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通信講座No.019 「冬に部屋が冷え込んで寒い思いをしていませんか?」

講座No.019-1 「断熱の基礎知識」

断熱の基礎知識冬に格別な寒さを感じるのは、外壁や天井、床などの断熱が弱いためです。古い家の場合、断熱材がほとんど入っていなかったり、薄かったりで効果が出ていないこともあります。断熱効果のない家だと、暖房費がかさみ、経済的に負担が大きくなるだけでなく、健康にもよくありません。高齢者や心臓・血管などに問題を抱える人にとってはなおさらです。
そして今、断熱はそこに住む人だけではなく、地球にとっても重要なのです。

2010年4月、国土交通、経済産業両省は、温暖化対策を強化するため、新築の住宅やビルに省エネ基準の適合を義務付ける方針を発表しました。
まずは、現在10~20%程度の適合率を50%以上に引き上げ、将来的には100%を目指しています。これからさまざまな基準が整えられ、新築、リフォームを問わず省エネ住宅は義務化されるようになっていくでしょう。それだけ、地球温暖化は深刻な局面を向かえているということです。図1は、スーパーコンピューターの高解析気候モデルにより年平均地表気温上昇の分布を示したものです。1960年に極地で見え始めた気温上昇は、2000年には地球全体でみられるようになりました。50年後には極地で10度以上、赤道直下で5~6度の上昇が見られるようになり、2100年では北半球のほとんどが10度以上上昇すると予測されています。このままいけば、子どもたちには過酷な未来しか残されていないことになります。「もったいない」を無くすだけでは、間に合わない深刻な状況なのです。さらに、消費量が年々増えている化石燃料も、資源の枯渇がすぐそこに見えてきています。
BP 統計2008によると、2007年末の世界エネルギー資源の確認可採埋蔵量とその可採年数は、次のとおりになります。

石  油:12,379億バレル=41.6年
石  炭:8,475億トン=133年
天然ガス:177.36兆m3=60.3年

今、わたしたち一人ひとりが、真剣に住まいのあり方とライフスタイルを見直すことを求められているのです。ちなみに家庭で消費するエネルギーを用途別に見ると、一番消費量が多いのは給湯で28%、次に暖房の25%となっています(「2006年版エネルギー白書」による)。給湯は年間を通じて使うものですが、暖房は年間何ヶ月かのことです。いかに多くのエネルギーを暖房に使っているかがわかると思います。高気密・高断熱住宅であれば、暖房効率もよく、一度暖まれば冷めにくくなります。もちろん、夏の冷房使用時にも同じことがいえます。しかし、断熱性能の悪い住宅では、冷え込みがひどいばかりか、外気の影響を受けやすいため、暖房も効きにくく、室温を保つにも多くのエネルギーを消費することになります。このように、住まいの温暖化対策=省エネ化には、断熱対策が重要であることがわかります。
そこで、まずは断熱の基礎知識を確認しましょう。

◆住まいの断熱基準

建物を規制している法律、建築基準法では断熱に関する規定はありません。断熱材を入れなくても違法ではないということです。したがって、どのような断熱をするかは、施主のあなた次第ということなのです。
そこで、判断の基準としてきたのが、昭和55年の「住宅に係るエネルギーの使用の合理化に関する建築主の判断の基準」という法律です。その後、この法律は、省エネルギーが叫ばれるたびに改訂されてきました。それぞれの時期の法律の内容が、昭和55年の法律は「旧省エネルギー仕様」となり、平成4年の法律は新省エネルギーの仕様で、住宅金融公庫で言う「省エネルギー仕様」となり、平成11年に改訂された法律の仕様が、今で言う「次世代省エネルギー仕様」となっています。同様に、品確法の温熱環境の等級に対しても、下記に示すようにそれぞれの年度に改訂された断熱基準が等級のランクになっています。なお、これらの法律は、建築主に努力義務を課しただけで、断熱をしなくても罰則のある法律ではありません。
住宅性能を表わす等級評価では、下記の4つに分けられます。

□等級1 規定無し

・断熱材は入れなくても違法ではない。

□等級2 旧省エネルギー仕様(フラット35)

・昭和55年当時に出来た法律を基準とした断熱性能です。フラット35の住宅ローンを組む場合でも、最低限この基準を満たす必要があります。

□等級3 省エネルギー仕様

・平成4年の新省エネルギー基準で等級2より30~60%のエネルギー消費量を削減できる基準です。現在では、当たり前となっている仕様です。

□等級4 次世代省エネルギー仕様(フラット35S)

・平成11年の基準によるもので、長期優良住宅では必須の等級です。等級3より15~50%のエネルギー消費量を削減し、今や等級4の次世代省エネルギー仕様が標準の仕様になりつつあります。断熱性能が具体的になる実際の光熱費の程度は、等級3と等級4では大きな変化があります。

断熱の基礎知識図2のグラフは住宅金融公庫の資料によるもので、外気温が18度以下になったときに、常に室温を18度にした場合の暖房費をそれぞれの断熱性能を元に計算したものです。もちろん、断熱性能が高いほど光熱費が下がっています。この比較は、外気温が18度を下回れば常に暖房をかける条件で計算しているため、実際の生活と同一視できませんが、実際の生活条件でも、旧省エネ仕様から省エネルギー仕様にするだけでも30%、省エネルギー仕様から次世代省エネルギー仕様にするだけでさらに30%前後の光熱費削減は見込めるでしょう。

◆住まいの断熱性能を表わす数値

断熱性能は、C値(相当すき間面積)、K値(熱貫流率)、Q値(熱損失係数)で示されます。

□C値(相当すき間面積)

建物の床面積1平方メートル当たりのすき間面積を示します。例えば、C値2.0の場合、延床面積120平方メートルの建物のすき間相当面積は、建物全体で240cm2存在すると言うことになります。つまり、C値が小さいほど気密性は高く、断熱性能が高いということです。

□K値(熱貫流率)

熱が、材料を通して温度の高い空間から低い空間へ伝わる現象を熱貫流といい、そのときの「熱の伝わりやすさ」を表す数値を熱貫流率といいます。この数値が小さいほど熱を伝えにくく、断熱性能が高いという事になります。正確には、屋根、天井、壁、床等のいろいろな材料が重なって構成されている部分は、それぞれの熱貫流率の合計、さらに室内側、屋外側の熱抵抗も加味して計算を行いますが、単純に断熱性能を比較するには、熱貫流率K値=1/(材料の厚み(m)÷材料の熱伝導率〔W/(m.K)〕)の計算式で十分でしょう。この式からも分かるように、断熱性能は厚みに比例し、材料の熱伝導率に反比例します。熱伝導率とは、素材固有の熱を伝えやすさの性質を数値で示したもので、単位はW/(m.K)で表わします。素材の断熱性は熱伝導率によって比較でき、数字が大きい方が熱を伝えやすい=断熱性能が低いといえます。
下記の表は、一般的な材料の熱伝導率と断熱に必要な厚みを示したものです。例えば、コンクリートの熱伝導率は木材の10倍以上にもなり、木材3cmの厚さとコンクリートの32cmの厚さの断熱性能は同じということになります。

断熱の基礎知識

□Q値(熱損失係数)

室内外の温度差1℃のとき、住まい全体から1時間に床面積1m2当たりで逃げていく熱量を指し、数字が小さいほど高断熱ということになります。屋根、天井、外壁、窓、床、換気などから逃げていく熱量(熱貫流率K値をそれぞれの部位で計算)を延床面積で割って計算します。
この数値は、次世代省エネルギー仕様で建物を建てる場合の指針となっていて、図3のように地域によって求められる数値が異なります。図は目安として都道府県分けてありますが、実際には市町村レベルで細かく細分化されています。

断熱の基礎知識

◆住まいの断熱方法

断熱の基礎知識住まいの断熱化は、部分的にするものではありません。屋根、外壁、床、窓などの家全体の断熱を施す必要があります。冬にコートを着て、コートの前を開けると寒いのと同じで、住まいも断熱がされていない部分から熱は逃げていきます。
施工方法としては、よくコマーシャルなどでも耳にする外断熱工法と内断熱(充填断熱)工法があります。図4は、それぞれの工法での断熱材の状態を示していますが、どちらの工法にも、メリットがあればデメリットもあります。すなわち、どちらが優れているということではなく、どちらも綿密な計画とそれに基づく確実な施工がなされていることこそが重要なのです。断熱の基本は、とにかく隙間なく家全体を断熱し、外気の影響を受けにくくすることです。ちなみに、図5は冬の暖房時の熱の流出を示したものです。暖房で暖められた空気の熱は、図で示すように家全体から逃げていきます。工法だけに拘るのではなく、開口部も含めた家全体の断熱を考える必要があることがわかります。

◆断熱性能以外に大切なこと

断熱の基礎知識工法や素材の性能を知り、確実な施工によって断熱することは、住まいの省エネにとって大切なことです。しかし、断熱性能を示すC値、Q値などの数値だけに依存しては、本当に快適な住まいづくりはできません。
日本の住宅は、従来夏の高温多湿を快適に過ごすためにさまざまな工夫が考えられ、作られてきました。例えば、大きな開口部や襖で部屋を仕切ったのは、夏に風通しをよくするための設計上の工夫といえるでしょう。
出来るだけ無駄なエネルギーを使わないためには、このように自然と上手く付き合う工夫も必要でしょう。例えば、省エネ基準などには夏期日射取得係数の基準値があります。夏期日射取得係数の基準値は、夏に家に入る日射を判断するためのもので、夏の省エネについて判断することができます。いくら高断熱でも、夏の日射取得が多い家では、冷房費がかかってしまい省エネになりません。そのため、庇やブラインドなどを利用して、夏の日射を遮る工夫をする必要があります。
断熱化をした家で、自然と上手く付き合いながら暮らす工夫があってこそ、住まいの温暖化対策といえるのかもしれません。

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