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通信講座No.064 「軒裏が雨漏りでシミていたり、腐ったりしていませんか?」

講座No.064-1 「軒裏が雨漏りでシミていたり、腐ったりしていませんか?」

軒裏や軒先は、風雨にさらされやすく傷みやすい場所です。軒裏がベニヤ張りの場合は、湿気に弱いので、10年位で塗装が剥がれたり、ベニヤの傷みが見られるようになってきます。一度、傷んだベニヤは塗装を施しても、劣化を止めることはできません。また、屋根の不具合による雨漏りが、軒裏や軒先に表れることがあります。雨漏りの原因となっている箇所が屋根の上部であっても、勾配の関係で下部の軒先にシミや腐食となって表れることもあります。万が一、軒裏や軒先の傷みが屋根の雨漏りが原因ならば、内部の垂木や野地板が腐食している可能性もあります。単なる軒裏、軒先のことと安易に考えずに、原因を的確に調査することが大切です。
そこで、まずは、屋根の基本的な構造を理解しましょう。

軒裏が雨漏りでシミていたり、腐ったりしていませんか?
図1は、一般的な木造住宅の構造例です。最近の戸建て住宅の場合、軒桁やもやは外からは見えない仕上げが多くなっています。また、図は瓦の場合ですので、広こまいがありますが、最近の主流である化粧スレート葺の場合、広こまいはありません(図2)。屋根のそれぞれの部材が、建物の中に雨水を侵入させない役目のもとに成り立って作られています。そのため、一つの部材が破損したり、傷んだりしても、すぐに雨漏りを起こすとは限りません。しかし、それを放置することで、他の部材へ影響が生じ、劣化の進行を早めることがありますので、不具合や異常を発見したら、早めに適切な処理を施すようにしましょう。屋根のチェック方法については、講座No.001及びNo.002をご参照ください。

次に、軒裏・軒先のチェックポイントと基本的対処方法を確認しましょう。

◆ベニヤの傷み具合をチェックする。

□ポイント

軒裏が雨漏りでシミていたり、腐ったりしていませんか? 図3は、築30年以上経った金属板葺(かわら棒葺)の軒裏ベニヤの様子です。ベニヤは、薄く切った単板を重ねて熱圧接着した木質ボードです。そのため、長年風雨にさらされる環境下では、劣化し圧着した単板が次第に剥がれ、図3のように表面が波うってくるのは避けられません。屋根がしっかりしていれば機能的には問題はありませんが、放っておけばベニヤの単板が剥がれてささくれ立ち、やがては垂れ下がるようになります。

□対処方法

軒裏が雨漏りでシミていたり、腐ったりしていませんか? 図3のような状態の軒裏の場合、必ず屋根の点検も合わせて行いましょう。特に、図4のような構造になっている金属板葺(かわら棒葺)の場合は、屋根に問題がある軒裏だけ処置しても意味がなく、すぐにまた傷んでしまいます。図4にも記されているように野地板がそのまま軒裏になっていますので、屋根の葺き替えと一緒に交換するのが経済的です。屋根に大きな不具合がなく予算を抑えたい場合は、傷んだベニヤが見えないように重ね貼りする方法があります。
また、図5は、有孔ベニヤと呼ばれる合板の軒裏です。このタイプのベニヤは、有孔部分が特に傷みやすくなっています。図5のようにそんなに酷いようには見えなくても、このまま再塗装をすると新しい塗膜が波打った表面をひっぱり、凸凹がもっと目立つようになります。他が塗装で綺麗になれば、その傷みがよけいに目立ちます。傷んだ部分を含む一枚を取り替えることをお勧めします。予算を抑えるために、古いものをそのまま残して重ね貼りという方法もありますが、内部の腐食を確認するためにも、張替えをお勧めします。

◆軒裏・軒先にシミがないかチェックする。

□ポイント

起こり始めはベニヤや木部に染込んでしまい、意外に気がつかないのがシミです。徐々に傷みが進行し、図6や図7のようになってきて初めて気がつく場合がほとんどです。図6や図7は下屋根(1階部分)の軒先なので状況を見やすい位置ですが、地上から見上げているだけではその原因を判断することは容易ではありません。これらの場合、実際に点検した結果は、雨漏りが原因ではありませんでした。横樋の止まり近くに集水器(じょうご)が設置された場所に起きやすい劣化です。横樋の止まりから集水器へと水が流れるように勾配が設定されていますが、埃などが溜まって流れが悪くなったり、樋受け金具の劣化により勾配が変化したり、大雨でオーバーフローしたりすると、止まり部分から雨水が溢れて軒先へと伝い落ちることになります。そのような状況が度重なると図のような傷みが見られるようになり、放っておくと破風板の傷みも進行していたということにもなりかねません。雨が降っている時にチェックすると、雨樋の不具合を見つけやすいでしょう。また、軒裏や軒先のシミは雨が降った後に発見しやすいので、雨上がりに家の周りを一回りしてみると良いでしょう。軒裏が雨漏りでシミていたり、腐ったりしていませんか?

□対処方法

雨樋や屋根に水を流すことで、水の流れを確認できます。はしごを掛けての高所作業になるので、自分で行うのではなく、信頼のできる工務店やリフォーム会社に点検をお願いするとよいでしょう。屋根の雨漏りの場合は、状況に合わせて葺き替えが必要になります。もし、不具合が本屋根もしくは下屋根の一方である場合、予算によっては一方だけでの葺き替えも可能です。但し、下屋根の場合は、壁との納まり部分の状況によっては塗装工事が必要な場合もあります。また、屋根の形状によって、葺き替えに足場が必要なこともあります。その場合は、今すぐ必要な工事ではなくても、足場が必要な工事を同時に行うようにした方が、将来の無駄な出費を抑えることに繋がります。点検結果は部分的にではなく、建物全体で診断してもらうようにし、必要な処置や手入れの緊急度を合わせて提案してもらうようにしましょう。

◆庇の傷みもチェックする。

□ポイント

軒裏が雨漏りでシミていたり、腐ったりしていませんか?庇は、軒裏や軒先以上に傷みやすい場所です。軒裏や軒先に大きな傷みがなくても、図8ように庇の傷みだけが酷い状態であることはよくあります。庇の上部には鉄板で屋根のような形状を作ってあり、スムーズに流れ落ちるように勾配が付けられています。しかし、経年劣化によりこの鉄板に、歪みが生じ、雨がスムーズに流れなくなってきます。すると、庇の上に雨水が溜まりやすくなり、庇の先から雨水がスムースに流れ落ちずに木部を伝い落ちるようになると図8のような傷みが生じます。鉄板の継ぎ目から内部に雨が侵入し、庇の内部を腐食させている場合もありますので、注意が必要です。

□対処方法

鉄板部分に問題がなければ、一般的にはベニヤを交換するか、重ね貼りにより対処します。図8は、かなり長い間不具合を放って置いたため、ベニヤだけではなく内部の木材の腐食も始まっており、本格的な補修工事が必要となりました。もっと腐食が酷い場合は、庇そのものを撤去することもあります。また、鉄板部分に問題があり雨が侵入している場合は、鉄板の張替えが必要になります。定期的な点検と早めのお手入れが、結果的には無駄な出費を抑えることに繋がります。

軒裏・軒先のシミや傷みの原因が判明した結果、屋根全体の葺き替えが必要となった場合には、重要なポイントが4つあります。
1. どんな屋根葺き材を選ぶか
軽くて耐震性が高く、耐久性のあるもの選びましょう。葺き材の見た目だけでなく、特徴、重量、基材や塗装の原料やそれぞれの保証年数、メンテナンス方法も確認すると良いでしょう。最近は葺き材に遮熱効果や防音吸音効果のある塗装が施されたもの、天然石を細かく砕いたものを吹き付け塗装したものなど、基材だけでなく塗装にも様々な特徴があるものがいろいろあります。値段だけでなく、性能やメンテナンス性など総合的に判断することが大切です。ただし、気候条件(寒冷地や積雪量など)、屋根の形、勾配によっては、自分の好みどおりの葺き材が選べるとは限りません。下記はアスベストを含まず、軽量で耐久性の高い屋根材の例です。
1)ROOGAルーガ[雅]、ルーガ[鉄平](ケイミュー株式会社)*㎡当たりの重量約19.3㎏(図9)
樹脂混入繊維補強軽量セメント瓦で、従来の瓦と変わらない厚さ25mmにも拘わらず重量は半分以下の瓦材です。強い衝撃が加わった際にも、素材そのものがたわんで衝撃や荷重を吸収するので割れにくく、たとえ欠けても破片の飛び散りを防ぐ性質を有しています。また、無機系塗膜の使用により、色あせの原因となる紫外線から色、光沢を守る性質も有しています。

軒裏が雨漏りでシミていたり、腐ったりしていませんか?

2)T・ルーフ「クラシック」、T・ルーフ「シェイク」(LIXIL)*㎡当たりの重量約7㎏(図10)

軒裏が雨漏りでシミていたり、腐ったりしていませんか? 1㎡当たりの重量が約7kgと極めて軽く、基材として長期間の耐腐食性に優れたガルバリウム鋼板が使われています。この鋼板は、55%溶融アルミと亜鉛の合金メッキ鋼板で、アルミの耐食性と亜鉛の防食作用により耐久性・耐食性に優れ、亜鉛メッキ鋼板(通称トタン板)の3~6倍の耐久性が見込まれます。また、表面天然石チップの吹き付けにより長期間にわたり塗り替えの必要がありません。

2. 防水紙は何を選ぶか
防水紙にもいろいろあります。基本的にはアスファルトルーフィングと変わりませんが、高温で柔らかくなりすぎ低温で固く割れやすい欠点を改善した改質アスファルト(ゴムアスファルト)を使用したもの、破れにくくするために基材が紙ではなく合成繊維でできているもの、遮熱効果や透湿効果があるものと、特徴や性能はさまざまです。また、それにより価格も変わってきます。

3. 雪止めはどのように取り付けるか
忘れがちなのが、雪止めです。あとから取り付けるのは大変なので、葺き替えの際に一緒に検討することをお勧めします。北面だけに取り付けるケースが多数を占めますが、家の向きや隣地条件によって取り付け位置も変わります。勾配がないため必要がないこともあります。また、素材によって価格も変わります。

4. 既存の屋根材をどうするか
既存の屋根材の撤去をどうするかも重要なポイントです。撤去すれば、撤去作業費用や廃棄費用が発生します。新しく葺く屋根材が軽いので、既存の屋根材をそのままに被せて葺き替えすることを勧めるメーカーや業者もあるようですが、当講座では、撤去することをお勧めします。その理由は下記のとおりです。
(1)葺き材が傷んでいるということは、その下の防水材の劣化も生じているため、防水材から葺き替えたほうがよいと同時に、野地板や垂木などの腐食も確認できます。
(2)耐震性から考えると、屋根を少しでも軽くし、負担を軽減することが大切です。

以上のポイントに留意したうえで、価格だけに拘らずに施工実績があり信頼できるリフォーム会社や工務店に相談するようにしましょう。

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