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通信講座No.086 「家族のコミュニケーションはとれてますか?」

講座No.086-1 「居間(リビング)に求められる要素」

近年、日本の住宅における居間(リビング)は、住宅内でもっとも重要な位置を占めています。実際、平成22年の照明学会で発表された報告書によると、自宅で過ごす時間の75%以上がリビング・ダイニング空間にいる結果が記載されています。
では、居間(リビング)とはどんな空間なのでしょうか。
江戸時代、「居間」という言葉は、「主人」や「夫人」の居室という意味で使われていました。明治維新以降に西洋住宅の概念と対応した意味で使われるようになり、昭和40年代以降、現在のように家族が集まってくつろぐ部屋という意味に定着しました。1980年代に各住宅での個室化が普及すると、居間(リビング)の重要性が増すようになり、面積の割合も大きくなっていきました。2000年以降、居間(リビング)とダイニングのワンルーム化が進むことで、住宅に占める割合の拡大傾向がさらに進んでいきました。これにより、主要な居室へは居間(リビング)を経由しないと行けない、居間(リビング)が動線の中心となる「居間中心型」の住宅が急増するようになりました。一般財団法人住総研の研究論文集No.38の「居間中心型住宅計画論の研究」によれば、2000年以前では「居間中心型」は19%だったのが、2006年では49.3%に増えています。建て方別に見ると、注文住宅では39.5%、建売住宅では25.5%となっていると同時に、経年変化においても注文住宅での比率が高いことから、「居間中心型」の普及は、住宅メーカー主導というよりも住まい手のニーズの高まりと考えられます。
このような状況に対して、先述の研究では「居間中心型」の居住後の評価分析を行っています。それによると、世帯主もしくは配偶者の評価は、満足層と不満層で大きく分けた場合、家庭内交流については満足層の割合が高いのに対して、空調効率においては、廊下に階段がある場合の不満層が27.9%に対して「居間中心型」の不満層は50%と多い結果になっています。
また、居間(リビング)に求めている役割を見ると、主に接客空間と家族団らんの2つに区別されています。この点については、親と子の評価が分かれる結果が出ています。「居間中心型」の家族団らんや家族のコミュニケーションなどに関して、親子共に高く評価しているものの、親が「子どもの様子が分かる」という点で高く評価しているのに対して、子の評価は低くなっています。また、接客空間としての評価も、子どもの年代が高まるほど低くなっています。
さらに、近年のワンルーム化や拡大化により、接客や団らんだけではなく、仕事や勉強、作業など多様な用途に居間(リビング)が利用されているようになっています。このような居間(リビング)の拡大化や用途の多様化が、次のような課題を生み出す原因となっています。

1.ライフスタイルやライフステージの変化への対応
2.空間の拡大や中心型に対応できる空調効率


それでは、上記2つの課題を解決するためには、居間(リビング)にどのような対策を施せばよいか考えてみましょう。

◆ライフスタイルやライフステージの変化による対策

子どもの進学や就職、独立、ワーク・ライフバランスの変化、さらには親世代の介護など、ライフステージによってライフスタイルを変えざるを得ないことはどんな家庭でも起こり得ます。
現在の住宅に占める居間(リビング)は、空間としても用途としても家族にとって大きな割合を占める場所ですので、課題を解決する場合、一時的な対策ではなく、将来的な要素も考慮して効果的な対策を考えるようにしましょう。

□ライフスタイルシミュレーションを作る

住まいの問題点を明らかにし対処するためには、ライフスタイルシミュレーションを作成し、現在のステージと将来を見据えて、効果的な解決方法を見つけることをお勧めします。ライフサイクルシミュレーションを作成することで、この先に必要となるかもしれないリフォーム、建て替えや買い替えの選択肢など、将来を見据えた無駄のない方法を考えるきっかけになります。例えば、近い将来、子ども世代の結婚・出産による同居があるか、もしくは子ども世代の独立があるかでは、居間(リビング)の使い勝手が大きく変化するのは想像に難くありません。なお、作成方法の詳細については、通信講座No.047-1をご参照ください。

居間(リビング)に求められる要素

□用途に合わせた照明設備

居間(リビング)が広くなり、用途も多様化している昨今、居間(リビング)の照明設備は、単に明るいというだけでは快適とはいえません。例えば、子どもと高齢者では、明るさや輝度の感じ方が異なります。特に作業中の明るさ不足は、作業効率の低下や段差・障害物に関する事故の危険性が増加する問題が懸念されます。逆に明るすぎる場合は、かえって眼精疲労が強くなります。就寝前の強い明かりは、睡眠障害の原因にもなりかねません。
図2が示すように、JISの照度基準によれば、団らんの場合と読書の場合では、同じ部屋でも求められる照度が異なります。居間(リビング)が広く、用途も多様化している昨今の状況から見れば、天井に1つの全体照明を設置するだけでは、十分な快適性が得られるとは考えられません。用途や範囲を考慮して、全体照明の他にスポット照明などの照明設備を見直すとよいでしょう。最近は、照度を調整できる照明器具もいろいろ発売されています。それらを上手に使い分けることで、家族が居間(リビング)に集まり、それぞれの方法でくつろいだり、作業をしたりすることが無駄なく効果的にできるようになります。

居間(リビング)に求められる要素

□開口部の防犯対策

ライフスタイルが変わって、日中留守になることが多くなったりすることはよくあることです。居間(リビング)が住宅に置いて大きな割合を占めているということは、窓の設置面積も大きいということになります。日本の住宅では、1階の日当たりの良い場所に居間(リビング)を設けることが多いため、適切な防犯対策が必要でしょう。居間(リビング)に面格子を設置するのは好ましくありませんので、防犯ガラスを活用することをお勧めします。また、戸建て住宅の場合なら、雨戸やシャッターを見直すのもお勧めです。夜間や外出時など、図3のように雨戸やシャッターがルーバー式であれば、窓は空けたまま雨戸を閉めて施錠することで、通気・通風を得ることが可能です。機能性の高い雨戸の詳細については、通信講座No.014-3 「本格的雨戸リフォームのポイント」をご参照ください。
さらに、庭の植栽や物置が侵入者の身を隠すスペースにならないよう、近隣の目が適度に届くように整えておくことも大切です。

居間(リビング)に求められる要素

□防音対策

近隣の音は住んでみて初めて気付くことが多いものです。また、住んでいる間に、近隣の住人が変わったり、環境が変わったりで、往来や近隣の音が気になるようになることもあります。さらに、自分の家族内で子どもが増えたり、子どもが大きくなったりで発生する音が隣家の騒音となるようなこともあるでしょう。生活音の問題は、近隣だからこそなかなか口に出しにくいものです。そこで、ライフスタイルやライフステージを見直した上で、適切な防音対策を施すことも必要です。外から侵入する騒音を防ぐのに最も手軽なリフォームは内窓を設置することです。内窓の設置は、断熱対策や結露防止にも効果があります。

□間仕切りの設置

子どもの成長や独立、要介護者が家族にいるなど、居間(リビング)が家族団らん以外の用途を重視した使い方に変化することがあります。
このように用途の重要度に変化が起きた際に有効な対策のひとつが、間仕切りの設置です。図4のようにリフォームでも上吊りタイプの間仕切りであれば、敷居の設置も不要です。このような間仕切りであれば、ライフステージによって生じた用途の変化に比較的容易に対応でき、介護者用の居室、客間、趣味の空間などさまざまな用途のスペースを居間(リビング)に設けることが可能です。

居間(リビング)に求められる要素

◆空調効率

広い居間(リビング)や、最近増えている階段などが設置され居間(リビング)を経由しないと他の居室へ行けない居間中心型の設計の場合、居間(リビング)から移動する空気や熱の量も範囲も大きくなります。そのため、冷暖房や換気など空調効率を見直すことは、居間(リビング)の快適性だけではなく、住まい全体の空気質や温熱環境を快適に保つために重要です。

□窓の断熱

居間(リビング)が広くなることで、窓の面積も大きくなる場合が多く見られます。図5からも分かるように窓からの熱の流出入の割合は非常に大きいため、部屋の空調効率を上げるためには、窓の断熱対策が非常に重要です。内窓の設置は、簡単な工事で図6が示すように温熱環境を改善する効果が大きいのでお勧めです。結露防止や防音対策にも効果があります。

居間(リビング)に求められる要素
居間(リビング)に求められる要素

□床の断熱

最近の居間(リビング)の床材は、複層(複合)フローリングが一般的です。複層(複合)フローリングは、合板の表面に0.3~1mmほどの薄い天然木が貼られ、表面が樹脂などで加工されています。無垢材と比べて狂いが少なく取り扱いや施工が容易な利点がある一方、表面が硬質で滑らかなため冬は冷たく感じる難点があります。
一方で、無垢材は、パイプ状の細胞が集まって出来ている天然の構造が空気層となり、複層(複合)フローリングよりも熱伝導率が低く断熱効果が高い床材です。体感的には、夏は足触りがサラッとし、冬は冷たい感じが緩和されます。

□調湿効果のある内装

調湿効果の高い壁材により湿度を適度に保つことで、夏はジメジメ感を取り除き体感温度を下げるのに、冬は体感温度を上げるのに効果的です。壁材の選び方などは、通信講座No.017-3 「本格的な壁リフォームのポイント」または、表示通信講座No.029-2 「湿度管理で快適な住まいづくり」をご参照ください。
また、無垢のフローリング材にも、調湿作用があり、部屋が乾燥している時は水分を吐き出し、湿気が多い時には余分な湿気を吸収し、湿度を快適な状態に保ちます。

□換気・通気・臭気・湿気対策

「居間中心型」の居間(リビング)の場合、1階と2階の換気や通気を同時にすることが可能な利点があると同時に、階段を通じて暖気や臭気が上昇しやすいという問題もあります。そのために、窓の位置を見直して通気を改善したり、換気設備を見直すことも必要です。また、臭気がこもらないように、自然素材の消臭効果を活用する方法もあります。 例えば、自然素材100%のシラス壁なら消臭効果やホルムアルデヒドなどの化学物質の吸着などにより、室内の空気を清浄に保つ効果がある上、調湿効果もあります。 さらに、無垢材には、天然の芳香剤となるものもあり、床に無垢のフローリング材を使えば、無垢材そのものが発する木の香りが芳香剤の代わりにもなります。さらに、それぞれの木が持つ特有の香りには、さまざまな効果があることもわかっています。ビバの精油やヒノキの精油の吸入は血圧を低下させる効果があることや、ヒノキの芳香には、リラックスするときに脳内に発せられるアルファー波の量を増やすことも明らかになっています。木材の主要な精油成分であるα-ピネンの吸入は、緊張状態を抑える効果もあります。家族の団欒やくつろぎを求める居間(リビング)に、無垢材は最適な建材といえるでしょう。
空気質を改善する対策の詳細は、通信講座No.045-2 「空気をきれいするリフォーム」をご参照ください。

家族の団らんを大切にしたいという願いがこもった居間(リビング)だからこそ、家族みんなでライフステージに合った使い勝手のよい快適な空間を考えてみてはいかがでしょうか。

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