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通信講座No.010 「外壁の塗装にひび割れはありませんか?」

講座No.010-3 「本格的外壁リフォームのポイント」

外壁に生じたひび割れを補修する場合、その原因やひび割れの状況によって工事の規模も施工方法もさまざまですが、補修の目的は漏水の防止と美観を損なわないことであることにかわりはありません。つまり、ひび割れを補修しても、補修跡が目立つことや再塗装時の弊害になることは望ましくありません。ひび割れそのものは、状態に合わせて適切な方法で補修すれば漏水は防止されます。問題は、その後の美観の問題です。一般的には補修部分の保護と強化も兼ねて、外壁塗装を行うことで美観を損なわないようにします。
そこで、ひび割れ補修の仕上げとなるモルタル塗りの外壁塗装のポイントについて説明しましょう。

外壁塗装といっても、使われる塗料の種類はさまざまです。まずは基本的な塗料を学びましょう。 外壁塗料は、大きく油性と水性に分かれます。最近の傾向としては安全性と近隣の環境を配慮して水性が多く使われています。油性と水性の違いは溶剤の違いで、それぞれの特徴は下記のとおりです。

◆油性塗料

塗料の溶剤に有機溶剤を使ったもの。今はかなり変わってきていますが、つい最近まで有機溶剤というとトルエンやキシレンなどが一般的で、当然、人体・環境への悪影響、引火性の高さなどの問題点があります。反面、塗装時に外部の影響を受けづらく乾燥が早く、また作業性が良いので、以前は油性塗料が主流でした。

◆水性塗料

塗料の溶剤は「水」または「アルコール」を使ったもの。水やアルコールは人体や環境への害になる刺激物を含まないので、昨今では、塗料の水性化が進んでいます。

油性・水性の分け方に関わらず、その成分によって塗料はさらに種類が分けられます。下記は主な塗料の種類になります。

◆アクリル樹脂塗料

新築の時はほとんどがこのアクリル塗料となっています。一番塗料の種類も多く、一番値段も安い塗料といえます。耐久年数は6年から8年程度となっています。

◆ウレタン樹脂塗料

従来は2液タイプでしたが、最近1液タイプが多くなり作業効率が上がり外壁にも多く使われるようになりました。アクリル塗料よりも耐久性が上がり、耐久年数は8年から10年程度となっています。色も豊富で、乾燥後のツヤの度合いもいろいろあります。

◆シリコン樹脂塗料

耐久性に優れている為、現在ではスタンダードなものとなっています。ほとんどが水性塗料で、溶剤タイプのような独特な臭いもありません。弾性効果も合わせ持ち、耐久年数は10年から12年程度あります。

◆フッソ樹脂塗料

外壁塗料として、他の塗料よりもあらゆる点で優れていると思われますが、値段の方も他の塗料よりも明らかに高いため、公共性の高いメンテナンスの大変な建物向きといえます。

◆無機系塗料

上記の3つの塗料は、有機高分子である樹脂系塗料でその防水性や耐久性は主成分となる樹脂の性質によって大きく変わります。一方、無機高分子を使った無機質系塗料があります。通気性と超疎水性を併せ持ち、耐久性に大変優れている上、安全性も高い塗料です。粒子が小さくモルタル面の細かいところにまで浸透し、粒子間の強い吸着力で密着し、基体に同化していく性質があります。ただし、樹脂系塗料とは違い弾性や樹脂特有の塗装後のツヤはありません。一般的住宅から公共性の高い建物にも多く使われています。

このほかにも、最近では電磁波遮断・電磁波吸収・太陽熱吸収・遠赤外線放射・遮熱などの目的で開発された塗料もいろいろ販売されています。特に今注目されているのは、ヒートアイランド現象の効果的な防止対策、ひいてはCO2の排出削減に寄与するなどの環境改善の期待が大きい遮熱塗料です。遮熱塗料は太陽熱高反射率塗料ともいい、太陽光エネルギーを有効に反射して、屋根や外壁の温度上昇を抑制し室内の温度上昇を緩和、冷房などの電気消費量を抑えることができます。
遮熱塗料はアメリカのNASAで開発され、塗装することで50~100mmの断熱材を施工したのに匹敵する性能を発揮するとされています。最近になって住宅用として多くの塗料メーカーからも発売されるようになりました。しかし、昨年秋までは各社が独自の方法を採用して製品の性能である反射率を測定していたため、消費者にとって客観的に評価することが困難な状態でした。そこで、経済産業省は、遮熱塗料の反射率を評価する方法を統一し、消費者が適切に選択できるようにするため、日本工業規格(JIS K5602 塗膜の日射反射率の求め方)を平成20年9月20日に制定・公示しました。これにより、遮熱塗料の普及がますます促進されることが期待されています。ちなみに、図1は東京都足立区にある某社社宅で行った一般塗料と高反射率塗料での室温変化を表したものです。図からもわかるように、高反射率塗料の室温の方が一般塗料の室温より最大で2度以上低くなっています。

「本格的外壁リフォームのポイント」

このようにいろいろな塗料がありますが、一般的に塗料は耐用年数が長いほど価格は高くなります。もちろん耐用年数が長くなることは良いことですが、塗装工事の善し悪しは塗料だけが問題ではありません。
それでは、何に気をつけて業者選びをしたらよいか、見積もりのチェックポイントを説明しましょう。

1.素材の種類ごとに塗料の名前、種類が明記されていますか?
外壁を塗装するためには、建物全体に足場をかけて工事を行いますので、外壁だけでなくその他の部分も一緒に塗装するのが一般的です。そして、建物全体を見ると、さまざまな材料が使われています。例え外壁がモルタル塗りであっても、全部がそうとは限りません。そうなると、外壁はモルタル、図2のような破風板は木製ということもあります。このように素材の材質が変われば、それに適した塗料も変わります。建物まるごと同じ塗料、同じ施工方法で塗装できるわけではないのです。その点をきちんと見積に明記してあるか確認しましょう。

「本格的外壁リフォームのポイント」2.下地調整作業の明記がありますか?
どんなによい塗料で塗っても、塗装が剥がれてしまえば全ては無駄に終わります。そうならないために大切なのが、下地調整作業です。外壁の下地調整は高圧洗浄です。汚れをしっかりとって、塗料の密着をよくするために行います。木部や鉄部には、研磨作業が行われます。図2のように、古い塗料がはがれかかっている状態のまま塗れば、新たに塗った塗料が固まれば剥がれかかった塗料も一緒に一時は固まります。しかし、古い塗料が下地に密着していないので、すぐに新しい塗料ごと剥がれてしまいます。そうならないように、密着しなくなった古い塗膜を研磨してしっかりと剥がすことが、きれいに仕上るためにも、長持ちさせるためにも大切です。

「本格的外壁リフォームのポイント」3.ひび割れなどの下地処理が明記されていますか?
肝心のひび割れの処理について、どのように処理するのか明記されていますか。ひび割れの原因や場所、大きさなどによって、使われる材料も施工方法も変わりますので、しっかりと確認することが大切です。漏水の防止はもちろん、外観的にはどうなのか確認しておきましょう。施工方法によっては、シーリング材の上に塗装しても下地の違いでどうしても処理跡が目立ってしまうことがあります。あまり目に付かないところであれば、性能的に問題があるわけではないのでそれでも構わないという人もいるでしょう。でも、玄関まわりや道路に面したところなどはつい人の目が気になるものです。

「本格的外壁リフォームのポイント」例えば、図3のようにひび割れにVカットをしてシーリング材を充填した上に、塗装してもVカットしたところは、元からある凸凹模様が途切れてしまっているため、光線具合によってはスジのように目立ってしまうのです。それをさけるためには、図4のように、元からのある周囲の模様と同化させるようにする手間が必要になります。手間も模様をつけるための材料も必要になりますので、その分の費用は掛かりますが、美観も建物の価値のひとつですから補修跡を目立たせないことは大切なことです。

4.重ね塗りの明記がありますか?
塗料や下地によって多少の違いはありますが、外壁がモルタル塗りの場合は、3回塗りが一般的です。下塗りといわれる1回目には、一般的にその塗料に合ったシーラーまたはプライマーと呼ばれる専用の下塗り材が塗られます。2回目、3回目は主剤である塗料が塗られるのが一般的です。木部や鉄部は、塗料や下地の傷み具合などによって重ね塗りの回数は多少変わりますが、2回~3回が一般的です。たくさん重ねて塗ればよいというわけではありませんが、適切な施工が塗装工事の大切な要素ですので、しっかり確認しましょう。

5.塗装項目に漏れはありませんか?
後で追加請求されないために、見積に基本的に塗れるところは全部含まれているのか、何が含まれていないのか、しっかり確認しましょう。ちなみに、プラスチックや塩ビ製、アルミ製、ステンレス製の部材は塗装しないのが一般的です。

6.腐食がありそうな部分の補修はどうなっていますか?
築年数が古い建物の場合、木部や鉄部の腐食も考えられます。既に、気になっている部分があるのであれば、事前に調べてもらい修理の方法や費用を確認しておきましょう。

7.色はどのようになっていますか?
塗料によっては、選べる色が決まっている場合もあります。また、色によっては、塗料の価格が高くなる場合もあります。見積の条件の色は、自分がイメージしているものに一致しているのか確認しましょう。

8.クーリングオフの表示はありますか?
万が一のため、クーリングオフの制度が契約書に明記されているか確認しておきましょう。

9.保証年数・条件は明記されていますか?
塗装の保証のほとんどは、外壁部分の剥がれのみに適用されます。保証の条件とともに、木部や鉄部、屋根などの塗装に対する保証はどうなっているのか確認しましょう。また、ひび割れ部分の補修に関する保証についても確認しましょう。実際の保証書を見ておくことも大切です。

10.条件や約束事は、書面で記録に残してもらいましょう。
トラブルは、例え相手に悪意がなくても言った、言わないなどの思い違いや伝達ミスによって起ることがよくあります。条件や約束ごとなどは、その都度書面で記録し、互いのサインがあるものを残すようにしておけば安心でしょう。

塗装直後は、どんな塗料や業者を選んでもきれいに見えるものです。問題は、塗料や施工の善し悪しは、時間が経たないとわかりづらいところにあります。地元で長い間、施工実績のある業者を選んで、塗装から数年たった物件を見せてもらうのも、業者が信頼できるか確認できるひとつの方法です。 いづれにしても、工事は人間がするものです。優れた塗料や技術も大切ですが、うそやごまかしのない誠実な対応をしてくれる業者を選ぶことも大切です。

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