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通信講座No.028 「塀や土留めのひび割れで心配はありませんか?」

講座No.028-1 「塀と土留めのチェックポイント」

多くの住宅が塀に囲まれ、土留めの上、或いは下に建っています。その中には、地盤の不同沈下や構造的な欠陥、施工上の問題などによりひび割れなどの不具合が発生しているものも多くあります。また、築年数が経っている場合では、老朽化による不具合が発生していることや現在の建築基準には適していない状態の塀や土留めのままになっている場合もよく見られます。もちろん、ひび等の不具合があるからと言って、全てが危険というわけではありません。しかし、見た目よりもずっと深刻で非常に危険な場合もあるのです。大きな地震や大雨、台風などによりその状況が悪化したり、倒壊したり、最悪の場合には倒壊により他者へ危害を与えることにもなりかねません。このくらいの不具合は大丈夫と勝手に判断せずに、まずは下記の方法で安全チェックを行いましょう。

◆塀の点検の重要性とチェックポイント

□点検の重要性

地震などによる倒壊での被害が問題になるのが、ブロック塀と石塀です。
例えば、1978年の宮城県沖地震では、死者28名の内16名がブロック塀や石塀の倒壊によって亡くなっています。
塀と土留めのチェックポイントコンクリートブロックは1つがおよそ幅39×高さ19×厚さ10cm、重さ約10kgです。これで塀をつくると、ブロック1個の重さが倍の約20kgにもなります。しかも、1個だけが崩れるのではありません。図1のように、何段何列ものブロックが連なって倒れたり、塀全体が根元から倒れたりすることもあります。図1のように道路に面している塀が倒壊した場合、通行人に大きな被害を与える恐れがあることは、容易に想像できると思います。
そして、塀等の工作物の管理責任は所有者にあります。ブロック塀や石塀の構造は、高さ、鉄筋の配置、必要な厚み、必要な控え壁、基礎の深さなどについて、建築基準法で定められています。また、どんなに法的基準に則って作られていても、年月の経過により雨水がしみこんで鉄筋が錆びるなどの劣化の進行は避けられません。そのため、定期的な点検とメンテナンスは、安全確保のためには必要不可欠なのです。定期的にブロック塀・石塀の点検を行い、必要に応じて撤去や転倒防止対策を行うようにしましょう。

□石塀のチェックポイント

石塀は、石と石を結んで補強することが難しいので十分な注意が必要です。状況によっては、信頼できる業者や建築士など専門家に点検を依頼するようにしましょう。

①高過ぎていませんか。1.2m以下が望ましいと各地行政では指導しています。
②控え壁はありますか。壁長が3.6m以内ごとに控え壁が必要です。
③基礎はありますか。また、根入れの深さは十分ですか。十分に確認するためには、基礎の部分を掘って調べる必要があります。
④基礎周辺の土は固く締まっていますか。施工方法が間違っていなくても、土壌が不適切では強度・全性は低くなります。
⑤内部の状態は、適切ですか。最上段の石を取ってみて、鉄筋やダボの有無及びその状態を調べる必要があります。

□ブロック塀のチェックリスト

以下のチェックポイントは、社団法人全国建築コンクリートブロック工業会資料によるものです。1つでもあてはまるものがあれば、各市町村の相談窓口や信頼のおける業者や建築士などの資格を持った人に相談しましょう。

①傾きやぐらつきがありますか。
塀が傾いたり、手で押すとぐらついたりするものは、少しの揺れで塀が倒れる危険性があります。手で押して調べるときには、周囲に注意しましょう。
②ひび割れがありますか。
ひび割れは、その部分から雨水が入り、中にある鉄筋を錆びさせ、長い間には鉄筋がなくなってしまいます。少しの揺れで塀が倒れる危険性があります。
③高すぎませんか。
ブロックの厚さが10cmの場合は、塀の高さは2.0m以下、15cmの場合で2.2m以下です。高い塀は強い地震の揺れで倒れ易くなります。
④控え壁の間隔が広すぎたり、控え壁がなかったりしませんか。
高さが1.2mを超える塀では控え壁が必要です。その間隔は3.4m以下で、間隔が広すぎたり、控え壁がなかったりする場合は、強い地震の揺れで倒れ易くなります。
⑤透かしブロックが連続して使用されていたり、多すぎたりしていませんか。(図2)
配筋用のエグレがない透かしブロックは、必要な鉄筋が入りません。そのため、強い地震の揺れで倒れ易くなります。
⑥築後30年以上経っていたり、ブロックがボロボロだったりしませんか。
長い間にブロックが劣化し、雨水が入り鉄筋を錆びさせて、塀の耐久・耐震性に問題が出てきます。
⑦石垣などの上に建っていませんか。
石垣の上の塀は、地震などの揺れに抵抗する鉄筋が、塀下の石垣に固定されていません。そのため、図3のように少しの揺れで塀が倒れる危険性があります。
⑧土留めに使っていませんか。
コンクリートブロックでの土留めは、後ろの土の重量を支えるだけのブロックの厚さや必要な鉄筋の本数が不足し、図4のように地震で崩れる危険が大きくなります。

塀と土留めのチェックポイント

塀と土留めのチェックポイント

□ブロック塀の診断カルテ

社団法人全国建築コンクリートブロック工業会では、私たちが手軽に診断できるように下記の「ブロック塀の診断カルテ」を発行しています。自分でする定期診断の目安として使うとよいでしょう。ただし、正確を期するためには、信頼のおける業者や専門家による診断を実施しましょう。

PDF資料「ブロック塀の診断カルテ」を見る

◆土留め・擁壁の点検の重要性とチェックポイント

□点検の重要性

多くの人が、道路より少しでも高いところに家を建てたいと思うものです。そして、家を建てるためには、安定した地盤を確保する必要があります。そのために、隣地との境界を明確にする意味合いも含めて盛土や切土が行われ、その時には必ず土留め工事が必要となります。また、個人が所有する崖地も、所有者には崖崩れなどの災害が生じないよう土留めや擁壁などで保護し、安全な状態を維持する責務があります。
そこで、宅地造成に伴う崖崩れ又は土砂の流出による災害の防止のため、宅地造成に関する工事を規制する法律「宅地造成等規制法」があります。この規制法により、宅地造成に伴い災害が生ずるおそれが大きい市街地又は市街地となろうとする土地の区域は、宅地造成規制区域として定められています。
土砂災害は台風や局地的大雨などにより毎年全国で起きています。土留めや擁壁、崖や傾斜地がない宅地を探すのが難しい日本の住宅事情では、土砂災害は決して他人事ではなくほとんどの人が被害者にも加害者にもなる可能性があるといえるでしょう。各都道府県や市町村でも、崖地や急傾斜地に対する防災についての相談窓口や工事の助成金制度を設けています。

□土留め・擁壁・崖のチェックポイント(横浜市宅地企画課資料より)

①崖地の斜面に倒れそうな立木や枝が繁茂した立木はありませんか。
②崖の周囲に溜水はありませんか。
③浮石や崩れそうな土砂のある斜面はありませんか。
④崖下に排水設備が整備されていますか。また、清掃をマメにしていますか。
⑤擁壁や土留めにある水抜き穴が詰まっていませんか。浸透水、湧水等の排水が容易にできていますか。
⑥雨水や生活排水を崖の上に流していませんか。
⑦擁壁に亀裂が入っている所はありませんか。
⑧地盤沈下は起っていませんか。
⑨コンクリートブロックや板柵など、危険な土留めがされていませんか。

□不適格擁壁について

現行法が施行される以前に造られた擁壁には、不適格擁壁が多く見られます。 もちろん、不適格擁壁の全てが、すぐに崩れる可能性があるということではありません。しかし、建築基準に不適格である以上、擁壁の安全性が低いことは間違いありません。残念ながら、素人が見ても不適格かどうか簡単にはわかりません。そこで、上記のチェックポイントに当てはまることがある場合は、これくらい大丈夫と勝手に判断せずに、信頼できる業者や専門家、行政の担当窓口に相談するようにしましょう。図5~図8はよく見られる不適格擁壁の例です。

塀と土留めのチェックポイント

塀と土留めのチェックポイント

塀や土留め・擁壁の安全性の確保は、自分の安全のためだけでなく他人へ被害を与えないためにも重要です。地震や大雨による災害は天災ですが、違法もしくは基準に適合しない、もしくは正しく維持・管理していない塀や擁壁により誰かを傷つけることになってしまえば、人災と言わざるを得なくなります。何時起きるか分からない自然災害だからこそ、日頃の点検と維持管理を怠らないようにしましょう。

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