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通信講座No.029 「部屋の湿気が多いと思いませんか?」

講座No.029-2 「湿度管理で快適な住まいづくり」

前講座で説明したように、人が快適と感じる温熱環境づくりには、温度、湿度、気流、輻射のバランスが大切です。特に湿度と温度の関係は、高温多湿な日本の夏において快適性を左右する重要なポイントとなります。
下記の表は、横浜市の過去15年間の月別平均気温と平均湿度を表したものです。赤字の部分は、不快指数が75を超え約半数の人が不快に感じる状況であったことを示しています。いかに日本の夏が高温多湿で、部屋の中で快適に過ごすためには湿度管理が重要なのがよくわかります。

湿度管理で快適な住まいづくり

それでは、快適な住まいづくりのためには、どのように湿度を管理したらよいでしょうか。
湿度管理で快適な住まいづくり湿度管理で快適な住まいづくり まずは、部屋の用途によって快適な温度と湿度が異なることを理解することが大切です。どのように違うかを示した表が図1で、部屋の用途と室温、湿度の関係を表しています。また、図2のグラフは、不快指数と温湿度の関係を示しています。この2つの図を併せて見ると、部屋の用途や季節に合わせて、どのように湿度と温度をコントロールすればよいかがわかります。例えばリビングの場合、25℃で湿度40%が理想ですが、夏の省エネ・節電のためには、室温28℃で湿度を50%以下にすれば暑さは感じないということになります。
最新型エアコンでは、温度と湿度をそれぞれに設定出来るようになっていたり、冷房時には設定温度が高めで湿度を低めにした上で、センサーの働きによって直接気流を体にあてたりと、体感温度を考慮した機能が搭載された製品がいろいろ発売されています。温度、湿度、気流が調整できる最新型エアコンがあれば、節電しながらの湿度管理に大変効果的です。しかし、本講座では機器に頼るだけではなく、暮らし方や住まいそのものに工夫をして湿度管理ができる方法を考えたいと思います。

◆ライフスタイルを見直して湿気の発生を抑える

まず、住まいの湿気の原因となる水蒸気の発生源とその量について調べてみましょう。下記は住まいの湿気度チェックリストです。答えが「はい」の項目が何個あるかチェックしてみてください。

湿度計がありますか。
1日中、家を閉め切りにしていませんか。
室内を換気するときに、対角線方向の窓を開けるなど効果的な換気をしていますか。
炊事のとき、換気扇を回していますか。
湯沸器を使うとき、換気扇を回していますか。
なべ物をするとき、換気扇を回していますか。
入浴中、換気扇を回すか、窓を開けていますか。
入浴後、浴室の壁が乾くまで換気扇を回すか、窓を開けていますか。
室内に鉢植えが大量に置いてありませんか。
室内に熱帯魚の水槽がありませんか。
室内に洗濯物を干していませんか。
乾燥機(洗濯用、食器用、浴室)の排気が室内に排出されていませんか。
石油ストーブやガスストーブの上に、やかんを乗せていませんか。
石油スト-ブやガススト-ブ、ファンヒ-タ-を使用しているとき、換気をしていますか。
加湿器を必要以上に使用していませんか。
窓ガラス、アルミサッシにできた結露をふき取っていますか。

【チェック数15以上】ランクA  立派です。あなたの住まいの湿度環境はかなり良好に保たれているはずです。今後もこの状態を維持していきましょう。
【チェック数14~10】ランクB 少し気を許すとすぐにカビが顔を出します。湿気対策で大切なのは継続していくことです。
【チェック数9以下】ランクC このままではカビやダニは増える一方。室内から湿気を追い出すために、まずやれる項目から実行していきましょう。

上記のチェック項目はライフスタイルに関することなので、すぐに実行できることばかりです。湿気の原因である水蒸気を抑えることに繋がりますので、是非チャレンジしてみましょう。

◆床下からの湿気を防ぐ

下記は自分でできる床下の湿気度チェックリストです。自分に当てはまる項目があるかどうかチェックしてみてください。

1.日当りがよいのに、庭に苔が生えている。
2.庭の土がいつも湿っている。
3.雨が降った後、庭にいつまでも水がたまっている。
4.敷地が周りの土地に比べて低く、上の土地から雨水が敷地にそのまま流入している。
5.接道より敷地が低く、道路から雨水が敷地に流入している。
6.床下換気孔を塞ぐように、物が置いてある。
7.一階部分を増築して、対面の換気孔が通じていない。
8.床下換気孔からカビのニオイがする。
9.床下点検口もしくは床下収納からカビのニオイがする。
10.畳の表面がなんとなくジトジトしている。
11.畳にカビが生える。
12.押入れにカビが生える。
13.床がフカフカしていたり、沈んだりする。
14.浴室、浴槽のタイルや目地が剥がれている。

当てはまる項目がいくつありましたか。1から5に当てはまる場合は、地形や敷地の条件が水分を含みやすくなっています。床下の除湿・防湿がしっかりされていれば問題ありませんが、湿気対策が十分でない場合は注意が必要です。6から9に当てはまる場合は、床下の湿気対策が十分でない可能性があります。10から14に当てはまる場合は、当該症状以外にも問題が生じている可能性があります。信頼できる工務店やリフォーム業者に相談し、きちんとした床下点検をしてもらうようにしましょう。床下点検の業者選びには、講座No.27-2「信頼できる床下点検とは」をご参照ください。床下からの湿気を防ぐ方法には、主に下記のような3つの対策があります。

□換気・通気対策

最も一般的な方法が、床下換気扇の設置です。ただし、効果的な換気及び通気には、ただ闇雲に数多く設置すればよいというわけではありませんし、一年中同じように換気していればよいというわけでもありません。つまり、季節や気候、温度と湿度の関係(相対湿度)を把握し、床下の空気の流れを設計して、正しく換気設備を設置する必要があります。例えば、夏期と冬期では、相対湿度の状態が変化しますので、排気型と吸気型を取り付けて通気状況を管理できるようにしたり、床下の温湿度(水蒸気圧)を感知し、換気状況をコントロールするセンサー制御機能があるものやタイマー機能があるものなどを使用したりと、床下の状況に合わせた換気設計が重要です。また、既存の換気孔の位置や基礎の形状、建物周辺の通気状況なども考慮しなければいけません。既存の基礎の形状や換気孔の位置によっては、十分に通気できない場所が生じる場合もあります。そのような場所が、水周りなど湿気を帯びやすい環境である場合は、攪拌送風機などを併設して通気しやすいようにする方法もあります。
取り付ける台数は、建物や敷地状況、取り付ける機種などにより一概には言えませんが、一階の床面積が30坪くらいまでの住宅であれば、2~4台くらいが一般的です。工事費用も機種や床下環境によって差がありますが、一般的な戸建であれば換気扇及び取付費用を合わせて、10数万円から高くても30万円くらいまでが多いようです。一般的なリフォーム工事と異なり、床下という作業性の悪い場所の工事ですので、室内での換気扇取り付け工事とは違う料金体系であることは理解しておきましょう。

□除湿・防湿対策

防湿コンクリートを打設できれば一番効果的ですが、かなりの費用を必要としますので、よほど土壌状態が悪くない限りは一般的ではありません。通常は、図3のような防湿シートを敷き詰めて湿気を防ぎます。ただし、夏期の高湿度の改善策としては十分ではないため、防湿シートを敷き詰めた上で適切な換気設備を設置するとよいでしょう。
湿度管理で快適な住まいづくり調湿剤を設置する方法も有効です。調湿剤は、食品の湿気防止に使用されているシリカゲルなどの乾燥剤とは異なり、周囲の湿度が相対的に高い時には吸収し、反対に周りが乾燥してくると湿気を排出するというもので、吸放湿を繰り返します。調湿剤は、さまざまな材質を原料とした多種多様な商品が発売されています。その中でも、ゼオライト、セピオライト、コレマナイト、シラス(マグマセラミック)などの石系や、木炭、竹炭などの炭系といった自然素材を原料としたものの人気が高いようです。
これらの調湿剤は多孔質で、調湿以外にも消臭効果やホルムアルデヒドなどの化学物質を吸着する機能をもっています。それぞれの機能の効力や持続性は、原料や商品によって差があります。また、価格も商品によって差があります。業者に幾つかの商品を提案してもらい、それぞれの機能や性能、価格、施工性を比較した上で、床下の状態と予算に合わせて選ぶとよいでしょう。地面に直接敷き詰めるタイプと据え置タイプがありますが、メンテナンスや今後のリフォームなどを考えると据え置タイプがお勧めです。図3の防湿シートの上に置かれている不織布の袋状のものは、シラスを原料にした据え置タイプの調湿剤の例です。マグマの一部であるシラスが持つ多孔質の特徴をそのまま活かし、調湿効果や消臭効果に優れ、ホルムアルデヒドを吸着して再放出しない調湿剤です。

□太陽エネルギーによる空調システム

湿度管理で快適な住まいづくり太陽エネルギーには、光エネルギーと熱エネルギーがあります。光エネルギーは、太陽光発電システムで電気として使用する人が増えてきています。そして、熱エネルギーは図4や図5に示すような給湯もできる空調システムとして使用できます。太陽熱で暖められた屋根下の空気を、小屋裏に取り付けたハンドリングボックスでコントロールし、季節に適した方法で家中に循環させるシステムです。
湿度管理で快適な住まいづくり冬は太陽の熱によって温められた空気が小屋裏のハンドリングボックスに集められ、小型ファンの力を借りて床下に送られます。空気は床下に広がり、コンクリートに熱を蓄えさせながら少し冷めた暖気が室内へと流れ出ます。夕方、外気温が下がり始める頃から、昼間蓄えられた熱が放熱を初め、床を暖めます。夏の日中は熱を給湯に使い、夜間は北側の外気を取り込み、蓄冷と地冷熱によって冷やされたコンクリートに触れさせることで熱が奪われた空気を室内へ送り込みます。
このシステムを導入するには、小屋裏にハンドリングボックスを設置し、集めた空気を循環させるダクトの設置が必要です。蓄熱材として用いるよう床下には土間コンクリートを打設する必要もあります。大きなリフォーム工事になりますが、お金に換算できない良さがたくさんあります。常に外から新鮮な空気を取り入れ、家中に循環させますので床下も室内も湿気の心配から開放されます。そして、空気と熱のバリアフリーをもたらし、アトピーや喘息、高齢者の方々にもやさしい、健康的で快適な室内環境をつくります。自然エネルギーによるシステムですので、世界中の課題でもある省エネとCO2排出量削減にも役立ちます。

◆部屋の湿気を排出する

短時間で水蒸気を排出し室内の空気を入れ替えるには、適切な換気や通風が効果的です。
換気には、窓などを開けて換気する「自然換気」と、換気扇などを使って換気する「機械換気」があります。現在は、建築基準法が改正され(平成15年7月1日施行)、居室には原則として機械換気設備の設置が義務付けられています。これは、シックハウスの原因となる化学物質の室内濃度を下げるための対策のひとつとして施行されました。高気密・高断熱の家が増えている昨今、意識しないと空気はよどんだままになってしまいます。空気をきれいにすることは病気を予防することにもつながります。あのナイチンゲールは、すでに100年以上も前にこの換気の大切さに着目し、衛生管理とともに徹底して行うことで、感染で病人が増えるのを抑えた記録が残っています。新建材や接着剤などに含まれるホルムアルデヒドなどの有害化学物質による健康被害とされるシックハウスも、室内の換気が不十分となった部屋に汚れた空気が滞留することが原因と言われています。
そして、通風は文字通り家の中に風を通すことです。ただ単に窓を開けて換気をするのではなく、家の中に風を通すように工夫すれば、室内の空気がずっと短時間に改善されるうえに、除湿の効果も高くなります。

□自然換気

通風できる効果的な換気の方法は下記のとおりです。ただし、除湿のためには、室外湿度が高い場合の自然換気は、逆効果となりますので注意しましょう。

①窓を開けるときはカーテンも開ける。
②大きく一箇所の窓を開けるよりも、対角線上になるように2箇所の窓を開ける。
③空気の出口となる方の窓を全開にし、入口となる方を15cmくらい開ける。
④空気が流れにくく、よどんでしまう場所がある場合は、扇風機を使う。
⑤換気扇を回すときは、必ず窓を15㎝くらいか給気口を開けて、空気の入口を確保する。尚、空気の入口は、なるべく換気扇から離れている方がより効果的に換気ができる。

□機械換気

平成15年7月1日の建築基準法の改正により、居室には原則として機械換気設備の設置が義務付けられていますので、最近の住宅は換気がしやすくなっています。しかし、それ以前の建築基準法で建てられた建物は、換気設備が十分に設置されていません。図6の左側のように、窓が一箇所しかない部屋もあるでしょう。マンションの場合は難しいですが、戸建て住宅であれば図1の右側のように窓や換気扇を設けることで空気の流れが改善され、換気がしやすくなります。換気効率を良くするためには、換気扇と同時に給気口も設置できればより効果的です。

湿度管理で快適な住まいづくり

◆壁で調湿する

部屋の中で壁の面積が占める割合は、思っているよりも大きなものです。例えば、6帖の部屋の床面積は約10平方メートルですが、壁面積は約25平方メートルにもなります。したがって、この壁を上手に利用すれば、湿気管理はしやすくなります。
そこでお勧めなのが、調湿機能・消臭機能・有害物質の吸着など、部屋を快適に保つ機能を持った建材を使用するリフォームです。通常の壁紙(ビニールクロス)にもそのような機能が付けられたものもありますが、性能や機能の持続性を考えると、天然の木板や湿式塗り壁(珪藻土、シラスなど)がお勧めです。
図7は調湿・消臭機能があり、有害物質を吸着し、断熱効果の高いシラス壁の施工例です。
図8~図9は、その調湿効果を示すグラフです。グレーの線は何も入っていない状態、赤の線はシラス壁を投入した状態を示しています。試験では、部屋の壁・天井・床のすべてにシラス壁を塗った場合とほぼ同じ状況と仮定し、15×15cm大のシラス壁を湿度93%(温度約30℃)に設定した10リットルのデシケータに入れて計測しました。なお、試験ではあらかじめ90℃で、3時間乾燥したシラス壁を冷却後、投入しています。また、放湿試験では、吸湿性能の実験を終了したサンプルを遅滞なく、湿度17%(温度は約23℃)に設定した10リットルデシケータに入れて計測しました。
吸湿については、30分後には54%、60分後に45%程度となり、以降安定します。放湿については、35分後には25%、80分後に27%,250分後には28%となり、以降はゆっくりとした変化となります。ちなみに、図10は、家のニオイを悪臭にしてしまう大きな原因となる4つの物質に対する消臭性能を示すグラフです。また、シラス壁の主原料であるマグマの一部・天然シラスは多孔質であるため、断熱効果や防音効果も得られます。
このような機能を持つシラス壁でリフォームをすれば、効果的に室内の湿気を抑えながら空気環境を改善し、且つ断熱効果で省エネもできます。

湿度管理で快適な住まいづくり

湿度管理で快適な住まいづくり

湿度管理で快適な住まいづくり

家にも人にも良い湿気対策。現在の住まいの状態と問題点を正しく理解した上で、家族のライフスタイルや住まい方、メンテナンス計画などを考え合わせて、無理、無駄のない適切な湿気対策リフォームで、快適な住環境を手に入れましょう。

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