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エコチル調査5周年記念シンポジウム参加レポート

エコチル調査5周年記念シンポジウム参加レポート

~10万組とあゆんだ5年間でわかったこと、そしてこれから


「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」は、胎児期から小児期にかけての化学物質曝露をはじめとする環境因子が、子どもたちの成長・発達にどのような影響を与えるかを明らかにするために10万組の親子を対象に13年間継続して行われている世界でも類を見ない大規模な疫学調査です。2011年の調査開始からが5年が経過した2016年1月16日に日本科学未来館の未来館ホールで5周年記念シンポジウムが開催されました。会場には、医療関係者、一般サポーターなどを共に、調査参加者がお子さんを連れ家族で参加されている姿も見られました。

シンポジウムは環境省の総合環境政策局環境保健部長北島 智子氏の開会の挨拶で始まりました。
続いて、エコチル調査コアセンター長を務める、産業医科大学医学部産業衛生学講座川本俊弘教授による基調講演が行われました。川本教授は、エコチル調査の内容や進捗状況、そして今後についての調査内容を分かりやすく説明するとともに、エコチル調査の結果を通じて発表された最新の論文の2例を簡単に紹介されました。
基調講演に続いて、エコチル調査メディカルサポートセンター特任部長大矢幸弘氏が、これまでの集計結果から下記のような集計結果を発表しました。

1.喘息になったことがある子どもの割合
  1歳 3%、2歳 9%、3歳 13%
2.アトピー性皮膚炎/湿疹になったことがある子どもの割合
  1歳 5%、2歳 11%、3歳 14%
3.花粉症になったことがある子どもの割合
  2歳 2%、3歳4%

ちなみに、妊婦のスギ花粉症特異的IgE抗体測定で陽性を示したのはなんと90,583人に上っていたそうです。この数値には、地域差が大きく、最も多いのが甲信越地方、次が神奈川県、愛知県の結果になっており、今後その環境要因についても調査・分析が進められる予定です。
続いて、淑徳大学人文学部表現学科の北野大教授による特別講演「子どもの健康と化学物質」が行われました。北野教授は、「化学物質というと何か全て悪いもののように思っている人も多いが、そもそもこの世の全ての物質は何らかの化学物質でできている。人間の身体も化学物質から成り立っているにすぎない。よく、人工的に作りだされたものか天然かで有害、無害を論じる人もいるが、そのような分類も決して正しいとは言えない。天然だから安全、無害というわけではない。人工的に造られた化学物質を無いものとして、今と同じ生活水準を保つことは最早できないのが現実だ。だからといって、どれだけでも使っても良いし安心ということでもない。例えば、子どもがいる家庭でスプレー式の虫除け剤を使うのは避けたほうがよいと思うし、洗剤や衣類の防虫剤などで種類を混ぜて使ったり、多量に使うのも安全とは言えないこともある。寺田寅彦氏の言葉に『ものをこわがらな過ぎたり、こわがり過ぎたりするのはやさしいが、正当にこわがることはなかなかむつかしい』というのがある。まさに、化学物質を考えるうえでこうあるべきではないだろうか。」と、正しい知識と理解を持って、正当に対処することの大切さを説き、また未来の子育ての環境を整えるうえで、その知識の基礎となりうるエコチル調査の結果への期待を言及されました。

シンポジウムの後半では、エコチル調査戦略広報委員会委員長の山縣然太朗氏がコーディネーターとなり、北野教授、川本教授、大矢氏をパネリストとして、パネルディスカッションが行われました。このパネルディスカッションで今までにない試みだったのが、会場にいる300名近い参加者一人ひとりが、アンケートボタンを渡されており、コーディネーターの山縣氏の質問に答えると会場の正面のモニターにアンケートの集計結果がその場で確認できることでした。
例えば、化学物質についての考えに関するアンケート(複数回答可)では、参加者の殆どが危険を感じてはいるが、現在の生活にはなくてはならないと考えている結果となりました。
このような参加者へのアンケートを交えながら、エコチル調査の集計結果を示すと同時に、パネリストの意見を聞く形式でパネルディスカッションは進められました。エコチル調査の集計結果で意外だったのが、消臭剤や芳香剤の使用頻度でした。小さな子どもがいるにも関わらず、多くの家庭で日常的に使われていることが集計結果には示されていました。1歳児の場合で71%の家庭、3歳児の場合で75%の家庭が使用していました。また、就寝時刻が遅いことを示す集計結果にも驚きました。会場のアンケートでは、殆どの人が3歳児の適切な就寝時刻は夜8時前と考えているにも関わらず、エコチル調査の集計では29%の3歳児の就寝時刻は夜10時以降という結果でした。厚生労働省の調査でも、母親の労働時間が長いほど子どもの就寝時刻が夜10時以降である割合が高い結果が出ているそうです。子どもの適切な睡眠は心身の育成に非常に重要であることは、さまざまな研究結果から明らかになっています。大矢氏は、寝ている時に成長ホルモンが最も分泌されていることや免疫にも影響することを例に挙げ、子どもの睡眠時間を少なくせざるを得ない両親の就労状況などを改善できる社会全体のシステムの必要性を指摘されました。

2011年から2014年3月まで募集したエコチル調査への参加者は合計で103,106組。参加者の親子への調査は、子どもが13歳になるまで続けていくことになります。妊娠中の母体の血液や尿、また臍帯血などの生体試料から順次、水銀、鉛、カドニウムなど様々な化学物質の分析も進められています。同時に2014年から参加者の中から5,000人を対象とした詳細調査も始められています。
調査データや様々な生体試料の分析は始まったばかりです。特に化学物質の高度な分析は、分析そのものを出来る施設が少なく、また高額な費用がかかります。エコチル調査を継続させ、その結果が正しくそして公平に公開されて、日本のみならず、世界の未来の子どもたちの子育て環境づくりに役立つことを願う100%自然素材主義は、これからもエコチル調査サポーターの一員として、より多くの人の理解と協力を得られるよう、最新情報を提供しつづけたいと思います。

エコチル調査5周年記念シンポジウム参加レポート

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100%自然素材主義 編集部

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