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通信講座No.030 「夏に部屋が暑くてつらい思いをしていませんか?」

講座No.030-2 「本格的な断熱工事で暑さ対策」

断熱工事の基本は、とにかく隙間なく家全体を断熱し、外気の影響を受けにくくすることです。したがって、本格的な断熱工事は、部分的にするのではなく、屋根、外壁、床、窓など家全体に断熱を施す必要があります。そのためには工法や素材の性能を知り、確実な施工によって断熱することが、住まいの快適性と省エネにとって大切なことです。  では、断熱工事のポイントを説明しましょう。

◆断熱・気密・換気を同時に考える

どんなに高断熱性能の部材を取り入れても、すき間があっては意味がありません。また、すき間をなくして気密性を高めても、室内の空気環境が悪くては健康を損なう危険が生じます。省エネと快適性を同時に実現させるためには、断熱、気密、換気を同時に考えたリフォーム計画が大切です。3つの機能が補完しあって、省エネ化が効率よく快適に実現できるのです。
しっかりと断熱・気密化された住宅では、どの部屋でも同じような室温が可能となり、家中がいつでもどこでも快適です。その上、省エネが実現できますので、今までと同じくらいの負担で全室の冷暖房も可能になります。また、断熱性能と換気設備がしっかりと備わった住宅では、壁内の結露を抑えて構造部分の腐食を防ぎ、住まいを長持ちさせることができます。結果、省資源化にもつながります。つまり、温度ストレスが少ない室内環境で健康管理に役立ち、計画換気によって室内の空気を常に清浄に保つことができる、健康的な住まいになるということです。

◆断熱工法を選ぶ

本格的断熱工事で暑さ対策施工方法としては、よくコマーシャルなどでも耳にする外断熱工法と内断熱(充填断熱)工法があります。図1は、それぞれの工法での断熱材の状態を示しています。
どちらの工法にも、メリットがあればデメリットもあり、どちらが優れているということではありません。どちらも綿密な計画とそれに基づく確実な施工がなされていることこそが重要なのです。そのため、断熱工事を本格的に行うためには、値段ばかりにとらわれず、しっかりとした設計及び施工技術、そして実績のある、信頼できる業者を選ぶようにしましょう。また、建物全体に及ぶ大きな工事ですので、工事中は多少不自由な思いをすることもあるでしょう。だからこそ、少しでも工事中のストレスを減らせるよう、気遣いと工程管理がしっかりできる業者に頼むとよいでしょう。なお、断熱工事だけをするのは、効率的ではありません。ほかのリフォーム工事と一緒に行うことをお勧めします。一緒にすると効率のよいリフォームは下の表を参考にしてください。

本格的な断熱工事で暑さ対策

◆断熱材を選ぶ

屋根裏や壁、床下に充填する断熱材は、グラスウールやロックウール、発泡ウレタンなどさまざまな種類があります。断熱材の性能は、断熱効果を大きく左右しますので、選ぶときは注意が必要です。価格の安さだけに拘っては、満足な断熱効果は得られなくなってしまいます。まして、断熱材は工事が終われば見えなくなってしまいます。見えないところだからこそ、信頼のおける業者による施工と価格だけに惑わされない正しい材料選びが大切です。断熱工事は、住まいの機密性を高めるリフォームでもありますので、室内の空気環境や健康にも考慮して材料を選びたいものです。参考までに、断熱材には、主に下記のようなものがあります。

□自然系断熱材

①セルロースファイバー(熱伝導率0.040W/m.k)(図2)
本格的断熱工事で暑さ対策新聞古紙を主原料にしたリサイクル製品です。綿状にしたファイバーを吹き込んだり、吹き付けたりして施工します。吸放湿性がよいので気密シートがなくても結露の心配がいりません。吸音性にも優れ、防虫効果もあります。ドイツのエコテスト社の製品評価で推奨品に挙げられています。高価格が多い自然系断熱材の中ではローコストな製品です。新聞紙に印刷されているインクの揮発性有機化合物が気になる場合は、価格が多少高くなりますが、インクが使用されていないものもあります。次世代のエコ断熱材として期待されています。

②軽量軟質木質繊維ボード(熱伝導率0.040~0.045 W/m.k)(図3)
本格的断熱工事で暑さ対策廃材などをリサイクルした木質繊維製品です。断熱性能は高性能グラスウールより若干劣るものの、吸放湿性に優れています。価格はグラスウールの約3倍ほどです。残念ながら、輸入品は国内在庫が少なくて多少入手しにくく、国内生産品もまだ商流が安定していないのが難点です。

③炭化コルク(熱伝導率0.041~0.045 W/m.k)(図4)
本格的断熱工事で暑さ対策コルク材の中でもヤニの多いコルク皮を粉砕したものを集め、300℃~400℃で蒸し焼きにしてブロックを作り、一定の厚さ・大きさに切断して作られます。コルク特有の微細な発泡構造を残したまま炭化するので、断熱・吸音・防振性に優れています。腐りにくく、保湿・吸放湿性にすぐれているため、防湿シートがなくても結露を防ぐことができます。同じ厚さの高性能グラスウールの約12倍とかなり高価です。コルク自身のヤニで固めているので、有害物質を含んでいません。逆に、有害物質を吸収し、ダニなどのムシも発生しにくく、アレルギー対策としても優れた断熱材です。

④ウール(熱伝導率0.032~0.040 W/m.k)(図5)
本格的断熱工事で暑さ対策調湿効果に優れ、壁内結露を防ぎカビ・ダニの発生を防いでくれます。ホルムアルデヒドの吸着効果もあります。さらに、自然素材ですので有害物質を発生せず、人、家、環境に優しいエコロジー建材です。今まで断熱材が入らなかったすき間にも入れることができるので高い断熱性を実現できます。リサイクルウールを使ったものや、ポリエステルを混入した安価なものもあります。

□プラスチック系断熱材

①ポリスチレンフォーム(熱伝導率0.034~0.043 W/m.k)(図6)
本格的断熱工事で暑さ対策原料はポリスチレン樹脂と発泡剤です。ビーズ法と押出法の2種類による形状があります。押出法はビーズ法よりも断熱性、耐候性に優れ透湿抵抗が大きく、形状維持性が高いので、コンクリート打ち込み工法など外断熱によく使用されているうえに、コストパフォーマンスに優れているため、普及率が高い製品です。基礎の外断熱に使用する場合は、白アリ対策が必要です。

②硬質ウレタンフォーム(熱伝導率0.024~0.026 W/m.k)(図7)
本格的断熱工事で暑さ対策プラスチック発泡体です。板形状が一般的ですが、現場発泡も可能です。見かけは小さな硬い泡の集合体で、独立した気泡1つ1つに熱を伝えにくいガスが封じ込められています。押出法ポリスチレンフォームより熱伝導率が低く、断熱材内結露の心配がありません。ただ、燃焼時に猛毒のシアン系ガスが発生します。また、白アリの被害を受けやすいので、基礎に使用する場合は対策が必要です。

③フェノールフォーム(熱伝導率0.020~0.026 W/m.k)(図8)
本格的断熱工事で暑さ対策主原料は、非常に安定した分子構造を持つフェノール樹脂です。フロン系ガスを一切使用しない温暖化係数の極めて低い「グリーンガス」で発泡硬化させてできた製品です。透湿係数は低いですが、断熱性能が高く、防火性に優れ、炎を当てても炭化するだけで燃え広がることや、煙や有毒ガスの発生がほとんどありません。

□鉱物系(無機繊維系)断熱材

①グラスウール(熱伝導率0.036~0.045 W/m.k)(図9)
本格的断熱工事で暑さ対策回収された空き瓶や工場の廃棄ガラスなどのリサイクル製品で、ガラスを繊維状にしてマットやボード形状にしてあります。安価で、燃えにくく、白アリがつきにくいことが長所です。空気や水を通すため、最近は撥水加工を施したものなども発売されています。

②ロックウール(熱伝導率0.036~0.038 W/m.k)(図10)
本格的断熱工事で暑さ対策玄武岩などを繊維状にしたものです。軽くて、耐久性や耐火性、吸音性があります。性能や価格はグラスウールとほぼ同等です。

◆換気設備を整える

換気には、窓などを開けて換気する「自然換気」と、換気扇などを使って換気する「機械換気」があります。現在は、建築基準法が改正され(平成15年7月1日施行)、居室には原則として機械換気設備の設置が義務付けられています。これは、シックハウスの原因となる化学物質の室内濃度を下げるための対策のひとつとして施行されました。高気密・高断熱の家が増えている昨今、意識しないと空気はよどんだままになってしまいます。空気をきれいにすることは病気を予防することにもつながります。新建材や接着剤などに含まれるホルムアルデヒドなどの有害化学物質による健康被害とされるシックハウスも、室内の換気が不十分となった部屋に汚れた空気が滞留することが原因と言われています。断熱工事の際には、無駄な熱の流出入を抑えながら、室内の空気環境を良質に保てるよう、換気設備も整えましょう。例えば、図11の左側のように、窓が一箇所しかない部屋は決して良好な換気状態ではありません。そこで、戸建て住宅であれば図の右側のように窓や換気扇を設けることで空気の流れが改善され、換気がしやすくなります。換気効率を良くするためには、換気扇と同時に給気口も設置するとより効果的です。

本格的な断熱工事で暑さ対策

◆断熱性能以外に大切なこと

日本の住宅は、従来夏の高温多湿を快適に過ごすためにさまざまな工夫が考えられ、作られてきました。例えば、大きな開口部や襖で部屋を仕切ったのは、夏に風通しをよくするための設計上の工夫といえるでしょう。省エネやCO2排出量削減が世界的な重要事項である今、出来るだけ無駄なエネルギーを使わないためには、このように自然と上手く付き合う工夫も必要でしょう。いくら高断熱でも、夏の日射取得が多い家では、冷房費がかかってしまい省エネになりません。そのため、庇やブラインドなどを利用して、夏の日射を遮る工夫をする必要があります。
自然と上手く付き合いながら暮らす工夫があってこそ、住まいの高性能が活かされ、快適な住環境が得られると言えるでしょう。

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