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通信講座No.063 「バルコニーの床回り、手すりは傷んでいませんか?」

講座No.063-1 「バルコニーの床回り、手すりは傷んでいませんか?」

バルコニーには、木製、鉄製、アルミ製などがあり、材質によって劣化の速度は異なります。また、構造によっても、傷みや不具合が及ぼす影響範囲も違います。例えば、台風の時に、傷んでいた手すり部分が風で飛ばされてしまったり、床の傷みが見た目より進行していて、床を支える大事な部材にまで、腐食が進んでいたりということもあります。また、布団や洗濯物の干し場として使用している場合、手すり周りが腐食していると干し物が汚れたり、シミになったりすることもあります。劣化や腐食が建物本体の傷みに繋がることもあるので、定期的な点検やお手入れは大切です。
そこで、日頃どんなところをチェックしたらよいか確認しましょう。

◆日頃のチェックポイント

バルコニーの劣化状況は、使い方や設置場所、周辺地域の環境などにより変わってきますが、早めに適切な処理を施せば、大事にいたらずに済みます。日頃から下記のような点に気をつけてチェックするようにしましょう。

1. 傷がついているところはありませんか。

バルコニーの床や手すり壁についた傷をそのままにしておくと、雨漏りや腐食の原因になりかねません。応急処置として防水テープなどで覆って保護した後は、なるべく早めに工務店やリフォーム業者に相談しましょう。大事になる前にきちんとした補修を行うことが大切です。

2. ひどく汚れているところはありませんか。

風などによりゴミが動くことで表面に傷がつくことになりますし、放っておいて取れにくくなった汚れを強力な洗剤や硬いタワシなどで取り除くことは、部材を傷める原因になります。さらに、汚れやゴミが付いたままになっていると、傷や劣化などに気づきにくく、腐食が進むまでそのままということにもなりかねません。
例えば、図1のバルコニーは手すり壁と水切りの収まり部分の止水が悪く、内部に水が入り込んでいました。普段バルコニーを使用していなかったため、長い間ホコリやアオモが付き異常にも気がつきませんでした。ある日、バルコニーの上げ裏が抜け落ちて、図2のようにバルコニー内部の腐食が進んでいることに気がつきました。バルコニーに人が乗っているときに床が抜けずに済んだのが幸いだったといえます。異常を早く発見するためにも、月に1度ぐらいはホコリや汚れを取り除くようにしましょう。

バルコニーの床周り、手すりは傷んでいませんか?

3. 排水溝・排水ドレインに汚れやゴミがたまっていませんか。

バルコニーの床周り、手すりは傷んでいませんか?バルコニーのドレイン廻りは雨漏りの原因となりやすい場所です。普通、バルコニーの張り出した先が建物側よりも下がるように勾配をつけ、排水溝及び排水ドレインは屋内側に設置しないように設計されています。そのため、排水溝や排水ドレインは隅のほうに設置してあることが多く、汚れやすい部分であるにもかかわらず、気づきにくい状況になっています。バルコニーに鉢植えなどを置いている場合は、土が流れ出て詰まっていることが多いですし、物干しとして使っているだけでも、糸くずや綿ホコリ、髪の毛などが排水溝や排水ドレインに絡まったりしています。落ち葉など飛散物やゴミ、土、ホコリなどをついたままにしておくと水の流れが悪くなり、ますます汚れが付き易くなる悪循環が生じます。ゴミや汚れで排水溝や排水ドレインが詰まっていると、大雨のときにバルコニーに雨水が溜まりやすくなり、掃き出し窓下のサッシまわりから水が入りやすくなります。さらには、図3のようにドレイン廻りの接合部分に汚れが溜まっていて、防水状態の確認ができず、防水・止水が不十分であっても気がつかないことになりかねません。こびりついた汚れを取るために硬いブラシで擦ることは、部材や接着部分を傷める原因にもなります。土やゴミは速やかに取り除き、防水状態がいつでも確認できるようにしておきましょう。また、オーバーフロー用水抜きが設置されている場合は、水抜きがゴミや汚れで詰まっていないかも確認しておきましょう。ゴミが詰まって肝心な時に水抜きが出来ないようでは困ります。

4. ひび割れはありませんか。

図4は保護モルタルにヒビが生じた様子です。長い間放っておいたため、ヒビ周辺のモルタルが脆くなって欠けているところがあり、雨が降ると水が浸み込むようになってしまいました。このまま放っておくと、モルタルの劣化がますます進み、防水層を傷める原因になります。表面だけのヒビの場合であれば、ヒビ部分の補修後に防水塗料を塗る処置で済みます。早めに工務店や総合リフォーム業者に診断を依頼するようにしましょう。

バルコニーの床周り、手すりは傷んでいませんか?

5. 手すりなどが錆びているところや取り付けが悪いところはありませんか。

バルコニーの床周り、手すりは傷んでいませんか?金属製のバルコニーと言えば、最近はアルミ製が一般的ですが、以前は鉄鋼を溶接して作るのが一般的でした。鉄製のバルコニーは耐久性、強度共に優れていますが、錆びを防ぐためには定期的な手入れが必要です。そのため、一度手入れを怠ると図16のように錆びによる腐食が進行してしまいます。一度錆びが生じると元に戻すことはできませんので、錆止めと塗料でそれ以上腐食が進まないようにするしかありません。特に、手すり部分の鉄鋼材は軽量化のために中が空洞の場合が多く、腐食がはじまるとあっという間に脆くなります。さらに、アルミ製の手すりであっても、全く腐食しないわけではありませんし、ネジやボルトはアルミ製ではありませんので注意は必要です。特に、海岸に近い地域では、こまめに塩分を洗い流すようにし、早め早めの手入れを心がけましょう。

6. 水がたまりやすくなっているところや乾きが遅いところはありませんか。

経年変化により床面に水が溜まりやすい場所が生じたり、手すり壁がいつまでも塗れていたりすることがあります。すぐに問題につながるとは限りませんが、長い時間濡れているのは劣化の原因になることもありますし、不具合が生じている兆しの場合もありますので注意しましょう。
例えば、図6は降雨後に手すり壁の濡れ色が他と異なっている様子です。調べてみると、バルコニーの小窓に付けられた笠木の止水措置が不十分であったため、水が内部に入り込んで図7のように腐食が始まっていました。腐食が進行すると強度にも問題が生じ非常に危険です。おかしいと気づいたら、まずは原因を確かめるようにしましょう。

バルコニーの床周り、手すりは傷んでいませんか?

7. バルコニーの上げ裏に水が浸みた後はありませんか。

図8のようにわずかなシミのうちに気づいて対処することが大切です。図9のようになると、内部の腐食もかなり進み、工事も大がかりになってしまいます。上げ裏を取り替えるだけではなく、雨染みの原因となった部分の処置もしっかり行うことが大切です。

バルコニーの床周り、手すりは傷んでいませんか?

8. シーリング材が劣化しているところはありせんか。

床の防水層と手すり壁との取り合い部分、排水ドレイン廻り、手すりや笠木の取付部分など、いろいろなところの止水のためにシーリング材が使われています。しかし、シーリング材の劣化は避けられません。紫外線や風雨、汚れなどさまざまな要因により徐々に劣化し、やがては止水できずに雨水が内部へ入り込む可能性が増えることになります。シーリング材は樹脂ですので、劣化すると弾力が無くなりひび割れや収縮により接着部分との間に隙間が生じます。雨水の侵入による腐食という大事にならないためにも、早めにシーリング材の打ち直しは行うようにしましょう。

次に、バルコニーのリフォームについて考えてみましょう。 劣化や傷み具合、範囲、雨漏りが生じているかどうかなど、状況によってリフォームの方法はさまざまです。

◆劣化・腐食部分の修繕

劣化や腐食の場所や原因によって工事の方法や工程、予算が大きく異なります。そのため、現状をしっかり把握することと今後の住まい方をどうするかを考えることが、リフォームを成功させるポイントになります。 例えば、図5のような鉄製のバルコニーの場合、錆びてはいても根太や桁、柱など構造上重要な部分の強度に問題がなければ、溶接による補強や錆止めと仕上げ用塗料を塗布すれば、安全性も美観も確保できます。しかし、錆びによる腐食をこれ以上進行させないためには、2年~5年に一度は再塗装が必要です。したがって、将来この家にどう住むのかによっては、修繕ではなく思い切って耐久性に優れ、定期的な塗装の心配がないアルミ製のバルコニーに交換する方がよい場合もあります。 また、図7のような確認しづらい内部の腐食の場合は、信頼できる業者に現状の問題点をよく確認してもらうことが大切です。ただし、腐食がどの程度進んでいるかは、部分的に壊してみないと正しく確認できないこともあります。
人が乗るバルコニーは、雨漏りや防水の問題だけではなく、安全性の確保も非常に重要なポイントです。値段だけしかみないで工事を依頼するのは、危険を伴うことにもなりかねません。安全性にも留意してリフォーム工事を行うようにしましょう。

◆取替え・造り替え

バルコニーの取替えや造り替えは不具合を直すためだけではなく、使い勝手をよくすることや家の外観を変えることにも役立ちます。業者に依頼する前に、新しいバルコニーをどう使いたいか、どんなデザインが望ましいか、自分の希望の優先順位を整理しておきましょう。そうすることで、見積りを依頼するときに正しく自分の考えを伝えることができますし、打ち合わせをスムーズに進めることができ、予算に合った適切な選択をしやすくなります。
まず、後付けのバルコニーを取替え・造り替えるときのポイントは、素材選びです。最近は、手入れの手軽さとデザインや色の選択肢の豊富さからアルミ製品が人気です。既存のサッシ枠や外壁の色とのバランスを考慮して決めると見栄えよく仕上がるでしょう。
一方、跳ね出しバルコニーや階下が居室のバルコニーの造り替えは、後付けのバルコニーより費用も時間も掛かります。デザインや素材選びなども大切ですが、雨漏りが生じやすい構造なだけに、防水・止水に優れている施工方法かどうか十分に注意しましょう。
現在、雨漏りや腐食が進行しているバルコニーの場合は、その原因をしっかり把握し、同じことが起きないようにバルコニーを造り替えることが大切です。場合によっては、形やデザインを変えるほうが良いこともあるでしょう。問題をしっかり把握していなければ、適切な選択ができません。信頼できる業者にしっかりと現状を確認してもらい、問題点を理解できるまでよく説明してもらいましょう。その上で、希望や予算に合った適切なプランを提案してもらいましょう。

◆バルコニーの建築基準

建築基準にはバルコニーの安全性を高めるために、基準を設けています。いくらデザインがよくても、基準をはずれるような工事はさけるべきでしょう。
1. 建築基準法施行令第126条では、2階以上のバルコニーには安全上1,100mmの手すり壁や柵などの設置を規定しています。ただし、公営住宅建築基準第36条では、手すりに足がかりとなるもののが高さ650mm未満にある場合は、その位置から850mmの高さが必要としていますので、注意が必要です。
2. 公営住宅建築基準第36条では、床面もしくは高さが650mm未満の足がかりとなるものから高さ800mm以内の部分にある転落防止のための手すりは、相互間隔を内寸で110mm以下としています。

以上を参考に、適切なリフォーム工事でバルコニーをより快適で便利な空間として、安全に活用しましょう。なお、バルコニーの種類や構造、防水についての詳細は、通信講座No.33をご参照ください。

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