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通信講座No.053 「左官壁がボロボロに落ちて困っていませんか?」

講座No.053-1 「左官壁のいろいろ」

かつて、日本家屋の壁といえば、主流は木板か、土壁や漆喰といった左官壁でした。土壁や漆喰は、職人の技量が必要であることや施工に時間を要したため、高度成長期にはだんだんと使われなくなり、施工性のよいセンイ壁が急速に普及しました。40年くらい前までは壁材の主流であったセンイ壁は、パルプや紙の綿状繊維、木紛などの粒状物、化学繊維を糸状にしたもの、無機質材料などを混入したものにのりを混ぜ、水で練ったものです。混ぜるものによってさまざまな色や柄があり、また土壁状や砂壁状、ソフトな肌合いなどさまざまな風合いを持たせることもできました。しかし、センイ壁は湿気に弱い上に、カビが発生しやすく、古くなると糊が効かなくなり、ボロボロ落ちるようになります。そのため、次第に敬遠され、センイ壁よりも施工性がよくコストも低い、ビニールクロスが主流となっていきました。それと同時に住まいづくりにも効率性を求められるようになり、本来の左官壁そのものも敬遠されるようになりました。そのため、本物の左官壁を知らない人にとっては、センイ壁の劣化した状態が左官壁のイメージとして残っていることも多いようです。
近年、シックハウスなどの問題により、自然素材を使った土壁や漆喰といった左官壁が見直されるようになってきました。また、住宅の省エネ性能や健康性能への関心の高まりにより、左官壁の主原料である自然素材が持つ調湿性能や消臭性能が注目されています。珪藻土壁はその代表的な例でしょう。
近年、シックハウスなどの問題により、自然素材を使った土壁や漆喰といった左官壁が見直されるようになってきました。また、住宅の省エネ性能や健康性能への関心の高まりにより、左官壁の主原料である自然素材が持つ調湿性能や消臭性能が注目されています。珪藻土壁はその代表的な例でしょう。

昔からある土壁や漆喰といった左官壁は、自然素材で出来ているため、室内の空気環境の汚染源となる化学物質を発生させない人に優しい壁材です。さらに、自然素材なので、廃棄しても自然に還り、地球環境を汚染しません。人にも環境にも優しい壁が、本物の左官壁なのです。 では、自然素材を使った本物の左官壁にはどんなものがあるか確認してみましょう。

◆漆喰

左官壁のいろいろ石灰岩や貝殻を焼成すると、成分が酸化カルシウムの生石灰になります。そして、石灰岩からできた生石灰を石灰(いしばい)、貝殻からできたものを貝灰(かいばい)と呼びます。 生石灰に水を加えると成分が水酸化カルシウムの消石灰になり、消石灰に水を加えて練り合わせて壁に塗ると、空気中の二酸化炭素と反応して硬化します。消石灰を水で練ったものは粘性に乏しいので、壁材としての作業性を向上させるために角又(つのまた。暖海の岩上に生育する海藻)などの糊やスサと呼ばれる植物繊維を混ぜて補強したものが日本古来の漆喰で、昔から城や土蔵などに用いられてきました。住宅では、押入れの壁などに使われることもありました。耐火性、耐久性、調湿性に優れており、湿度を調節し室内に湿気を溜め込まないので、防カビ・防ダニの効果もあります。基本的な漆喰は白色ですが、色土や顔料(ベンガラなど)を加えたものもあり、色のバリエーションを楽しむこともできます。また、木炭と組み合わせたり、調湿機能を持つマグマ噴出物のシラスを利用したものなどもあります。

◆石灰

左官壁のいろいろヨーロッパの建築には石灰が使われています。それは消石灰に川砂だけを混ぜた石灰モルタルや生石灰を大量の水で消化させ寝かせてペースト状にした生石灰クリームです。生石灰クリームは、消石灰に比べて、硬化後の収縮が少なく表面硬度が硬いうえに、コテによる艶が出やすい特徴があります。

◆土壁

土壁とは、和風建築の伝統的な壁のひとつで、土を使用してつくられる左官壁の総称です。昔から数奇屋建築や茶室の壁にも用いられてきました。上塗りの土によって、「聚楽(じゅらく)壁」や「錆砂壁」、「大津壁」などがあり、最近、自然素材として見直されている「珪藻土壁」も土壁の一種といえます。

□京壁

左官壁のいろいろ最近は、和室が無い住宅もありますが、かつて和室の壁は京壁で仕上げてある家がたくさんありました。しかし、その多くは本物の京壁ではなく、おが屑など粒状物と樹脂などを混ぜたもので、きめ細かいざらざらした素材感を作り出した京壁風仕上げに過ぎません。 本物の京壁は、日本固有の材料、工法による伝統的な左官壁のひとつです。京都を中心に発達した壁材で、上塗りに聚楽土などの色土に石灰や麻の繊維などを加えたものを用いた土壁です。色土には、京都郊外で産出した聚楽土・九条土・稲荷土などが用いられています。特に聚楽土を使ったものは「聚楽壁」とも呼ばれています。きめが細かい上質な砂状の仕上げが特徴で、耐火性に優れ、年月を経過しても変わらない、温かみのある独特の風合いが好まれています。

□大津壁

石灰に色土とスサを混ぜたもので、平滑な仕上げ面が漆喰やプラスターに似ていますが、漆喰に比べ黄変などが出にくいのが特徴です。また、糊を使用していないために内壁、外壁にも使用できます。大津磨き仕上げは光沢があり、最上級の仕上げと言われています。以前は滋賀県産の色土が多く使用されていた事が名前の由来と言われています。

□珪藻土壁

左官壁のいろいろ珪藻土とは、海や湖などに生息していた単細胞の植物プランクトンの死骸が堆積して出来た土層から採取されるもので、シックハウスの原因と言われるホルムアルデヒドの吸着・分解、保温性、断熱性に優れています。また、多孔質であることから遮音性、調湿性にも優れています。珪藻土は自硬性が無いので硬化材が混ぜてありますが、硬化材の種類や比率はメーカーや製品によって異なります。

◆シラス壁

左官壁のいろいろシラスは、2万5千年前、現在の鹿児島湾北部を火口とする姶良カルデラの大噴火によって発生した火砕流が堆積したもので、マグマの超高温で焼成された高純度のセラミック物質です。南九州はシラスによる広大な台地から形成され、シラス地層の厚さは数十mから150mにもなります。非晶質の割合が60~80%もあるシラスは、火山灰や他の火山噴出物とは全く異なる特異な性質をもっています。非晶質は、分子構成が不安定で活性化し、環境によって触媒反応等が起きやすくなることから、消臭・分解・殺菌・イオン化などの機能を発揮すると考えられています。そのシラスを原料とした壁材(図5)は、漆喰や土壁、珪藻土壁とも違った独特の風合いと色合いが特徴です。調湿、消臭性能に優れ、ホルムアルデヒドなど化学物質を吸着して再放出しません。また、多孔質なシラスの特性で、断熱性、防火性にも優れています。シラスは、すでにマグマの超高温で焼成された高純度のセラミックですので、珪藻土や石灰のように焼成する必要がなく、製造過程においても省エネで環境に優しい材料といえます。

このように、自然素材の左官壁にもさまざまな種類があり、特徴も異なります。共通点があるとすれば、自然素材の左官壁は均一な工業製品とは異なり、ヒビやクラック、チリ別れが入りやすくなります。施工性を高めた商品も開発されていますが、工業製品とは異なるということ理解することが大切です。均一でないことが自然の素材の持ち味であり、その特徴を味わうぐらいの気持が必要です。安全・安心は住まいの基本です。自然の力によるさまざまな機能や快適性を得られることと工業的均一性のどちらを選ぶかはあなた次第です。

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