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通信講座No.016 「照明器具が汚れていませんか?」

講座No.016-2 「照明で快適な住まいづくり」

前講座では、日頃のお手入れ方法と安全に使用するためのチェック方法を説明しました。
しかし、照明は器具本来が持っている部屋を明るくするという機能だけではありません。使い方次第でより快適な生活、住まいづくりに役立てることができます。
そこで、今回は照明の性質についての知識を深めましょう。

1.明るさの感じ方

明るさは、各用途や部屋によって照度基準がJIS規格で図1のように定められています。照度(lx=ルクス)とは、光源によって照らされている面の明るさを表わす単位です。

「自分でできるリフォームポイント」

ただし、同じ照度でも光源の光色によって明るさ感は異なります。光色は、色温度=k(ケルビン)という単位で表わします。色温度が高い光は、青っぽく感じ、低い色は赤っぽい光として感じることができます。同じ照度の蛍光灯でも白色と電球色を比べた場合、多くの人が白色光のほうが明るいと感じます。特に私たち日本人は、さわやかで活動的な印象を受ける白色光を好む傾向があるそうです。
しかし、ここで問題になるのが、光源による色の見え方を評価する演色性(Ra=アール)です。演色性については、次項「2.色の見え方」で詳しく説明しますが、基準光で照らしたときの色の見え方を100とした場合、どのくらい基準と違いがあるかを数値で示すことです。つまり、色がどのくらい自然に見えているかということがRaで分かります。色が見えにくい例で言えば、トンネルの照明があります。多くのトンネルでは高圧ナトリウムランプが使われていますが、この演色性はRa20しかありません。白熱灯などの電球はRa100で、一般的白色蛍光灯はRa60ほどです。つまり、蛍光灯の下では、白熱灯などの電球よりも色が見えにくい状態にあるのです。そうなると、もっとはっきり見るために白色光を使った部屋では、図1のJIS規格よりも明るい照度を求めてしまいます。例えば、図1ではリビングの場合、全般で30~70ルクスを推奨していますので、12畳の部屋であれば白熱灯なら60W~100W4灯くらいの明るさで十分ということになりますが、ある調査で実際にマンションの照度を測ったところ、200ルクス以上あったそうです。
また、高齢者住宅では、若年者の住む空間の2~3倍の明るさが必要と言われますが、それはあくまでも視作業をする場合のことで、全般照明を2~3倍にする必要はありません。逆に、高齢者は水晶体内の不純物によって光が拡散されて、まぶしさに敏感になるので明るすぎる照明はかえって不快に感じることもあります。高齢者が真っ白よりもベージュ系を好む傾向にあるのは、このためだともいわれています。 ちなみに、自然界の明るさを照度計で測ると下記のような結果がでています。

晴れた日中の直射日光:100,000ルクス
日中の木陰(壁の輪郭線から1m内側):10,000ルクス
室内の窓から1m内側:3,000~5,000ルクス
室内の北窓の中央:100~200ルクス
満月の月明かり:0.2ルクス

この数字を参考に、住まいの明るさをもう一度見直してみてはいかがでしょう。案外、明るすぎる部屋で過ごしている人もいるのではないでしょうか。

2.色の見え方

上記の「1.明るさの感じ方」でも触れましたが、照明には色の見え方を評価する演色性という数値があります。演色評価数とは、図2に示した試験色を、試料光源と基準光で照明したときの色ずれの大きさを数値化したもので、基準光で見たときを100とし、色ずれが大きくなるにしたがって数値が小さくなります。すなわち演色性が良いランプは、演色評価数の数値が大きく、演色性の劣るランプは数値が小さくなります。しかし、演色評価数はその基準光とのずれの方向が好ましい方向にあるかどうかに関係なく数値化されていますので、演色評価数が低くても好ましい色に見える場合もあります。また、演色評価数には平均演色評価数(Ra)と特殊演色評価数(R9、R10・・・R15)があります。平均演色評価数(Ra)は試験No.1~8の演色評価数値の平均値として表されます。一方、特殊演色評価数(R)は、木や肌を測るなど目的が決定されている際の光源の演色評価数のことで、試験色は図2のNo.9~15の色標が用いられます。

「自分でできるリフォームポイント」

演色性は、単なる色の見え方に留まらず、私たち人間の感覚に直接訴えて作用します。例えば、スーパーで美味しそうに見えた肉が、家に帰ってきて見たら「あれ?」と感じた経験がある人は多いのではないでしょうか。これが、演色性の作用です。スーパーでは、食品が美味しそうに見えるように波長を選択して放射するダイクロイックミラー付ハロゲン電球などの照明器具が使われています。一方、家庭の天井についた一般的な蛍光灯のあかりでは、演色性が低いためハロゲン電球で見たスーパーでの印象が際立ってしまうのです。これは、家庭での食事にも当てはまることです。味覚は視覚によって大きく作用されますので、演色性の高い照明の下なら、いつもの料理がより美味しそうに見えますし、反対に演色性の低い照明なら、味は変わらなくてもまずく感じてしまうことさえあるのです。
ところが、この演色性と明るさの関係には問題があります。人の目がもっとも明るく感じる波長は555nm(黄緑色)付近の光で、この波長を多く含む光源ほど明るいことになります。しかし、人の目が慣れ親しんでいる自然光は、いろんな色の光を含んでいて、その分光分布に近いほど演色性が良いことになります。つまり多くの場合、演色性と明るさは相反する関係にあり、同時に満たすことが以前はできませんでした。 現在では、人間の目に感じやすい青・緑・赤の光を効率よく発光する蛍光体を用いることで演色性、明るさともに高いランプが完成し、一般家庭にも普及しています。それが3波長(域発光)形蛍光灯といわれるものです。一般的白色蛍光灯がRa60ほどであるのに対して、3波長形蛍光灯ではRa88にもなります。また、特殊演色評価R15(日本人の肌色)では95前後にもなりますので、平均的な色味よりも肌色を良く見せてくれることがわかります。朝、洗面所でみる自分の顔が、くすんで疲れているように見えるよりも、例え寝不足でも元気そうな顔だったら気分も良くなるのでないでしょうか。
このように、照明の演色性は、快適な生活に影響する大切な要素です。

3.照明と素材の関係

照明には「照度」「演色性」「色温度」のほかにも、その性質を示すさまざまな要素とそれを示す数値があります。そのどれもが、住宅だけでなくあらゆる空間をデザインするときに重要な要素になります。照明設計者は、それら照明の性質と空間の大きさ、素材、材質、色などさまざまな要素を考慮して用途やイメージに合わせて照明プランを作るのです。公共施設やホテル、旅館、レストラン、店舗、複合ビルなどの多くはそうして設計されています。一般的住宅では、そこまでこだわる人はなかなかいませんが、インテリアの一部としてちょっと気にかけるだけでも、部屋の印象や居心地が大きく変わります。そのポイントが素材との関係です。
「1.明るさの感じ方」「2.色の見え方」で説明した「照度」「演色性」「色温度」で選択した照明も、照明があたる素材の色と質感によって見え方、感じ方が変化するからです。これは、素材の色と質感によって「反射率」が違うことによって生じます。一般的に、反射率が低いと柔らかいあかりに感じ、高いと強いあかりに感じます。反射率の違いは、色と質感によって生じます。白や淡い色は反射率が高くなる傾向があり、濃い色は低くなります。また、素材の表面に凹凸があると反射率は低くなります。図2は素材ごとの反射率を表しています。落ち着いた空間やくつろげる空間をつくりたいのであれば、同じ色でも反射率の低いものを選ぶとよいでしょう。壁は部屋でもっとも大きな面積を占めていますので、壁がどう見えるかはイメージや雰囲気づくりにおいて重要です。快適な空間づくりのために、壁の素材と照明を一緒に考えるようにしましょう。

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4.健康と照明の関係

人間の体には生来備えている生体リズムがあり、外的要因に関わらず一定の周期で生体機能の変動を繰り返しています。それは、呼吸のように1分以内の短い周期のものから、1年を周期とするものもあります。そのなかでも、1日を単位とした周期性変動は、体温、作業能力、血圧、ホルモン分泌などたいへん多くなっています。生体リズムの多くは、体内にある体内時計によって規定されていることが明らかになっています。体内時計がどこにあるのかは、まだ特定できていませんが、脳の中の視交叉上核(しこうさじょうかく)という神経細胞の集まりが非常に深く関っていることがわかっています。視交叉上核は、左右の眼球の後ろから出ている視神経が、頭蓋骨の真ん中で交叉する場所のすぐ上に左右ひとつずつあることから、光の受容=明暗の変化が体内時計に大きく関っていると推察されているのです。
生体リズムは、外的要因を受けていない状態でも、朝は体温や血圧が低く、日中にかけて高くなり、夕方、夜にかけては徐々に下がるというようにやわらかな曲線を描いて変動しています。しかし、睡眠・覚醒のリズムは24時間より長いため、光の変化を受容して体内時計を調整し、生体機能を合わせる必要があります。この調整を行わず、リズムが狂ってしまうと心身の健康にひずみがでることになります。例えば、時差飛行や昼夜逆転の交替勤務では、しばしば睡眠障害や胃腸機能障害などをきたします。それだけではなく、生体リズムの異常は、うつ病、小児自閉症、登校拒否症、神経性食欲不振症、中枢神経疾患など様々な病的状態に関ることもわかっています。
しかし、光と生体リズムの関係、その エイキョウヲ受ける睡眠・覚醒リズムの重要性はわかっていても、自然光にあわせて日常生活をおくることは現代社会ではほとんど不可能です。そこで、照明を上手に使って、体内時計の調整を行うことが大切になってきます。例えば、北ヨーロッパの緯度の高い地域では冬の日照時間が短く、うつ病や自殺が多いことは良く知られています。このような日照時間が短い地域では、冬に顔面だけでも人工照明を一定時間当てる治療法も行われていて、その成果が認められています。
私たちが集中力を高めて勉強や仕事をするには、全般的な明るさの10倍くらいの照度が机上に求められます。しかし、就寝直前までこのように明るい状態のもとで生活していると、睡眠障害の原因になることもあるのです。最近の研究によって、100~200ルクスでも誘眠ホルモンであるメラトニンが抑制され、眠りにくくなることがわかりました。就寝前のひと時は、明るさを抑えた暖かい光でくつろぐようにすることが大切です。
社団法人照明学会が行った「ストレスとあかり」についてのアンケート(男性209人、女性295人、10代~60代)の結果では、癒されると感じる光の種類はという問いに対し、半数以上の人が夕日や月明かりなど夕方から夜にかけての自然光と答えています。キャンドルライトも6割と癒し効果としての人気が高く、多くの人が炎のゆらめきに魅力を感じるようです。一説には、キャンドルの炎のゆらめきなどに見られる現象「1/fゆらぎ」といわれる不規則性には、癒し効果があると言われています。発生機構が未だ解明されていない「1/fゆらぎ」とは、パワースペクトルが周波数f(frequency)に反比例することで、電気的導体に電流を流すとその抵抗値が一定ではなく、不安定にゆらいでいることが80年ほど前に発見されたことに始まっています。人の心拍の間隔や電車の揺れ、小川のせせらぎ、木漏れ日、蛍の光り方などにも「1/fゆらぎ」が在るそうです。その効果は科学的に証明されていませんが、規則性は人を単調な気分にさせ、逆に極端に不規則なものを不快に感じることは確かですから、「1/fゆらぎ」という規則性と不規則性のちょうど中間である状態を、人間が心地よいと感じたとしても不思議ではないのかもしれません。一方、人工光の癒し効果はあまり期待できず、アンケートでも蛍光灯やLEDの評価は低く、人工光の中でもっとも高いと言われる白熱灯でも2割程度でした。さらに、あかりの色についても、夕日やキャンドルライトを連想させるオレンジ色に癒し効果を感じる人が8割近くと飛びぬけて多い結果が得られています。
ストレス社会といわれる現在、さまざまな癒しグッズや施設がありますが、まずは我が家の照明を見直してみる必要があるのではないでしょうか。

以上は、「明るく照らす」という本来の役割とは別の照明がもたらす効果の一部です。このように、明かりとしてだけではなく、より快適な生活、住まいづくりに照明を上手に使いこなしましょう。

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