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通信講座No.027 「床下の湿気が気になりませんか?」

講座No.027-3 「床下の湿気対策」

長期優良住宅と呼ばれる住宅は、耐久性、断熱性、耐震性、防犯性などさまざまな点において、高い性能評価が求められています。耐久期間100年を目安としており、これには日本住宅性能表示基準の等級3以上の劣化対策が講じられていなければなりません。劣化対策に規定されているポイントは、防蟻・防腐対策と防湿・換気対策です。つまり、床下の湿気対策は、住まいの耐久性を左右するということです。もちろん、良い住まいの条件は耐久性だけではありませんが、どんなに優れた住まいでも一世代しか耐えられないようでは、環境保全や省エネが重視される今、時流に反していると言えるでしょう。

そこで、床下の湿気対策にはどのようなリフォームが有効か確認しましょう。

まずは、長期優良住宅のように耐久期間が100年となる家の床下の防湿・換気対策がどのようなものか説明しまししょう。
換気対策として外壁の床下部分(基礎の立ち上がり部分)には、壁の長さ4m以下ごとに有効面積300cm2以上の換気孔を設けるか、壁の全周にわたって壁の長さ1m当たり有効面積75cm2以上の換気孔(一般的に基礎パッキン工法と呼ばれている。図1を参照)を設ける必要があります。
床下の湿気対策ちなみに、建築基準法もしくは住宅性能表示基準等級1では、壁の長さ5m以下ごとに面積300cm2以上の換気孔を設ければよいことになっています。つまり、耐久性を高くするために、より良い換気環境が求められているわけです。また、防湿対策として、床下には厚さ6cm以上のコンクリートを打設するか、厚さ0.1mm以上の防湿フィルムやその他同等の材料で覆う必要があります。さらに、床下の空間を十分に確保することが求められています。建築基準法では、基礎の高さではなく、床の高さを直下の地面からその床上面までが45cm以上と規定しているのに対し、長期優良住宅では地面から基礎の上端までの高さが40cm以上で且つ床下空間の有効高さを33cm以上にし、床下点検口も設置する必要があります。このように床下空間を十分に確保することは、換気・通気環境を良くするだけではなく、床下と床上の温度差で生じる結露の抑制と、住まいの状態を良好に保つために欠かせない定期的な点検やメンテナンスも考慮した基準といえます。
このような対策をリフォームでも、できるだけ講じるようにすることが大切です。基礎の高さを上げて床下の空間を広げることは、容易な工事ではありませんが、換気や通気環境を良くすることや除湿・防湿対策を講じることは、難しい工事ではありません。

◆換気・通気対策

換気を良くするために最も一般的な方法は、床下換気扇の設置です。日本建築学会の研究報告集(1991年)によると、床下相対湿度は、通常夏高く、冬低くなりますが、常水面(講座No.027-1参照)が地表に近い地盤の上に建物がある場合は、高湿で一年中ほぼ一定な環境にあるそうです。この状態を改善するのに換気扇が効果的なことが、報告集にも書かれています。特に夏期の換気量は、標準の10倍程度が望ましいと報告されています。ただし、効果的な換気及び通気には、ただ闇雲に数多く設置すればよいというわけではありませんし、一年中同じように換気してればよいというわけでもありません。日本建築学会計画系論文集第528号(2000年)に掲載されている「地盤防湿処理のある住宅床下空間の温湿度性状に関する研究」によれば、「床下断熱性能や地盤常水位が床下空間に及ぼす熱的影響は大きくなく、外気変動が主要因である」ことが結論づけられており、それに基づいて財団法人日本建築学会は建設省住宅局に「換気孔などを通して床下に流入する外気中の水蒸気が、地盤の大きな熱容量の故に梅雨から夏にかけて床下で結露すること、これが床下の高湿度の一要因となっている」と意見書を提出しています。つまり、単に換気するのではなく、季節や気候、温度と湿度の関係(相対湿度)を把握し、床下の空気の流れを設計して、正しく換気設備を設置する必要があります。例えば、夏期と冬期では、相対湿度の状態が変化しますので、排気型と吸気型を取り付けて通気状況を管理できるようにしたり、床下の温湿度(水蒸気圧)を感知し、換気状況をコントロールするセンサー制御機能があるものやタイマー機能があるものなどを使用したりと、床下の状況に合わせた換気設計が重要です。また、既存の換気孔の位置や基礎の形状、建物周辺の通気状況なども考慮しなければいけません。それでも、既存の基礎の形状や換気孔の位置によっては、十分に通気できない場所が生じる場合もあります。そのような場所が、水周りなど湿気を帯びやすい環境である場合は、攪拌送風機などを併設して通気しやすいようにする方法もあります。
取り付ける台数は、建物や敷地状況、取り付ける機種などにより一概には言えませんが、一階の床面積が30坪くらいまでの住宅であれば、2~4台くらいが一般的なようです。工事費用も機種や床下環境によって差がありますが、一般的な戸建であれば換気扇及び取付費用を合わせて、10数万円から高くても30万円くらいまでが多いようです。工事費や設備代など見積に納得がいかない場合は、複数の業者に見積りを依頼したり、消費者センターに相談したりすると良いでしょう。ただし、一般的なリフォーム工事と異なり、床下という作業性の悪い場所の工事ですので、室内での換気扇取り付け工事とは違う料金体系であることは理解しておきましょう。

◆除湿・防湿対策

20年以上前の戸建て住宅の場合、ほとんどの床下が土のままです。砂などで土壌改良されて比較的乾燥している家もありますが、地盤そのものが水分の多い性質だと床下に入るとカビ臭かったり、土台や根太にカビが生えていたりという家も多く見られます。防湿コンクリートを打設できれば一番効果的ですが、かなりの費用を必要としますので、よほど土壌状態が悪くない限りは一般的ではありません。
床下の湿気対策通常は、図2のような防湿シートを敷き詰めて湿気を防ぎます。日本建築学会の研究報告集に、地盤が常水面の影響をうけている状態での防湿シートの使用は、効果的であると報告されています。しかし、あくまでも影響を受けていない場合と同じ状態にできるだけで、夏期の高湿度の改善策としては十分ではないため、防湿シートを敷き詰めた上で適切な換気設備を設置するとよいでしょう。
調湿剤を設置する方法も有効です。ただし、地盤そのものの湿気が高い場合は、防湿シートなどで湿気を遮断せずに調湿剤を敷設することは止めましょう。適切な効果が得られないどころか、調湿剤の表面や風袋に付いたほこりや汚れにカビが生じることさえあります。
調湿剤は、食品の湿気防止に使用されているシリカゲルなどの乾燥剤とは異なり、周囲の湿度が相対的に高い時には吸収し、反対に周りが乾燥してくると湿気を排出するというもので、吸放湿を繰り返します。調湿剤は、さまざまな材質を原料とした多種多様な商品が発売されています。その中でも、ゼオライト、セピオライト、コレマナイト、シラス(マグマセラミック)などの石系や、木炭、竹炭などの炭系といった自然素材を原料としたものの人気が高いようです。これらの調湿剤は多孔質で、調湿以外にも消臭効果やホルムアルデヒドなどの化学物質を吸着する機能をもっています。それぞれの機能の効力や持続性は、原料や商品によって差があります。また、価格も商品によって差があります。業者に幾つかの商品を提案してもらい、それぞれの機能や性能、価格、施工性を比較した上で、床下の状態と予算に合わせて選ぶとよいでしょう。地面に直接敷き詰めるタイプと据え置タイプがありますが、メンテナンスや今後のリフォームなどを考えると据え置タイプがお勧めです。図2の防湿シートの上に置かれている不織布の袋状のものは、シラスを原料にした据え置タイプの調湿剤の例です。マグマの一部であるシラスが持つ多孔質の特徴をそのまま活かし、調湿効果や消臭効果に優れ、ホルムアルデヒドを吸着して再放出しない調湿剤です。

◆太陽エネルギーによる空調システム

太陽エネルギーには、光エネルギーと熱エネルギーがあります。光エネルギーは、太陽光発電システムで電気として使用する人が増えてきています。助成制度や買取制度によるお得感もあり、ここ数年でだいぶ一般的なリフォームになってきました。しかし、太陽エネルギーには、光のほかに熱エネルギーもあるのです。これを利用しない手はありません。それが、図3や図4に示す給湯もできる空調システムです。太陽熱で暖められた屋根下の空気を、小屋裏に取り付けたハンドリングボックスがコントロールし、季節に合わせて家中に循環させるシステムです。
床下の湿気対策 床下の湿気対策冬は太陽の熱によって温められた空気が小屋裏のハンドリングボックスに集められ、小型ファンの力を借りて床下に送られます。空気は床下に広がり、コンクリートに熱を蓄えさせながら少し冷めた暖気が室内へと流れ出ます。夕方、外気温が下がり始める頃から、昼間蓄えられた熱が放熱を初め、床を暖めます。夏の日中は熱を給湯に使い、夜間は北側の外気を取り込み、蓄冷と地冷熱によって冷やされたコンクリートに触れさせることで熱が奪われた空気を室内へ送り込みます。 このシステムを導入するには、小屋裏にハンドリングボックスを設置し、集めた空気を循環させるダクトの設置が必要です。蓄熱材として用いるよう床下には土間コンクリートを打設する必要もあります。大きなリフォーム工事になりますが、お金に換算できない良さがたくさんあります。常に外から新鮮な空気を取り入れ、家中に循環させますので床下も室内も湿気の心配から開放されます。そして、空気と熱のバリアフリーをもたらし、アトピーや喘息、高齢者の方々にもやさしい、健康的で快適な室内環境をつくります。自然エネルギーによるシステムですので、世界の重要課題でもある省エネとCO2排出量削減にも役立ちます。

以上が、湿気対策にお勧めのリフォームです。湿気はカビや細菌の発生原因となるだけではなく、家のニオイにも悪影響を与えていることがあります(家のニオイについては、講座No.009‐1をご覧下さい)。したがって、床下の湿気対策は、住まいを劣化やシロアリから守るだけではなく、カビや細菌、そして嫌なニオイを防いで室内の空気環境を改善し、家族の健康を守ることにもつながるのです。
家にも人にも良い床下の湿気対策。現在の住まいの状態と問題点を正しく理解した上で、家族のライフスタイルや住まい方、メンテナンス計画などを考え合わせて、無理、無駄のない適切な床下リフォームで、快適な住環境を手に入れましょう。

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