通信講座No.001 「屋根の棟押さえ鉄板は一度取替えましたか?」
はじめに、化粧スレート葺や金属板葺を簡単に説明します。図1-2は、化粧スレート葺や金属板葺の一般的な様子を示したものです。どちらも、野地板の上に防水紙(アスファルトルーフィング)をふき、その上にそれぞれの屋根葺き材が使われます。屋根の形にもよりますが、一般的な切妻や寄棟などのタイプには、全て棟押え鉄板(棟包み板)が付くものです。
図3は、棟部分の断面の様子です。野地板の上に防水紙、屋根葺き材を順に葺いた上に、貫板(棟板)を屋根面に対して打ちつけます。棟押え鉄板(棟包み板)は、この部分全体を包むように金属板を取り付けることで、屋根葺き材を押えると共に雨の浸入を防ぎます。
棟押え鉄板(棟包み板)は、釘を貫板(棟板)の側面に対して打ち、留め付けます。金属板の厚さ、釘の長さや留め付けの間隔、貫板(棟板)の厚さ・幅などは、葺き材や葺き方によって基準や仕様が定められています。このように、棟押え鉄板(棟包み板)は、屋根をしっかりと固定し、風雨から家を守る要の部分ですが、一番傷みやすい部分でもあります。しかし、その耐久性は、立地条件、日当たり、風当たりなどの諸条件によって変わってきます。また、目立たないが傷みやすい部分が、棟押え鉄板(棟包み板)の下地である貫板(棟板)です。貫板(棟板)は木製なので、約7~10年で結露などにより劣化し、やせたり腐ったりして釘が浮いて効かなくなり、台風や春一番の突風で飛ばされることもよくあります。飛んだ金属板が近隣の家や車を傷つけることさえあります。棟押え鉄板(棟包み板)が無ければ雨が浸入するのはもちろんのこと、葺き材そのものも不安定になります。
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