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通信講座No.050 「隣の部屋の音や2階の音が気になりませんか?」

講座No.050-2 「生活騒音の遮音・防音リフォーム」

前講座でもふれたように、生活音がどのくらい気になるかどうかは、その音を出している住人の気配りの程度によっても変わるそうです。生活音が騒音として近隣の迷惑にならないようにするためには、時間帯によっては騒音となり得る音の発生行為を控えることがまずは必要です。例えば、横浜市が定めている「生活騒音防止に関する配慮すべき指針」では、朝夕、昼間、夜間の3つの時間帯に分けて指針値を定めていますが、夜間の住宅地では、家庭用機器・音響機器の40dB以上の音を騒音防止の目安としています。ちなみに、普通の会話が60dBほどといわれていますので、かなり小さな音でも夜間は気になる人が多いということです。したがって、エアコンの室外機や屋外設置型給湯器も、夜間の使用は騒音になり得るということになります。共同住宅の場合は、設置場所が限られてしまいますが、戸建住宅であれば、これらの設備の設置には隣家の間取りなども考慮して取り付ける必要があります。
しかし、なかなか気配りだけでは問題が解決しないことも多いのが生活音です。生活音は毎日のことですので、あまり気づかいばかりしていては、暮らしにくくなってしまいます。もし、住まいに工夫を施すことで騒音を軽減できるのであれば、それに越したことはありません。
そこで、具体的にどんなリフォームに効果があるのか考えてみましょう。

◆床の遮音・防音対策

共同住宅で問題となるのが、床から下階に伝わる音です。子どもやペットの足音、物を落したり引きずったりした時の音、洗濯機や掃除機など家庭用電化製品の音など、音の原因も種類もさまざまです。前講座で説明したように、床から伝わる衝撃音の対策は、重量床衝撃音と軽量床衝撃音とでは異なります。重量床衝撃音の場合、戸建の新築であれば構造や工法から工夫することも可能ですが、共同住宅やリフォームで構造や工法から工夫することは、難しくなります。そこで一般的には、遮音性能の高い床仕上げ材や防音マットを使う対策がとられます。共同住宅の場合、基本的にはスラブ厚(床下のコンクリート厚)が厚いほど、遮音性がよくなります。そのため、防音のためには、一般的に20cm以上の厚さが必要と言われています。もし、お住まいのスラブ厚が薄い場合は、何らかの遮音・防音対策を講じた方がよいでしょう。共同住宅によっては、リフォームの際の仕上げ材の遮音等級が管理規定などで定められていることが多いので確認することをお勧めします。
なお、床の遮音・防音対策リフォームでは、現状の床レベルが嵩上げされるため、建具などの調整や部屋との仕切り部分に調整が必要となります。

□カーペット

生活騒音の遮音・防音リフォームカーペットを敷き詰める対策が最も容易にできる方法です。物を落としたり、椅子を引いたりする音が騒音の原因であれば、問題の生じやすい場所だけにカーペットを敷く方法でも良いでしょう。例えば、子供部屋やダイニングテーブルの周辺だけというように部分的な対策が容易にできます。普通のカーペットでも、カーペットが無いよりは改善されますが、より確実な対策のためには、裏面に硬質ウレタンで出来たクッション層などが取り付けられた遮音性の高いカーペットを利用するとよいでしょう。さらに、ペットがいる場合や汚れやすい場所には、タイルカーペット式で遮音性の高いカーペットを利用すれば、部分的な交換や洗浄が出来て便利です。

□遮音(防音)フローリング材

一般的な複層フローリング材の裏側(下地との設置面側)に、弾力のある発泡体などの遮音材がついているフローリング材で軽量床衝撃音を軽減することが可能です。ただし、歩くとフカフカした感触があります。その性能は“LL-○○(等級)”というように表記され、数字が小さい方が高い遮音性を示します。共同住宅のリフォームでは、通常LL-45以上の遮音フローリング材の使用を求められることが多いようです。ただし、メーカーが表示しているこの遮音性能は、あくまでも軽量床衝撃音に対しての性能であるとともに、実験室での測定結果を元に限定条件の建物を想定して算出されているため、実際の遮音性能数値とは異なります。 現在(2013年2月)、日本防音床材工業会では、“LL-○○(等級)”が消費者に誤解を与え易いとして、表示方法の変更を進めています。新しい表示方法は、“ΔL(デルタエル)等級”で示され、床材を2つのカテゴリーに分けて、カテゴリーごとに試験方法や等級表示範囲も違っています。例えば、直張り用の遮音フローリングはカテゴリーIで、ΔLL(Ⅰ)-5(既存の推定L等級LL-40と同等)というように軽量床衝撃音に対する性能を5区分表示しますが、二重床用の発泡プラスチック床材はカテゴリーⅡに分類され、軽量床衝撃音に対する性能をΔLL(Ⅱ)等級で示すと同時に、重量床衝撃音に対する性能を4区分のΔLL(Ⅱ)等級で示さなければなりません。現在は表示方法の移行中であるため、各建材メーカーは、L等級(例LL-40)と△L等級(例ΔLL(Ⅰ)-5)の両方で性能を示す場合が多いようです。新しい表示方法の詳細は図2のとおりで、等級数が大きいほど高い性能を示します。

生活騒音の遮音・防音リフォーム

なお、“直張り”“二重床”などの構造・工法については、講座No.008-1 「床の構造・工法・材質について」をご参照下さい。

□防音・遮音下地材

仕上げ床材の下に遮音性能のある下地材を敷設して遮音(防音)する方法もあります。この対策は、既存の床の構造によって選ぶ下地材が異なります。
①木造住宅:下張り(捨て張り)工法の場合
最近の住宅では最も一般的な工法です。既存の床がこの工法で下張り材をそのまま生かすか既存の床材を剥がさずに重ね張りするのであれば、図3のような遮音マットや図4のようフェルト状のものと制振性のあるゴムやアスファルト状のものが一体となった遮音材を、下張り材と仕上げ材の間に敷設することで防音性能を得ることができます。マットの厚みにより遮音性及び価格が変わります。また、より高い遮音性を有する図5のようにインシュレーションボード(ファイバーボードの一種)と制振マットが一体化したものを下張り材と仕上げ材の間に敷設する方法もあります。

生活騒音の遮音・防音リフォーム
生活騒音の遮音・防音リフォーム

②木造住宅:根太(張り)工法の場合
上記のように下張り材がない場合は、新たに下張り材を敷設して遮音材を敷設するのではなく、下張り材と遮音マットが一体化した図6のような下地材を敷設する方法があります。なお、この材を使用する場合、メーカーでは、根太の間も吸音材で埋める施工方法を推奨しています。

生活騒音の遮音・防音リフォーム

③共同住宅:二重床工法の場合
大がかりの工事にはなりますが、軽量床衝撃音だけではなく重量床衝撃音にも効果があるとされているのが図6のような方法です。制振構造の台座をコンクリートスラブに設置し、その間を吸音材などで埋めてから下地材、遮音マットを敷設してから、仕上げ材を張ります。図7はシステム化された製品ですが、それぞれ部材を選んでも同様な対策は可能です。

生活騒音の遮音・防音リフォーム

□その他

床全体ではなく部分的な対策で、ある程度の遮音・防音性能を得ることができるものもあります。例えば、ピアノなどの楽器の場合、図8のような防振台を設置することである程度の音を遮音・防音できます。

生活騒音の遮音・防音リフォーム

◆壁・天井の遮音・防音対策

生活騒音の遮音・防音リフォーム既存の下地材をどうするかによりますが、図9のような遮音シートを石膏ボードの下に張ったり、図10のような遮音パネルを遮音シートと組み合わせて下地材の下に設置したりします。また、既存の下地材を剥がす場合は、隙間を吸音材で埋めればより効果的です。
オーディオルームやピアノ室など、音響そのものを楽しむと同時に遮音・防音性能も求める場合は、図11のような吸音性と遮音性の両方と合わせ持つ仕上げ材も利用すると良いでしょう。

生活騒音の遮音・防音リフォーム

漆喰や珪藻土、シラス壁のような多孔質で厚みのある塗り壁も吸音性がありますので、音の反響や反射を抑える効果があります。例えば、図12のシラス壁は断熱性が高く、消臭機能や調湿機能、ホルムアルデヒドなどの化学物質の吸着機能があり、色や塗り付けパターンが豊富で意匠性も高い吸音性がある壁材です。

生活騒音の遮音・防音リフォーム

◆その他

前講座で説明したように、音は空気を伝わります。そのため、窓やドア、換気扇、エアコンなどの隙間からでも音は、周りに漏れ伝わります。生活音程度ならあまり問題となることはありませんが、ピアノやオーディオ、カラオケなどを自宅で思い切り楽しみたいと思うなら、床、壁、天井と共に、それらの部分にも防音性能の高いものを設置する必要があります。

□窓(図13)

案外、多くの音が窓を閉めていても周りに漏れているものです。防音サッシに取り替えるリフォームもよいですが、最近、断熱効果が高いとして人気のある内窓の設置リフォームがお勧めです。内窓は元々防音対策用に開発されたものなので、優れた防音性能を発揮します。防音効果があるうえに、断熱効果が得られるお得な対策です。

□内装建具

ドア本体はもちろんのこと、枠回りも一緒に防音性能を持つものに取替えます。

□換気設備

ドア壁付け用と天井付け用のどちらもあります。2003年に改正された建築基準法により義務付けされた24時間換気システムが設置されている場合も、それに対応した防音性の高い換気設備があります。

以上のように、遮音・防音のための対策はさまざまです。音の種類や大きさ、既存の住まいの構造、予算などの条件に合わせて、リフォーム業者に相談すると良いでしょう。
ただし、前述しましたが、遮音・防音性能は定められた条件下にある実験室での建材そのものの性能であり、実験室と異なる自分の住まいでの性能を保証するものではありません。前講座でも説明しましたように、苦情原因となる生活音の感じ方は、その音を出している側の気配りと、相手側との付き合いの程度によっても変わるそうです。遮音・防音対策を施したからと過信せず、日頃の気づかいとご近所とより良い関係を作ることがトラブルを減らすことを忘れないようにしましょう。

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