言えば、最低等級程度です。

□外壁開口部

一般的な住宅の場合、外部騒音の室内への侵入や室内騒音の外部への放射に関しては、外壁に設けられた窓部分が最も弱点となることが多いことから、外壁の窓などに使用するサッシによる対策が求められます。遮断性能は、通常、日本工業規格(JIS)のRm-等級で表現され、等級の数字が小さいほど性能が高くなりますが、性能表示制度の等級は、等級数字が大きいほど優れた性能をもっていることになります。また、性能表示制度では、東西南北の方位別に評価を行うことになっています。ちなみに、性能表示で最も高い等級は、JISのRm(1/3)-25に該当するサッシが使われることになりますが、このサッシはいわゆる防音サッシと言われるもので、通常のサッシと比較すると相当の防音効果を有するものです。

国交省の住宅性能評価制度の概説には、遮音性能を理解しやすいように日本建築学会の「建築物の遮音性能基準と設計指針第2版を基に作成された下記の「JISの遮音等級と住宅における生活実感との対応例」が掲載されています。

生活騒音を見直そう!

人によって、音の感じ方は異なりますが、自分がうるさいと感じることがあるとすれば、もし同様の行為を行った場合に、隣家もしくは隣室の住人もうるさいと感じることがあるかもしれません。日頃の行動を思い出し、たまには我が家の生活音を見直してみましょう。ちょっとした気づかいで、互いに不愉快にならずに済むのであれば、それに越したことはありません。それでは不十分であれば、リフォームで適切な対策を考えてみましょう。

なお、一般的な生活音とは異なる特異な騒音については、特定地域において防音工事に対する国や地方自治体による助成事業が行われているものもあります。例えば、神奈川県には在日米軍飛行場があり、その騒音の障害を防止または軽減するための防音工事には、助成金が支給されます。その工事仕様や申請手続きは、細かく定められていますので、詳細は助成事業に関わる防音工事の実績のある会社に相談するとよいでしょう。ちなみ、定められた主な防音工事の内容は、騒音量によって異なりますが、防音天井、防音壁、防音サッシ、換気扇及び冷暖房機等の設置です。

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