ちょっと本格的なDIY講座~住まいの学習館(通信講座)~

住まいに関する知恵や技術を学ぶことが出来る通信講座や体験イベント情報を紹介

通信講座No.002 「瓦漆喰の手入れは行っていますか?」

講座No.002-1 「瓦葺の構造と瓦漆喰の重要性」

「瓦葺の構造と瓦漆喰の重要性」 瓦屋根の棟回り、寄せ棟回りを、漆喰という白い塗り物で瓦を固定することを瓦漆喰といいます。特に、沖縄の屋根などは、台風の被害を防ぐために、瓦屋根全体を漆喰で固めているのが特徴です。(図1)
瓦屋根は、棟回りだけではなく、壁面との取り合い部分も漆喰で固定されます。つまり、漆喰は瓦と瓦をくっつける接着剤の役目を果たしているのです。棟回りや壁面との取り合い部分の構造は下の図2と図3のようになっています。

「瓦葺の構造と瓦漆喰の重要性」

そこで、瓦屋根の定期的な手入れにかかせないのが、この瓦漆喰の塗替えです。
漆喰は、一般的に石灰に麻を加え、草木や海草から得る接着剤、水などを加え練り上げてつくられます。このため、外見は白色となっているのが一般的ですが、最近はこれに炭などを加えた灰色のものもあります。
漆喰は、10年位で落ち始め、放っておくと雨漏りにつながります。それは、漆喰が痛んでしまうと接着剤としての機能を果たさなくなるため、瓦にズレが生じ隙間があくからです。また、棟部分が曲がりくねったり、ボコボコになってしまったりして、崩れやすくなります。こうなると、のし瓦を積み替えすることになってしまい、修繕工事が大きくなってしまいます。
定期的にこの瓦漆喰を塗替えることが、大掛かりな葺き替えや積み替えにならないためには必要不可欠なのです。

それでは、瓦葺の屋根の構造がどのようになっているか説明しましょう。
図4と図5は瓦屋根の構造の例です。図からわかるように、まず、野地板と呼ばれる板が敷かれます。使用される板の素材にはいろいろ種類があり、その素材によって強度を保つ板の厚さも取り付け方も決められています。例えば、一般的な合板の場合では、接着程度1類とされた厚さ9㎜以上のものを使用し、取付けは間隔150㎜内外に受材当たりN38釘で平打ちすることになっています。
また、天井裏も建築基準法によりホルムアルデヒドを発散する建材の使用が制限されていますので、使われる材料はF☆☆☆☆レベルの材料又はこれと同等以上が望ましいとされています。

「瓦葺の構造と瓦漆喰の重要性」

「瓦葺の構造と瓦漆喰の重要性」野地板の上に、下ぶきとしてルーフィングが敷かれます。下ぶきは、結露水や湿気を防ぐために使われるものです。アスファルトフェルトなどの防水シートがなかった時代には、「とんとん」「こけら板」「へぎ板」などと呼ばれた杉の木を薄く割ったものを使いました。薄く割った木の板を重ねて葺くことで防水性能を得ようとしました。図6はその写真です。
現在、ルーフィングの葺き方には基準があります。一般的に使われるルーフィングは、軒先と平行に敷き込むものとし、上下100㎜以上、左右200㎜以上重ね合わせて葺きます。棟は、左右折り掛けとし、壁面との取り合い部分は、壁面に沿って250㎜以上立上げます。留めつけは、重ね合わせ部分は間隔300㎜内外に、その他は要所をタッカー釘などで行います。ルーフィングの上に葺き材の瓦に合わせた瓦桟を打ち付けます。
そして、瓦桟に引っ掛けるように瓦を葺きます。瓦には表裏があって、図7のように爪があり、また各部位には名称があります。

「瓦葺の構造と瓦漆喰の重要性」

「瓦葺の構造と瓦漆喰の重要性」さらに、図8のように使われる屋根の場所にあわせた形状の役物といわれる瓦があります。
それぞれの瓦は、屋根の部位や役物にあわせて留付けます。留付けには、釘は銅・ステンレス、ビスはステンレス、緊結線は銅・ステンレス製のものを使用します。軒瓦、袖瓦、谷縁瓦は、一枚ごとに緊結するか、釘やビスで留めつけるように規定されていますが、屋根の部位や瓦によって、留付けない瓦もあります。後の点検時には、その部分の瓦を外して、下ぶきの状態を確認することができます。
瓦とは本来、粘土を主原料として、混錬、成形し焼成した粘土瓦のことを言います。瓦が登場したのは、今からおよそ2800年前の中国とされていて、日本には1400年以上前の西暦588年、百済から仏教と共に伝来され飛鳥寺で初めて使用されたといわれています。その頃の瓦の仕様は、現在でも使われている本瓦葺きとほぼ同じだったそうで、瓦葺きの許された建物は寺院のみでした。
その後江戸時代に、現在の桟瓦の形が考案されました。これにより瓦を用いる量が減り、建物強度のハードルも低くなり、さらには耐火建築用品として瓦の使用が奨励されたこともあって、一般にも普及することになりました。明治時代には、桟瓦を改良した引掛桟瓦が開発されています。現在、粘土瓦は、J形、S形、F形の3種に大別されます。

「瓦葺の構造と瓦漆喰の重要性」

また、焼成方法により、いぶし瓦、釉薬瓦、無釉薬瓦に分類されます。それぞれの特徴は下記のとおりです。

いぶし瓦(図10参照)

日本建築の屋根に多く見られるのが、いぶし瓦です。渋い銀色の光沢と清楚な美しさは、深い味わいと伝統の確かさを感じさせます。洋風指向が高まる昨今でも依然として根強い人気を保ち、その独特の色調から、「銀色瓦」、「黒瓦」などとも呼ばれています。焼成の最終工程で"コミ"とか"いぶし"と呼ばれる薫化(くんか)を行い、銀色の炭素膜を形成させます。いぶし銀のような色と"サエ"と呼ばれる独特のツヤが変色、退色することなく長い間保ち続ける製品が望ましいとされています。銀色の炭素膜は、古くは松材や松葉を一度に投入して空気を遮断、乾溜(かんりゅう)ガスによって形成されていましたが、近年ではブタン、プロパンなどLPGの生ガスや、水で希釈した灯油などの工業製品が使われます。

「瓦葺の構造と瓦漆喰の重要性」

釉薬瓦(図11参照)

「瓦葺の構造と瓦漆喰の重要性」陶器瓦や色瓦とも呼ばれています。製造工程はいぶし瓦とほとんど変わらないのですが、粘土を成形し、乾燥し、白地(しらじ)と呼ばれる乾燥した素地に釉薬を施し焼成する点が、釉薬瓦たる所以です。素地表面に溶けて付着しているガラス質の物質が釉薬で、成分により長石釉、フリット釉(ホウケイ酸鉛釉)などに分類され、フリット釉に対してフリットを用いないものを生釉として区別します。瓦の表面にガラス質が形成されるため、水が浸透せず長い年月を経ても美しい状態を保てるのが特徴です。かつては生産地により、粘土の質、焼成温度などが違うので、それぞれ特徴がありました。しかし近年は技術的な平準化が進み、一枚当たりの大きさ以外にさほど差異はなくなってきました。

無釉薬瓦

文字通り釉薬を使わずに焼成します。
細かく分類すると、釉薬を使わずに焼く素焼瓦や、生地に粘土以外の物質を混ぜて練り込み変化をつけて焼く練込瓦、窯の中で自然の変化をさせる窯変瓦などがあります。

最近は、このような本来の粘土瓦ではなく、一見瓦のように見える、金属瓦、化粧スレート瓦などが多く使用されるようになってきています。これらの新しい瓦は、粘土瓦とは構造も留付け方法も違いますので、瓦漆喰が使われていません。

同じカテゴリーの通信講座をピックアップ

屋根・雨樋
屋根・雨樋
講座No.001「屋根の棟押さえ鉄板は一度取替えましたか?」
講座No.002「瓦漆喰の手入れは行っていますか?」
講座No.003「雨の日に雨樋から水が溢れて、バチャバチャ音を立てていませんか?」
講座No.059「瓦葺き屋根で地震のときにコワイと感じた事はありませんか?」
講座No.064「軒裏が雨漏りでシミていたり、腐ったりしていませんか?」
講座No.096「屋根の葺き替えは考えた事ありませんか?」

自然素材主義パートナー紹介