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通信講座No.019 「冬に部屋が冷え込んで寒い思いをしていませんか?」

講座No.019-3 「本格的断熱リフォームのポイント」

講座No.019‐1の冒頭にも記したように、住宅の省エネ化はもはやわたしたち一人ひとりの義務となりつつあります。政府も住宅の省エネ化を推進するために、断熱工事などのリフォームにエコポイントを発行するなどの支援を行っています。
そこで、今回は本格的断熱リフォームのポイントを説明しましょう。
重要なポイントは、2つあります。1つは、断熱・気密・換気を同時に考えた工事を行うこと。もう1つは、内装・外装のリフォーム工事と一緒に行うことです。

1.断熱・気密・換気を同時に考える

どんなに高断熱性能の部材を取り入れても、すき間があっては意味がありません。すき間をなくして気密性を高めても、室内の空気環境が悪くては健康を損なう危険が生じます。省エネと快適性を同時に実現させるためには、断熱、気密、換気を同時に考えたリフォーム計画が大切です。3つの機能が補完しあって、省エネ化が効率よく快適に実現できるのです。
そもそも、住宅の省エネ化を推進する次世代省エネ基準は、住まいの省エネルギー性を高めるための基準ですが、視野を広げれば「快適さ」「健康的」「省エネルギー」「耐久性」の4つのキーワードで表される、質の高い住まいを建てることが主な目的となっています。つまり住まいづくりの知恵を総結集してより質の高い住環境を実現していこうというものです。しっかりと断熱・気密化された住宅では、どの部屋でも同じような室温が可能となり、家中がいつでもどこでも快適です。その上、省エネが実現できますので、今までと同じくらいの負担で全室の冷暖房も可能になります。また、基準に従って施工された住宅では、壁体内の結露を防ぐことができて構造部分の腐食を防ぎ、住まいを長持ちさせることができ、結果、省資源化にもつながります。さらに、断熱気密化された住宅は、温度ストレスない室内環境が得られるので子どもや高齢者の健康管理にも役立つうえに、計画換気によって室内の空気を常に清浄に保つことができる、健康的な住まいになります。環境にも住む人にも優しい住まいであってこその次世代省エネ住宅なのです。
リフォーム工事の場合は、この全てを基準どおりに行うことは困難です。しかし、バランスよく、それぞれの機能を補完しあう工事は可能です。住まい全体の省エネプランをまずは信頼できる業者に相談しましょう。省エネ化だけではなく、住まい全体のお手入れプランもふまえて、短期・長期の両方から考えて無駄のない工事を計画的に行うことが大切です。

2.内装・外装のリフォームと一緒に断熱化

講座No.019‐1で記したように、住まいの高断熱化は、部分的にするものではありませんが、実際には、一度に全体を行うことは予算の上でも難しいことです。そこで、さまざまなリフォーム工事と一緒に断熱化をはかりましょう。ここで大切になるのが、上記の住まい全体の省エネ化とお手入れの短期・長期計画です。無計画に行うことは、無駄な工事につながり、余分な費用が掛かることになりかねません。住まい全体のリフォーム計画を立てた上で、それぞれの部位のリフォーム工事と一緒に断熱化を図っていきましょう。

では、断熱化に有効なリフォームには、具体的にどんな工事があるか説明しましょう。

◆既存窓ガラスを交換

既存窓ガラスを単板ガラスからエコガラス(複層ガラスや真空ガラス)に交換する方法です。ガラスからの熱損失は改善できますが、サッシ本体の気密性能は改善できません。サッシの種類によっては、工事は1日で完了可能ですが、交換ができないサッシもあります。

◆既存窓サッシに内窓を設置

既存窓サッシの窓枠に、樹脂製内窓を取り付ける方法です。ガラスも単板ガラスではなく複層ガラス以上の性能のものがおすすめです。サッシ本体の気密性も改善できて効果抜群です。結露対策としてもおすすめで、費用対効果も大きく、工事も1日で完了可能です。

◆既存窓サッシを交換

自分でできる断熱対策既存窓サッシ本体を交換する方法です。既存窓サッシを取り外して、断熱サッシに交換することで室内環境が改善できます。外壁や室内の補修工事が発生しますので、内装・外装リフォームと一緒に行えば無駄がないでしょう。工事は1日では完了できません。ただし、カバー工法であれば工期は短縮できます。図1は断熱サッシの例です。室内側に熱伝導率の低い樹脂形材、室外側に耐候性・耐久性に優れたアルミ形材が使われています。異なる2つの素材の特長を活かし一体化させた複合構造により、高い断熱性を発揮します。同じメーカーの一般的複層ガラス(ペアガラス)の熱伝導率が3.49W/(m・K)、K値3.0なのに対して、空気層12mmの低放射複層ガラスを使用したこのサッシは、熱伝導率 2.33W/(m・K)、K値2.0と非常に断熱性能が高いことがわかります。また、室内側が樹脂形材ですので、色調がインテリアにも合わせやすく、トータルコーディネートが楽しめます。さらに、 アルミ形材と樹脂形材が分離できるため、万が一の場合でも簡単に補修交換が行なえます。

◆壁や天井、床に断熱材を充填する

自分でできる断熱対策屋根裏や壁、床下に断熱材を充填する方法です。グラスウールやロックウール、発泡ウレタンなどの断熱材を使用します。外断熱や内断熱など施工方法も様々です。大掛かりなリフォームの際に一緒にするのがおすすめです。断熱材充填のみの工事は、費用対効果としては小さくなります。一緒にすると効率のよいリフォームは右の表を参考にしてください。
断熱材を充填する工事は、きちんとした施工と断熱材の性能が重要なポイントです。 特に、断熱材の性能は効果を大きく左右しますので、注意が必要です。価格の安さだけに拘っては、満足な断熱効果は得られなくなってしまいます。まして、断熱材は工事が終われば見えなくなってしまいます。見えないところだからこそ、信頼のおける業者よる施工と価格だけに惑わされない正しい材料選びが大切なのです。断熱工事は、地球に優しい快適な住まいにするためのリフォームですから、材料も環境や健康に考慮して選びたいものです。
参考に、主な断熱材について素材を3つに分類して説明しましょう。

o自然系断熱材

自分でできる断熱対策①セルロースファイバー(熱伝導率0.040W/m.k)(図2)
新聞古紙を主原料にしたリサイクル製品です。綿状にしたファイバーを吹き込んだり、吹き付けたりして施工します。吸放湿性がよいので気密シートがなくても結露の心配がいりません。吸音性にも優れ、防虫効果もあります。ドイツのエコテスト社の製品評価で推奨品に挙げられています。高価格が多い自然系断熱材の中ではローコストな製品です。新聞紙に印刷されているインクの揮発性有機化合物が気になる場合は、価格が多少高くなりますが、インクが使用されていないものもあります。次世代のエコ断熱材として期待されています。

自分でできる断熱対策②軽量軟質木質繊維ボード(熱伝導率0.040~0.045 W/m.k)(図3)
廃材などをリサイクルした木質繊維製品です。断熱性能は高性能グラスウールより若干劣るものの、吸放湿性に優れています。価格はグラスウールの約3倍ほどです。残念ながら、輸入品は国内在庫が少なくて多少入手しにくく、国内生産品もまだ商流が安定していないのが難点です。


自分でできる断熱対策③炭化コルク(熱伝導率0.041~0.045 W/m.k)(図4)
コルク材の中でもヤニの多いコルク皮を粉砕したものを集め、300℃~400℃で蒸し焼きにしてブロックを作り、一定の厚さ・大きさに切断して作られます。コルク特有の微細な発泡構造を残したまま炭化するので、断熱・吸音・防振性に優れています。腐りにくく、保湿・吸放湿性にすぐれているため、防湿シートがなくても結露を防ぐことができます。同じ厚さの高性能グラスウールの約12倍とかなり高価です。コルク自身のヤニで固めているので、有害物質を含んでいません。逆に、有害物質を吸収し、ダニなどのムシも発生しにくく、アレルギー対策としても優れた断熱材です。


自分でできる断熱対策④ウール(熱伝導率0.032~0.040 W/m.k)(図5)
前回の「床の断熱対策」でも説明したように、調湿効果に優れ、壁内結露を防ぎカビ・ダニの発生を防いでくれます。ホルムアルデヒドの吸着効果もあります。さらに、自然素材ですので有害物質を発生せず、人、家、環境に優しいエコロジー建材です。今まで断熱材が入らなかったすき間にも入れることができるので高い断熱性を実現できます。リサイクルウールを使ったものや、ポリエステルを混入した安価なものもあります。

oプラスチック系断熱材

自分でできる断熱対策①ポリスチレンフォーム(熱伝導率0.034~0.043 W/m.k)(図6)
原料はポリスチレン樹脂と発泡剤です。ビーズ法と押出法の2種類による形状があります。押出法はビーズ法よりも断熱性、耐候性に優れ透湿抵抗が大きく、形状維持性が高いので、コンクリート打ち込み工法など外断熱によく使用されているうえに、コストパフォーマンスに優れているため、普及率が高い製品です。基礎の外断熱に使用する場合は、白アリ対策が必要です。

自分でできる断熱対策②硬質ウレタンフォーム(熱伝導率0.024~0.026 W/m.k)(図7)
プラスチック発泡体です。板形状が一般的ですが、現場発泡も可能です。見かけは小さな硬い泡の集合体で、独立した気泡1つ1つに熱を伝えにくいガスが封じ込められています。押出法ポリスチレンフォームより熱伝導率が低く、断熱内結露の心配がありません。ただ、燃焼時に猛毒のシアン系ガスが発生します。また、白アリの被害を受けやすいので、基礎に使用する場合は対策が必要です。


自分でできる断熱対策③フェノールフォーム(熱伝導率0.020~0.026 W/m.k)(図8)
主原料は、非常に安定した分子構造を持つフェノール樹脂です。フロン系ガスを一切使用しない温暖化係数の極めて低い「グリーンガス」で発泡硬化させてできた製品です。透湿係数は低いですが、断熱性能が高く、防火性に優れ、炎を当てても炭化するだけで燃え広がることや、煙や有毒ガスの発生がほとんどありません。

o鉱物系(無機繊維系)断熱材

自分でできる断熱対策①グラスウール(熱伝導率0.036~0.045 W/m.k)(図9)
回収された空き瓶や工場の廃棄ガラスなどのリサイクル製品で、ガラスを繊維状にしてマットやボード形状にしてあります。安価で、燃えにくく、白アリがつきにくいことが長所です。空気や水を通すため、最近は撥水加工を施したものなども発売されています。


自分でできる断熱対策②ロックウール(熱伝導率0.036~0.038 W/m.k)(図10)
玄武岩などを繊維状にしたものです。軽くて、耐久性や耐火性、吸音性があります。性能や価格はグラスウールとほぼ同等です。

さて、せっかくの断熱工事だから、エコポイントもしっかり確保したいと思われるのなら、前もって施工業者に相談すると良いでしょう。制度の概要は下記のとおりです。

◆発行対象となる工事期間と申請期限

今年度は、平成22年1月1日~平成22年12月31日に着手した工事で、申請期限は23年3月31日までです。

◆発行対象工事と発行ポイント

1戸あたりの発行ポイントの上限は、下記の①~③の工事に係わるポイント合計が300,000ポイントとなります。

①窓の断熱改修
改修後の窓が、省エネ法に基づく省エネ基準に規定する断熱性能に適合するよう行う工事。登録されている製品を使う必要があります。窓の大きさや改修の方法(内窓設置、外窓交換、ガラス交換)に応じて定める一箇所あたり(ガラス交換の場合は、交換するガラス1枚あたり)のポイント数に施工箇所数(ガラス交換の場合は枚数)を乗じて算出します。

②外壁、屋根・天井、床の断熱改修
外壁、屋根・天井、床の部位ごとに、一定量の断熱材(ノンフロンのものに限る)を用いる断熱改修工事。使用する断熱材は、熱伝導率などの断熱性能が確認され、登録されているものを使う必要があります。施工部位によって発行ポイントが定められています。

③バリアフリー改修
上記の①または②の改修工事と一体的に行う手すりの設置、段差解消、廊下幅などの拡張を行うバリアフリー工事。手すりの設置がそれぞれの部屋ごとに5,000ポイント、段差の解消が解消場所ごとに5,000ポイント、廊下などの幅拡張は通路と出入口でそれぞれ25,000ポイント発行されます。だだし、この工事については上限が50,000ポイントに定められています。

◆ポイント申請方法

メーカーが発行する性能証明書(窓の場合)や卸業者等が発行する納品書(断熱材の場合)、工事施工者が発行する工事証明書、領収書の写し(または契約書の写し)、工事後の現場写真、申請者の本人確認書類(免許証など)、代理申請の場合は、代理人の本人確認書類が必要です。これらの書類を申請書に添えて申請窓口に提出します。

◆ポイント交換

発行されたエコポイントは、商品や商品券への交換、環境寄付のほかにも、エコリフォームへの即時交換として、追加で実施する工事の費用に充当することもできます。

みんながそれぞれの住まいとライフスタイルを見直せば、地球の危機も資源の枯渇もまだ間に合うはずです。今こそ断熱リフォームで地球への恩返し。リフォームの際にはぜひ考えてみましょう。

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