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通信講座No.029 「部屋の湿気が多いと思いませんか?」

講座No.029-1 「湿度と体感温度の関係」

湿気の多い家は、決して快適とはいえません。また、湿気が多いと家の耐久性に問題が生じやすくなります。さらに、カビや細菌の発生、家のニオイにも悪影響を与えることがあり、住む人の健康にもよくありません。湿気の原因は、敷地の土壌、設計、生活習慣とさまざまですが、湿気を上手にコントロールすることは、快適で健康的な住まいづくりの重要なポイントになります。
まずは、湿度と体感温度の関係を正しく理解し、快適な室内環境づくりに役立てましょう。

◆体感温度

測定された気温と人が肌で感じる温度感覚には差異があります。そこで、人間の肌が感じる温度感覚を、数値に表したものが体感温度です。この感覚には環境条件(気温、湿度、気流・風速、熱放射・輻射熱)と人的条件(活動レベル(代謝量)と着衣量)が作用すると考えられています。つまり、同じ気温でも、これらの各種要素がいくつにも重なり合うことで、温度の感じ方が変わってくるのです。体感温度の指標には、いくつかの計算方法がありますが、建築や空調設計、安全衛生などでよく取り上げられるのは下記の指標です。

□有効温度

室内温熱要素のうち、温度、湿度、気流の三要素を総合した体感指標のことをいい、C.P.Yaglouを中心として作られたものです。Yaglouは、同一構造を持つ2室を設け、A室は湿度100%・気流0とし、B室は条件を変えられるようにして実験を行いました。B室の中に被験者を入れ、A室での感覚と同じ感覚をB室で感じたとき、二つの部屋の感覚温度が等しいとし、その時の温度、湿度、気流の組合せを図表にしました。「感覚温度」、「実感温度」、「実効温度」とも呼ばれます。

□PMV及びPPD

デンマーク工科大学のファンガーが、人体の熱負荷と人間の温冷感を結びつけた温熱環境評価指数として、PMV(Predicted Mean Vote=予測温冷感申告=快適温熱指標)及びPPD(Predicted Percentage of Dissatisfied=予測不快者率=その温熱環境に不満足・不快さを感じる人の割合) を提案しています。これらは、ISO7730(1994)にもなっています。
PMVは、人体の熱的快適感に影響する要素を、室温、平均放射温度、相対湿度、平均風速(気流)の4つの物理的要素と、着衣量と作業量の2つの人体的要素を、ファンガーが考案した快適方程式に代入し、人間がその時暖かいと感じるか、寒いと感じるかを7段階評価尺度による数値で表しています。図1の表は、PMVの適用範囲と7段階評価尺度を表したものです。

湿度と体感温度の関係

PPDは、ある人間が暑いまたは寒い状態の時に何%の人がその環境に不満足かどうかを表すのに用いられます。この指標は、オフィスなど比較的快適温度範囲に近い温熱環境を評価するのに適しているとされ、 PMVが-2から+2の範囲内の温熱環境評価に用いるのがよいと言われています。ISOの標準では、PMVが±0.5以内、不快者率10%以下となるような温熱環境を推奨しています。ビルなどの中央制御による空調や、次世代省エネルギー住宅では、これらの指標による快適性が要求されています。

上記以外にも、体感温度はさまざまな理論に基づいた指標がありますが、どの指標にもそれぞれ限界があります。いずれの指標も条件や範囲が限られており、すべての領域にわたって使用可能な指標は未だにありません。快適さという感覚を数値化することは難しく、国籍、健康状態、性別、年齢、慣れなども、時には考慮すべき要素に成り得ます。したがって、条件に合った適切な指標を正しく使うことが重要です。

次に、温熱環境に影響を及ぼすさまざまな要素の中で、影響力が大きい湿度について確認しましょう。

◆相対湿度

湿度は、大気中に含まれる水蒸気の量や割合のことで、絶対湿度、相対湿度など異なる定義の数種類があります。私たちが一般的に湿度というのは、相対湿度を意味します。
相対湿度とは、ある気温で大気中に含まれる水蒸気の量を、その温度の飽和水蒸気量で割ったもので、単位を%で表わします。したがって、相対湿度100%で大気中の水蒸気量が飽和となり、結露が生じることになり、そのときの温度を露点温度といいます。相対湿度の式の分母となる飽和水蒸気量は、気温が高くなるほど多いため、同じ湿度でも気温が高いほど空気中の水蒸気量は多いことになります。ちなみに、日本工業規格では「常温」を20℃±15℃(5-35℃)の範囲として規定(JIS Z 8703)しており、同様に湿度に対しては相対湿度45~85%の範囲を常湿としています。
人が快適と感じるには、温度と湿度のバランスが重要です。心地よい組み合わせは、夏は「高温・低湿」、冬は「低温・多湿」とされています。冷房時に設定温度を高めにしても、湿度を低くすれば、設定温度が低めのときと同じ快適さが得られます。逆に、暖房時は設定温度を低めにしても、湿度を高くすれば、同様の快適さが得られます。湿度は、体感温度を変化させ、環境の快適性にも影響するのです。湿度と温度の関係による不快度を表すものには、不快指数やWBGT(暑さ指数)があります。

□不快指数

夏の蒸し暑さを数量的に表したものです。気温と湿度だけで算出するので、必ずしも体感とは一致しません。指数70〜74で不快感を抱く人が出始め、75〜79で半数以上が、80〜85で全員が不快と感じ、86を超えると我慢ができなくなるとされています。1957年、米国で蒸し暑さを示す温湿度指数を冷房設計に用いたのが最初で、日本では1961年から使われ始めたといわれています。不快指数の求め方には何通りかあり、乾球温度(乾湿温度計(乾湿計)において乾球側の示す温度、いわゆる空気の温度)をTd(℃)、相対湿度をH(%)として
0.81Td+0.01H(0.99Td-14.3)+46.3
または、
1.8Td-0.55(1-H/100)(1.8Td-26)+32
で算出されます。例えば、気温27℃、相対湿度55%で不快指数75であり、気温29℃ 湿度70%で不快指数80となります。
湿度と体感温度の関係図3のグラフは私たち日本人の一般的不快指数を温度と湿度で示したものです。温度が高く、湿度が高いほど、不快指数は高くなります。つまり、夏季のように温度の高い時には、湿度の高さは不快感の原因になる一方、冬の寒い時は、湿度がある方が暖かく、快適に感じるということです。しかし、不快指数は他の要素の影響で実際の体感に差異が生じやすいのが難点です。図4の表は、国籍による不快指数の感じ方の違いを示したものですが、アメリカ人と日本人の不快指数の感じ方は異なり、高温多湿に馴れている日本人の方が、不快と感じる指数がアメリカ人よりも高くなっています。不快指数を過信するのではなく、目安の1つとして利用するとよいでしょう。

湿度と体感温度の関係

□WBGT(Wet Bulb Globe Temperature=湿球黒球温度・暑さ指数)

人の感じる暑さの要因として気温、湿度、輻射熱の3つを取り入れた指標で、アメリカのYaglou とMinardにより1957に提唱されたものです。特に、高温環境の指標として、行動に伴うリスクの度合を判断するのに用いられています。地球温暖化やヒートアイランド現象などの影響により、日本では真夏日日数が増加傾向にあり、近年では夏期の熱中症患者や熱中症による死亡者が急増しています。そのため、環境省、厚労省、気象庁などでは、この指数を熱中症予防に役立てようと「暑さ指数」と称して、暑さ指数の予報情報提供に力を入れています。日本だけではなく、軍隊、スポーツ、高温の職場などでの熱中症を予防するために、国際的にも利用されており、ISO7243、JIS Z 8504などとして規格化されています。
WBGTは湿球温度、黒球温度、乾球温度の値を使用し、下記の計算式で算出されます。
屋外:WBGT=0.7×NWB(湿球温度)+0.2×GT(黒球温度)+0.1×NDB(乾球温度)
屋内:WBGT=0.7×NWB(湿球温度)+0.3×GT(黒球温度)

ちなみに、湿球温度とは、湿球温度計(寒暖計の球の部分を湿った布で包んだ温度計)または乾湿計の湿球側が示す温度のことです。布の湿りは絶えず蒸発するので、蒸発に必要な蒸発潜熱を奪うため湿球の温度は下がります。蒸発の度合いは周囲の空気が乾燥していると多く、湿っていると少なく、飽和になると止まるという構造になっています。黒球温度は、輻射熱の測定に用いられる温度計です。表面を黒く塗った銅製の球の中心に棒状の温度計を入れて測定します。 乾球温度は、一般の寒暖計で計った温度または乾湿温度計(乾湿計)において乾球側の示す温度をいい、いわゆる空気の温度です。
図5は、WBGTと気温、相対湿度の関係をわかりやすくチャート化したもので、図6は日常生活におけるWBGT値と乾球温、湿球温と熱中症予防指針を示したものです。これらの図からもわかるように、WBGTは単なる快適性ではなく、過酷な温熱環境下での行動リスクの判断材料となるものです。私たちの健康を守るために、上手に利用しましょう。

湿度と体感温度の関係

湿度と体感温度の関係

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