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通信講座No.017 「壁のクロスが黄ばんだり、めくれていませんか?」

講座No.017-3 「本格的な壁リフォームのポイント」

前講座で説明したように、古くなった壁のクロスを自分でリフォームすることは、簡単ではないにしろ、時間と手間を厭わなければ可能です。
しかし、実際にはその手間、暇がなかなか掛けられない人もたくさんいます。小さな補修ならいざ知らず、部屋まるごととなると準備だけでも結構時間がかかるものです。思い切って業者に依頼すれば、材料の選択肢も広がりますし、仕上がりも違います。
そこで、今回は業者に依頼する本格的リフォームのポイントについて説明しましょう。せっかく業者に頼むのですから、単に壁をきれいにするだけではなく、より機能的で快適な空間になる方法を考えてみましょう。

◆素材選びのポイント

最も普及しているビニールクロスには、価格や施工性、色・柄の豊富さなどの利点があります。さらに最近は、さまざまな機能が付加された壁紙が、各メーカーから発売されています。ビニールクロスは、さまざまな材料を混入しやすいこともあり、汚れ防止、抗菌、防カビ、表面強化、撥水、消臭、調湿など機能もいろいろです。ただし、その機能の効果や効力の持続性は、各メーカー、商品、使用状況などにより差があります。機能を過信せずに、一般的なものよりは効果があるという程度に考えたほうが良いでしょう。
機能面からいえば、ポイントはやはり省エネとエコロジーでしょう。CO2削減と環境保全は今や世界的な重要課題です。さらに、リフォーム後の生活が快適であるためには、なんといっても安全と健康は大切なポイントではないでしょうか。どんなにデザイン的に優れていても、機能が充実していても、健康を害してしまうようでは困ります。
一般的に安心の目安としているのが、表示マークF☆☆☆☆ではないでしょうか。実際、現在の法規上では表示マークF☆☆☆☆のついた建材は使用制限の規制対象外です。しかし、その建材のどれもがホルムアルデヒドがゼロという意味ではありません。28℃の温度条件において、1時間で建築材料1㎡当たりから発散されるホルムアルデヒドの量が5μg(0.005mg)以下であるということを示しただけです。つまり、F☆☆☆☆の建材でも、室温が28度以上になったときに、ホルムアルデヒドの量が5μg(0.005mg)以下であるとは限らないということです。通常、温度が上がれば発散速度は変わり、量も増えるからです。また、ゼロではないということは、密室状態では時間が経てば発散された分だけ室内の濃度が上がることにもなります。省エネの面から推奨されている高気密の家では、室内のホルムアルデヒドの数値が上がりやすいということになります。さらに、F☆☆☆☆はホルムアルデヒドの発散量のみについて示すもので、それ以外の化学物質の発散量について示すものではないということです。ホルムアルデヒドの他にも、室内の空気を汚染する化学物質として、VOC(揮発性有機化合物)があげられ、主なVOC13種については厚生労働省でも室内濃度の指針値を示しています。これらVOCの発生源は建材だけではなく、家具や衣類などの防虫剤、殺虫剤、芳香剤、防カビ剤、灯油なども発生源となっています。
そこで、今見直されているのが自然素材の壁材です。機能性・快適性の両方で優れており、いろいろな自然素材の壁材が発売されています。 自然素材の特性が活かされ、さまざまな効果が確認されています。素材によって違いはありますが、共通して見られる効果は調湿性、断熱性に優れていることです。自然が作り上げた構造は、人工的に再現するのが難しいほど複雑且つ巧妙にできています。そして、それぞれ特有な構造は、自然環境に適応して創られたものであるため、神秘的なほど環境に順応する特性を持っています。素材の特性から生じる効果なので、薬品などを添加して得られる効果と違い、持続性や安全性の上でも優れているといえるでしょう。また、素材自体が自然のものですから、廃棄する際も環境を汚染する心配がいりません。いくつかの自然素材の製品例と特徴を説明しましょう。

□ 植物

講座No.015‐1「壁紙の掃除方法」でも触れましたが、植物繊維でつくられた紙による壁紙が発売されています。こうぞやみつまたで作られた和紙はその製品のひとつですが、最近はさまざまな植物繊維を使った壁紙が発売されています。

① こうぞ・みつまた

こうぞはクワ科の植物で繊維が長く太いので、たいへん丈夫な紙ができます。一方、みつまたは、ジンチョウゲ科の植物でこうぞに比べ繊維は短く強さもやや劣りますが、滑らかで光沢のある紙ができます。これらを主原料とした和紙は、木材と同じで呼吸しています。湿度の高い時は湿気を吸収し、乾燥したときには蓄えていた湿気を放出しますので夏は涼しく、冬は暖かく過ごせます。また、無作為に並んだ繊維が光を乱反射させるので、照明の灯りや日光を柔らかくする調光効果もあります。光と同様、音も分散・乱反射しますので、音は柔らかくなるだけでなく、部屋から洩れる音も軽減できます。保温効果もあります。さらに、 和紙の場合はそのまま重ね貼りができますので、リフォーム時の工程が大幅に短縮できます。 重ね貼りする事で、和紙の特性がより高い効果を発揮します。植物が原料ですから、自然破壊も無く、腐れば肥料になり、燃やしても有害物質をだしません。本物の和紙は高価なものです。安価なものは、材料にわずかなこうぞの繊維などが混入しているだけの和紙もどきですので、注意しましょう。

② ケナフ

アオイ科の植物で成長が早く収穫できる繊維も多いため、木材パルプの代替資源として森林伐採の防止作物として有名になりました。これを使用したケナフ紙の壁紙もいろいろ発売されています。和紙に混ぜてあるものもあります。強い繊維が特徴的である上に、和紙などと同様の調湿、調音、調光効果があります。廃棄しても、燃やしても有害な物質をだしません。

③ オーガニックコットン

「自分でできる補修と張替え」オーガニックとは、有機栽培の意味で、化学合成農薬や化学肥料に頼らず、有機肥料などにより土壌の持つ力を活かして栽培する農法のことですが、オーガニックと名乗るには、国によって認定機関、基準、それを示すマークがあります。つまり、認定されない限り、有機栽培=オーガニックとは言えないことになっています。ちなみに、日本では、図1のJASマークで示され、基準として3年間農薬や化学肥料を使用しない土地で栽培、化学合成農薬や化学肥料は原則使用しない、遺伝子組み換え原材料は使用しない、放射線照射はしない、合成添加物の使用制限など細かく決められています。そのような基準をクリアしたオーガニックコットンは、織物、つまり布クロスとして使われています。オーガニックの安心が、赤ちゃんやペットがいる家庭などで人気があるようです。また、布クロス独特のボリューム感と、あたたかな風合い、ソフトな感触も魅力です。特徴としては、調湿性・通気性があり、結露が発生しにくいという長所があります。反面、水分や汚れを染みこみやすく、ホツレやすく、汚れが落ちにくい、価格が高いなどの短所があります。布クロスには、撥水・防汚加工などが施されたものもありますが、せっかくオーガニックコットンを使用しているので、無加工のものを選ぶべきでしょう。布クロスは、普通に張ると継目が目立ちやすいという特徴があります。きれいに張るには、熟練した職人による施工が必要です。

④ イ草

イ草には、空気を清浄化する作用、防カビ・抗菌作用、調湿作用などがあります。また、シックハウス症候群の原因となる物質(ホルムアルデヒドなど)を吸着したら放出しないという特徴も持っています。イ草のほのかな香りには、沈静効果もあると言われています。そのイ草のよさを生かした壁紙があります。ビニールクロスよりも高価ですし、色・柄のバラエティーは少ないですが、自然な風合いならではの良さと自然素材という安心感があります。ただし、産地には気をつけましょう。イ草は、輸入検査を受ける必要の有る品目です。輸入時に病害虫等が付着していることが判明した場合には、薬品による薫蒸、消毒等の措置を必要とします。製品となったものの輸入には検査は不要となっていますが、それはそれで心配とも言えます。例えば、現地で黒味が消えすっきりした色調になるからと有毒な二酸化硫黄で薫蒸した畳が高級材として市場に出ていたりします。安心できる壁材を選ぶのであれば、国産の低農薬・無農薬のイ草を原料としたものかどうか確認するほうがよいでしょう。

□ 珪藻土

内装材として珪藻土を売りにしている新築物件も見られるほど、最近はすっかり耳慣れた珪藻土は、コテなどで塗布する左官材として一般的には使用されますが、珪藻土を混入したビニールクロスなども最近は発売されています。珪藻土は、藻類の一種である珪藻の殻の化石の堆積物(堆積岩)です。珪藻の殻は二酸化ケイ素でできているため、珪藻土もこれを主成分としています。混入している粘土粒子などの色の違いにより、珪藻土の色は白色、淡黄色、灰緑色と産地によってさまざまです。耐火性と断熱性に優れ、高い保温性と程よい吸湿性で昔から壁材として使われてきました。珪藻土そのものには接着能力はないので、壁材としては石灰やアクリル系接着剤や樹脂を混ぜて使用されるのが一般的です。したがって、珪藻土を数パーセントしか含まないものも多く流通していますので、何がどのくらい含まれているのか確認して選ぶようにしましょう。

□ 石灰岩・貝殻

石灰岩や貝殻を焼成すると、成分が酸化カルシウムの生石灰になります。ちなみに、石灰岩からできた生石灰を石灰(いしばい)、貝殻からできたものを貝灰(かいばい)と呼びます。
生石灰に水を加えると成分が水酸化カルシウムの消石灰になり、消石灰に水を加えて練り合わせて壁に塗ると、空気中の二酸化炭素と反応して硬化します。消石灰を水で練ったものは粘性に乏しいので、壁材としての作業性を向上させるために角又(つのまた。暖海の岩上に生育する海藻)などの糊やスサと呼ばれる植物繊維を混ぜて補強したものが漆喰です。防火性が高いのが特徴で、古くは城や土蔵に使われたりしました。また、調湿機能も持ち、季節の変化に耐え、カビがつきにくいという性質をもつため、今でも押入れの壁などに使われることもあります。そのほか、遮音性や遮光性にも優れています。乾燥後の収縮率が高いためひびが入りやすいのが欠点といわれています。 ヨーロッパの建築にも石灰が使われています。それは消石灰に川砂だけを混ぜた石灰モルタルや生石灰を大量の水で消化させ寝かせてペースト状にした生石灰クリームです。生石灰クリームは、消石灰に比べて、硬化後の収縮が少なく表面硬度が硬いうえに、コテによる艶が出やすい特徴があります。

□ シラス

「自分でできる補修と張替え」シラスは、2万5千年前、現在の鹿児島湾北部を火口とする姶良カルデラの大噴火によって発生した火砕流が堆積したもので、マグマの超高温で焼成された高純度のセラミック物質です。南九州はシラスによる広大な台地から形成され、シラス地層の厚さは数十mから150mにもなります。非晶質の割合が60~80%もあるシラスは、火山灰や他の火山噴出物とは全く異なる特異な性質をもっています。非晶質は、分子構成が不安定で活性化し、環境によって触媒反応等が起きやすくなることから、消臭・分解・殺菌・イオン化などの機能を発揮すると考えられています。そのシラスを原料とした壁材(図2)は、漆喰や珪藻土とも違った独特の風合いと色合いが特徴です。調湿、消臭性能に優れ、ホルムアルデヒドを吸着して再放出しません。また、多孔質なシラスの特性で、断熱性、防火性にも優れています。
シラスは、すでにマグマの超高温で焼成された高純度のセラミックですから、珪藻土や石灰のように焼成する必要がなく、製造過程においても省エネで環境に優しい材料といえます。

このように、さまざまな自然素材の壁材が発売されています。選択肢がいろいろありますので、好みや予算などと合わせて決めるとよいでしょう。ただし、「自然素材」とうたっていても、わずかに自然素材が含まれているだけというものがたくさんありますので、よく確認しましょう。

◆色・柄を考える

「自分でできる補修と張替え」床、天井、窓枠の色、カーテン、家具、装飾品、部屋の大きさや使用目的などを考え、インテリアをトータルでコーディネートするように選ぶと良いでしょう。今までとはイメージの違うものを選べば、家具やカーテンを変えなくても、雰囲気を大きく変えることができます。洋間や寝室には落ち着いた柄か、または反対に艶やかで豪華な雰囲気の柄を選ぶことで、夢のある空間が生まれます。子供部屋にはカジュアルな柄を選ぶのも良いでしょう。ただし、子供の成長も考えて飽きの来ないものを選ぶ必要があります。最近は、ボーダーを入れてアクセントにしたり(図3)、壁の腰上と腰下を張り分けたりする事で立体感を出したりする方法(図4)もよく使われています。また、小さな子やペットがいる場合は、無垢材などで腰壁を作る方法(図5)も傷がつきにくく、汚れが目立たないのでよいでしょう。

「自分でできる補修と張替え」リフォームの場合、下地を張替えない限り、新築と違って下地補修調整を完全には出来ません。年月による下地の痛み具合や、以前のリフォーム工事での下地調整が基礎になります。そこで、なるべく下地が目立たないよう綺麗な仕上がりにするためには、紙壁紙やビニールクロスは、多少厚手で表面に凹凸のあるもの、表面があまりツルツルしていなくて直接光を反射しにくいものを選択するとよいでしょう。
また、柄や色を決めるときには、部屋の大きさや照明などの明るさとのバランスに注意しましょう。小さな部屋や照明が少ない部屋で濃い色や大きな柄を選ぶと、出来上がったときに見本のイメージよりも圧迫感を感じる場合があります。そのような場合は、家具やカーテンなどをできるだけシンプルなものにしたり、色味を合わせたりすると全体がバランスよく見えるようになります。逆に、白っぽいものは、広い部屋や明るい照明の下では、白さが際立って見えてしまいます。どんな調度・家具などにも合わせやすいことは利点ですが、温かみや豪華さを感じさせるためには装飾品や照明を工夫するとよいでしょう。
壁は部屋の面積の大半を占めますので、小さなサンプルだけで決めるのは、慣れないと大変なことです。ショールームや実際の施工例を見たり、メーカーの施工体験会に参加したりしてみると、イメージを明確にするのに役立つでしょう。

◆施工のポイント

① 糊、パテ

壁材だけではなく、どんな糊やパテが使われているのか注意しましょう。F☆☆☆☆のものを使うことは当然ですが、前述したようにF☆☆☆☆はホルムアルデヒドゼロではないことを理解しておきましょう。

② 下地

土地の条件や普段の換気状況、部屋の使用状況などによっては、下地材の傷みがひどい場合もあります。下地にカビが生えていたり、打ちつけている釘に錆が出ていたりすることはよくあることで、下地と外壁材の間にカビが生えていることさえあります。カビは、ペニシリンのように人に有益になる場合もありますが、人の健康を脅かすものもあります。カビが生み出す毒素により中毒症や感染症を引き起こすこともありますし、空中に舞ったカビやカビの胞子は、シックハウス症候群の原因にもなるともいわれています。
せっかく本格的リフォームをするのであれば、下地の状況に問題がある場合は、思い切って下地から手入れをすることも検討してみましょう。

③ 時間

リフォームの場合、住みながら施工するのが一般的です。工事が終われば、きれいになった部屋で、すぐに元通りの生活をはじめたいと誰もが思うことです。でも、住みながらのリフォームだからこそ、少し余裕をもって見守る気持ちが大切です。前述したように、壁のリフォームは、住まいの状態によって下地の調整はさまざまです。人が生活する中での工事ですので、換気を十分にできないこともあります。ビニールクロスであっても、自然素材であっても、素材がその家の環境に合って定着するには、多少の時間がかかります。例えば、ビニールクロスや紙壁紙などの場合、完全に乾燥すると縮むことを考慮して貼るため、張替え直後は多少の緩みが見られます。また、漆喰やシラス壁などで化学物質が入っていない壁材は、乾燥して硬化が完了するまでに時間が掛かります。その間の換気や通気は、仕上げにかかわる大切なポイントです。直接風をあてずにじっくり乾かすのが理想ですし、そうすることで顔料の定着や発色も安定します。住まいは工業製品ではありません。家のつくり、住む人、住まい方によって千差万別です。きれいになることも楽しみのひとつですが、選んだ壁材が自分の家に馴染んでいく過程も楽しむ余裕をもつことが大切でしょう。

住まいは単に雨、風を凌ぐだけではなく、健康、命に係わる大切なものです。そして、日頃いちばん接することが多い壁材は、健康を脅かすことのない安全、安心な住まいかどうかを左右するといっても過言ではありません。だからこそ、リフォームは本当に良い材料と良い施工方法を提案してくれる信頼できる業者に相談しましょう。

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