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通信講座No.022 「浴槽が古びて、汚くなっていませんか?」

講座No.022-2 「浴室リフォームの基礎知識」

前講座では、浴槽の素材ごとのお手入れ方法を説明しました。しかし、どんな素材の浴槽であっても15年くらいを経過するとシミ、汚れがだんだん取れにくく変色も目立ってきます。さらに、この頃になると単なる汚れの問題ではなく、水漏れや結露などが原因で壁の内部や土台が腐朽していることもあります。浴室のリフォームというとつい設備に気をとられがちですが、見た目には分からない土台や床下の傷み具合こそ留意すべきポイントといっても過言ではありません。
下の図1~4は、15年以上経った浴室の様子です。図1のように、年数を経ただけの古びた感じはありますが、特に傷んでいる様子は一見ありません。傷みが比較的早く現れる図2の浴室の出入口付近も脱衣室側から見た分には大きな傷みありません。しかし、浴室側は図1や図2の状態からは想像しなかったほどに傷んでいます。(図3、図4)

浴室リフォームの基礎知識

このような状態は決して特別なことではありません。程度の差はありますが、常に湿気があり、温度差が発生しやすい場所ですので、素材によっては傷み具合が家のほかの場所よりも進行しやすい環境にあります。見た目が古くなった浴槽などの設備だけを取り替えることもリフォームのひとつの方法ですが、年数を経た浴室にはどんな問題があるのか、また、リフォーム方法・工法があり、それはどんな工程なのかなど基礎的なポイントを知っておくことは大切です。 そこで、今回は工法や工程など浴室リフォームの基礎知識について説明しましょう。

◆浴室の構造

浴室の構造は、一般的には下記のいずれかの工法で造られています。

□在来工法

浴室の在来工法は、現在のようにユニットバスやシステムバスがなかった頃、浴室のほとんどを占めていた昔からある浴室の造り方です。浴室となる周囲に防水加工を施し、その上にコンクリートなどで壁や床を造っていく工法です。この工法は、年月とともに防水機能が衰えて水漏れを起こすことが多く見られます。

①在来工法の利点
在来工法は言ってみればオーダーメイドですので、浴室に充てるスペースがそのままであれば、隣接した部屋にほとんど影響を与えることなくリフォーム工事を進めることができます。浴槽や水栓などの設備から、壁や床材もタイルやヒノキ材などを、さまざまな素材を選ぶことができますので、こだわりのお風呂づくりには最適です。浴槽についても、据え置き型から置き型まで自在に選べ、浴槽位置の低い「落とし込み」式の浴室へリフォームしたい場合でも工事がスムーズです。浴室の広さも自由で、部分的なリフォームも可能です。

②在来工法の注意点
年月を経た際の防水性が、システムバスに比べて劣ります。2階、3階など階上に設ける浴室をこの在来工法で行うにはしっかりとした計画と工事が必要です。特に浴室の階下が寝室など普通の居室であった場合、水漏れが起きた際の被害が大きくなるため厳重な防水対策と適切なメンテナンスが必要になります。また、防水加工を含む下地工事と内装工事が必要な分、システムバスに比べて工期が長く、予算も高くなりがちです。

□システム(ユニット)バス

集合住宅の建物の浴室用に誕生したユニットバスが、デザインや広さなどのバリエーションを広げ、一戸建てにも使われるようになったのがシステムバスです。一言で表現すると大きなカプセルで、工場生産でつくられる「浴室ユニット」のカプセルを住まいの中にすっぽり収める工法と言えます。浴槽や内装にはアクリル系、ホーロー、ステンレス、人造大理石などが用いられています。

①システムバスの利点
素材自体の防水性が高いうえ、一番防水性を要求される床と壁の角が一体成型されていますから、年月を経ても水漏れの心配はほとんどありません。もともと集合住宅向けに開発・採用されてきた浴室の工法ですから、階上階の浴室リフォームで使用しても問題ありません。リフォーム工事自体も在来工法に比べて簡単で、工期や予算面でも在来工法に比べて負担を抑えることができます。また、浴室内全体がほぼ一体化されていますから、浴室内を丸ごと水洗いできるなど日々のお掃除も簡単です。最近では、断熱性や機能性などに優れた高機能商品が多く、デザインやサイズ、カラーのバリエーションも広がってきていることも魅力になっています。ショールームで実物を確かめられるという規格品ならではのメリットもあります。

②システムバスの注意点
工場で規格に沿って製造されたパーツを組み合わせて一体化させるため、浴室に充てられる空間が変形していたり狭かったりすると、選べるタイプが制限されてしまいます。また、システムバスへのリフォームを考えるなら、カタログだけでなくショールームで実物を見て、色や肌ざわりなども確認して選択しましょう。後年の部分的なリフォームは、難しい場合が多いので気をつけましょう。

□ハーフユニットバス

浴槽や内装にはアクリル系、ホーロー、ステンレス、人造大理石などが用いられています。ユニットバスやシステムバスは、床から天井までがひとつのユニット製品となりますが、ハーフユニットバスは最も防水性が必要となる浴槽と洗い場、周囲の壁の下部のみがひとつのユニット製品になっているものを指します。したがって、残った壁の上部と天井部分は、ユニット製品外となりますので、これらの部分はオーダーメイドで作る事が可能です。システムバスの施工性と在来工法のオリジナリティを併せ持ち、 個性的なバスルームを演出します。言わば在来工法とシステムバス(ユニットバス)の折衷タイプです。

①ハーフユニットバスの利点
在来工法と比べて浴槽や床の防水性が優れていると同時に、ユニットバスやシステムバスと比べて壁や天井の設計を自由にすることができます。例えば、壁にタイルやヒノキ材を貼ったり、状況次第では天井の高い浴室空間や天窓を設けたりすることも可能ですし、逆に空間的な都合で、通常より天井が低い空間であってもハーフユニットなら問題なく設置する事ができます。また、ドアも後付けとなりますので、ドアの位置に縛られない自由な浴槽の配置が可能になるのも利点のひとつです。

浴室リフォームの基礎知識

②ハーフユニットバスの注意点
ユニットバスやシステムバスと比べ、メーカーや商品のバリエーションが少なく選択肢が限られてしまうことです。また、ユニットバスやシステムバスでは浴室の下部に水の受け皿となる防水パンを設置するのが一般的ですが、ハーフユニットの場合はコーキングという防水処理をする事が多いため、ユニットバスやシステムバスに比べるとその防水性は劣ってしまうと言わざるを得ません。在来工法に比べれば、たいていの場合は工事費・工期ともに負担は少なくなりますが、天井・壁の造り方によっては、却って工期・予算がかさむ場合も出てきます。浴室空間の上部と下部で違った考え方をしながらイメージを合体させていかなければなりませんので、浴室の全体像をしっかり描いてリフォームに臨みましょう。

以上のように、浴室には主に3つのタイプがあります。基本的に一戸建ての場合は、既存の構造がどのタイプであっても好みの工法でリフォームすることが可能です。但し、マンションの場合は、既存の浴室構造を鑑みて決める必要があります。マンションの場合、万が一水漏れが発生した場合、階下住人に被害を与えることになり、問題が複雑になりがちです。そのため、リフォームでは防水性の高いフルシステムバスにするのが一般的です。また、現在の浴室が在来工法の場合、システムバスにリフォームするとメーカーによっては若干狭くなる場合もありますので、よく確認しましょう。

では、次に在来工法とシステムバスの一般的な施工手順について説明します。

◆浴室リフォームの施工手順

□在来工法またはシステムバスから在来工法へリフォームをする場合

1日目:既存浴室の解体撤去、撤去材処分
2日目:土間コンクリート
3日目:コンクリート養生期間(作業予定なし)
4-5日目:設備配管・電気設備・熱源機取付・リモコン通線・防水工事
6日目:ラス下地・バスリブ・入口サッシ・枠取付
7-8日目:防水紙貼り・ラス網貼り・左官下こすり
9-13日目:浴槽据付:循環器金具取付・タイル貼り・コーキング
14日目:設備器具取付
15日目:入口枠等塗装作業⇒完成

□在来工法からシステムバスへリフォームをする場合

1日目:既存浴室の解体撤去、撤去材処分
2日目:土間コンクリート
3日目:コンクリート養生期間(作業予定なし)
4日目:システムバス組立て・既存窓接続・設備配管・電気設備・熱源機取付・リモコン通線
5日目:オプション取付・入口枠まわり補修
6日目:設備器具取付⇒完成

□システムバスからシステムバスへリフォームをする場合

1日目:既存浴室の解体撤去、土間コンクリート・撤去材処分
2日目:コンクリート養生期間(作業予定なし)
3日目:システムバス組立て・既存窓接続・設備配管・電気設備・熱源機取付・リモコン通線
4日目:オプション取付・入口枠まわり補修
5日目:設備器具取付⇒完成

上記は標準的な施工手順及び工程を示しています。解体後に床下や壁の内部、土台などの著しい腐朽やシロアリの被害が発見された場合などは、その処置のためにやむを得ず手順や工程が変更になります。浴室リフォームでは、このような事態が発生することが案外多いものです。多少の手順や工程、工事期間に変更が生じても大丈夫なように、あらかじめスケジュールに余裕をもってリフォームに臨むようにしましょう。なお、壁の内部や床下などは、リフォームが終われば長い間見ることが出来ないところです。せっかくの機会ですので、浴室解体後の状態は自分で見て確かめておくことをお薦めします。大切な我が家がどんな状態なのか正しく認識することは、その後のメンテナンスにも役立ちます。そして、不安なことや分からないことは、その場でリフォーム業者に確認するようにしましょう。

工法や工程の基礎知識以外にも、浴室リフォームを成功させるために知っておくとよい4つのポイントがあります。

1.リフォームの目的・優先順位・時期をはっきりさせる
「浴槽が古くなった」、「掃除が大変」、「ゆったりお風呂につかりたい」など、浴室リフォームの動機はさまざまです。そして、家族一人ひとりの浴室リフォームに寄せる願望もいろいろあります。そこで、まずは家族で話し合って意見をまとめ、目的・希望の優先順位をはっきりしましょう。浴室全体のリフォームとなると、お風呂の使えない日が数日から2、3週間続きますので、家族全員のスケジュール調整も必要です。

2.見積もり内容はしっかり確認する
一口に浴室リフォームと言っても、器具の交換から全体リフォームまでさまざまな規模があります。例えば、水栓金具を取り替える場合、金具だけなのか、配管も取り替えるのかで金額は変わります。また、見積書には専門用語も含まれていますので、各見積項目について十分説明を受け、分からないところは遠慮なく質問しましょう。安ければよいと表紙の総額だけしか見ずに決めるのは危険です。

3.古くなったのは器具だけではない
浴室リフォームの動機の多くは、「浴槽が古くなった」、「風呂釜が壊れた」、「壁のタイルにヒビがある」など経年による劣化です。先にも説明したように、見えない部分でも劣化は進行していて、漏水や結露による壁下地や内部の腐朽や、シロアリによる土台侵食、水道管の腐食など、工事前には気が付かず解体工事が進むにつれて発見されることもよくあります。特に20年以上経つ浴室の場合、部分補修や器具などの取替えだけでなく、総合的なリフォームの検討をお薦めします。家も人間の身体と一緒です。見た目だけではなく、内側から健康な状態でなければ意味がありません。

4.家族みんなが楽しめる空間にする
浴室リフォームのポイントというと「バリアフリー」、「ユニバーサルデザイン」、「ヒートショック」などの高齢化社会を示すキーワードが多く、機能優先の傾向が強くみられます。確かに浴室の事故対策や安全性の確保は重要ですが、心身ともにリラックス&リフレッシュできる快適な入浴タイムを演出する工夫も大切です。明るい色の浴槽やビビッドカラーの手すり、おしゃれな模様のタイルや照明などデザインに遊び心の要素も考えてみましょう。

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