ちょっと本格的なDIY講座~住まいの学習館(通信講座)~

住まいに関する知恵や技術を学ぶことが出来る通信講座や体験イベント情報を紹介

通信講座No.037 「照明の省エネ化は済んでいますか?」

講座No.037-1 「照明の基礎知識」

照明の基礎知識図1は、家庭における製品別の電気使用量を比較したものです。エアコンに次いで大きな割合を占めているのが、冷蔵庫と照明器具です。仮に、1ヶ月の電気代が10,000円だとすると、照明には1,600円がかかっていることになり、1年間では19,200円にもなるということです。つまり、照明器具に使われる電気使用量を抑えることは、かなりの省エネ、節電につながります。
そこで、まずは照明の基礎知識を確認し、快適で省エネにもつながる照明について考えてみましょう。

◆明るさの感じ方(照度と色温度)

明るさは、各用途や部屋によって照度基準がJIS規格で図2のように定められています。照度(lx=ルクス)とは、光源によって照らされている面の明るさを表わす単位です。

照明の基礎知識

ただし、同じ照度でも光源の光色によって明るさの感じ方は異なります。光色は、色温度=k(ケルビン)という単位で表わします。図3のように、色温度が高い光は青っぽく見え、低い色は赤っぽい光に見えます。そして、同じ照度の蛍光灯でも白色と電球色を比べた場合、多くの人が白色光のほうが明るいと感じます。特に私たち日本人は、さわやかで活動的な印象を受ける白色光を好む傾向があるそうです。図4は、色温度の異なる蛍光灯の部屋の例です。色温度の違いで部屋の雰囲気が明らかに異なっているのが分かります。

照明の基礎知識

高齢者住宅では、若年者の住む空間の2~3倍の明るさが必要と言われますが、それはあくまでも視作業をする場合のことで、全般照明を2~3倍にする必要はありません。逆に、高齢者は水晶体内の不純物によって光が拡散されてまぶしさに敏感になるので、明るすぎる照明はかえって不快に感じることもあります。高齢者が真っ白よりもベージュ系を好む傾向にあるのはこのためだともいわれています。図2や図3を参考にして照度と色温度を合わせて考え、住まいの明るさをもう一度見直してみてはいかがでしょう。案外、明るすぎる部屋で過ごしている人もいるのではないでしょうか。
さて、照度と色温度の違いが快適性にどう影響するかを調べた実験報告が、愛知淑徳大学の高橋教授により発表されています。実験では、色温度の違う3種類の3波長形電球型蛍光灯が使用されています。3種類の色温度は、2800kの電球色、5000kの白昼色、6700kの昼光色ですので、イメージとしては図4のような3種類のパターンになります。
実験報告によれば、「雑誌を読む」「読書する」「勉強する」といった認知的な情報処理活動、あるいは身体的活動を主体とする場面では、色温度と照度がともに高い照明環境の快適性が高い結果となっています。また、「休息を取る」「テレビを見る」といった、比較的リラックスすることが主体となっている場合では、色温度、照度ともに、低い照明環境が好まれる結果がでています。「食事をとる」「雑談する」ときは、リラックスしながらも認知的にも身体的にも活動を行う場面であり、色温度は低め、照度は高めの環境がもっとも好まれる結果になっています。したがって、リラックスしたりテレビを見たりするリビングを快適な環境にするならば、図4で言えば色温度が低めの一番左の照明で明るさも抑えると快適性が向上します。もし、リビングで読書も行えるようにするためには、明るさを調整できる調光式照明設備、もしくはスポットで点灯・調光のできるダウンライトを設置するとよいでしょう。リビングタイニングの場合も同様です。ダイニング部分のテーブル上にペンダント式ライトを設置して、照度を高めると良いでしょう。このように、部屋の用途を考え、ポイント的に照度を調整すれば、省エネにもつながります。

◆色の見え方

照明には、色の見え方を評価する演色性を表す数値、演色評価数(Ra=アール)があります。演色性とは、色がどのくらい自然に見えているかということで、試料光源と基準光で照明したときの色ずれの大きさを数値化したものです。基準光で見たときを100とし、色ずれが大きくなるにしたがって数値が小さくなります。すなわち演色性が良いランプは、演色評価数の数値が大きく、演色性の劣るランプは数値が小さくなります。
演色性は、単なる色の見え方に留まらず、私たち人間の感覚に直接訴えて作用します。例えば、スーパーで美味しそうに見えた肉が、家に帰ってきて見たら「あれ?」と感じた経験がある人は多いのではないでしょうか。これが、演色性の作用です。スーパーでは、食品が美味しそうに見えるように波長を選択して放射するダイクロイックミラー付ハロゲン電球などの照明器具が使われています。一方、家庭の天井についた一般的な蛍光灯のあかりでは演色性が低いため、ハロゲン電球で見たスーパーの印象と明らかに違いを感じてしまうのです。これは、食欲や味覚にも作用します。味覚は視覚によって大きく作用されますので、演色性の高い照明の下なら、いつもの料理がより美味しそうに見えますし、反対に演色性の低い照明なら、味は変わらなくてもまずく感じてしまうことさえあるのです。
ところが、この演色性と明るさの関係には問題があります。人の目がもっとも明るく感じる波長は555nm(ナノメートル)の黄緑色付近の光で、この波長を多く含む光源ほど明るいことになります。しかし、人の目が慣れ親しんでいる自然光は、いろんな色の光を含んでいて、その分光分布に近いほど演色性が良いことになります。つまり多くの場合、演色性と明るさは相反する関係にあり、一般的な照明器具では同時に満たすことが以前はできませんでした。 現在では、人間の目に感じやすい青・緑・赤の光を効率よく発光する蛍光体を用いることで演色性と照度が共に高いランプが完成し、一般家庭にも普及しています。それが3波長(域発光)形蛍光灯といわれるものです。一般的白色蛍光灯がRa60ほどであるのに対して、3波長形蛍光灯ではRa88にもなります。3波長形蛍光灯などの演色性の高い照明を上手に使いわければ、適度な明るさで五感にも快適な照明環境づくりに役立ちます。

◆照明と素材の関係

「照度」「色温度」「演色性」は、照明があたる素材の色と質感によって見え方、感じ方が変化します。それは、素材の色と質感によって「反射率」が異なるためです。白や淡い色は反射率が高くなる傾向があり、濃い色は低くなります。また、素材の表面に凹凸があると反射率は低くなります。一般的に、反射率が低いと柔らかいあかりに感じ、高いと強いあかりに感じますので、落ち着いた空間やくつろげる空間をつくりたいのであれば、同じ色でも反射率の低いものを選ぶとよいでしょう。壁は部屋で、もっとも大きな面積を占めていますので、壁がどう見えるかはイメージや雰囲気づくりにおいて重要です。快適な空間づくりのためにも、壁の素材と照明を一緒に考えるようにしましょう。

◆健康と照明の関係

照明の基礎知識人間の体には生来備えている生体リズムがあり、外的要因に関わらず一定の周期で生体機能の変動を繰り返しています。1日周期の変動がある体温、作業能力、血圧、ホルモン分泌などもそうですし、呼吸のように1分以内の短い周期のものや1年を周期とするものもあります。生体リズムの多くは、体内にある体内時計によって規定されていることが明らかになっています。体内時計がどこにあるのかは、まだ特定できていませんが、脳の中の視交叉上核(しこうさじょうかく)という神経細胞の集まりが非常に深く関っていることがわかっています。視交叉上核は、左右の眼球の後ろから出ている視神経が、頭蓋骨の真ん中で交叉する場所のすぐ上に左右ひとつずつあることから、光の受容=明暗の変化が体内時計に大きく関っていると推察されています。(図5)

生体リズムは、外的要因を受けていない状態でも、朝は体温や血圧が低く、日中にかけて高くなり、夕方、夜にかけては徐々に下がるというようにやわらかな曲線を描いて変動しています。しかし、睡眠・覚醒のリズムは24時間より長いため、光の変化を受容して体内時計を調整し、生体機能を合わせる必要があります。この調整を行わず、リズムが狂ってしまうと心身の健康にひずみがでることになります。例えば、時差飛行や昼夜逆転の交替勤務では、しばしば睡眠障害や胃腸機能障害などをきたします。それだけではなく、生体リズムの異常は、うつ病、小児自閉症、登校拒否症、神経性食欲不振症、中枢神経疾患など様々な病的状態に関ることもわかっています。
しかし、光と生体リズムの関係、その影響を受ける睡眠・覚醒リズムの重要性はわかっていても、自然光にあわせて日常生活をおくることは現代社会ではほとんど不可能です。そこで、照明を上手に使って、体内時計の調整を行うことが大切になってきます。例えば、北ヨーロッパの緯度の高い地域では冬の日照時間が短く、うつ病や自殺が多いことは良く知られています。このような日照時間が短い地域では、冬に顔面だけでも人工照明を一定時間当てる治療法も行われていて、その成果が認められています。
私たちが集中力を高めて勉強や仕事をするには、全般的な明るさの何倍もの照度が机上に求められます。しかし、就寝直前までこのように明るい状態のもとで生活していると、睡眠障害の原因になることもあるのです。最近の研究によって、100~200ルクスのあかりでも、誘眠ホルモンで細胞を守る働きもあると言われているメラトニンが抑制され、眠りにくくなることがわかりました。

照明の基礎知識また、成長ホルモンは、図6のように寝入って最初の深い眠りの状態で集中的に分泌されるのですが、就寝前に明かりのせいで、眠りが浅く成長ホルモンが十分に分泌されないと、幼児期の子どもの脳や体の成長に影響が起きることが心配されます。したがって、就寝前のひと時は、明るさを抑えた暖かい光でくつろぐようにすることが大切です。ストレス社会といわれる現在、さまざまな癒しグッズや施設がありますが、まずは我が家の照明を見直してみる必要があるのではないでしょうか。

以上のように、照明にはさまざまな基本的性質があります。ただ単に明るさをもたらすだけでなく、色温度や演色性によって私たちの五感に作用し、作業効率やストレスなどさまざまな形で日常生活や健康にも影響を与えているのです。用途にあった適切な照明かどうかを見直したうえで、省エネで快適な生活と住まいづくりに役立てましょう。

同じカテゴリーの通信講座をピックアップ

その他
その他
講座No.009「家の臭いが気になりませんか?」
講座No.015「地震対策はちゃんとやっていますか?」
講座No.016「照明器具が汚れていませんか?」
講座No.023「カビや結露が出ることはありますか?」
講座No.024「寒い冬には暖かい部屋~部屋の防寒対策~」
講座No.025「家の外観全体を模様替えする気持ちはありませんか?」
講座No.030「夏に部屋が暑くてつらい思いをしていませんか?」
講座No.031「自然エネルギーで夏の暑さ対策をしてみませんか?」
講座No.035「健康的な暖房について考えてみませんか?」
講座No.037「照明の省エネ化は済んでいますか?」
講座No.040「住まいが健康を脅かしていませんか?」
講座No.041「無理して省エネ&節電していませんか?」
講座No.043「わが家で再生可能エネルギーをつくろう」
講座No.044「光だけじゃない!太陽熱も利用しよう」
講座No.047「今、使わず空いている部屋はありませんか?」
講座No.048「冬のエコライフ講座 in 保土ヶ谷公会堂」
講座No.051「室内を全面的に改装して、気分転換したい気持ちはありませんか?」
講座No.058「風通しの悪い家だなぁと、感じたことはありませんか?」
講座No.060「寝室が狭くて窮屈を感じていませんか?」
講座No.062「家の中にゴキブリや虫が多いと感じたことはありませんか?」
講座No.068「家族、兄弟が集まったとき、リビングが狭いと感じていませんか?」
講座No.083「省エネ住宅ポイント制度をご存知ですか?」
講座No.091「玄関の下駄箱が小さくて不便になっていませんか?」
講座No.092「本棚に本をすっきり収納してみませんか。」
講座No.093「家の中のデッドスペースを有効活用しませんか?」
講座No.094「便利なお掃除アイテムと掃除のポイントの紹介」
講座No.095「DIYで断熱効果を高める」
講座No.097「寒さを解消するための簡易的な暖房方法」
講座No.099「住まいを快適にできる生活雑貨をご存知ですか?」
講座No.100「中古マンションを購入したけど有効なリフォームとは?」
講座No.101「5分でわかる冬の色々リフォーム」
講座No.103「あなたのお住まいの防犯対策は大丈夫ですか?」

自然素材主義パートナー紹介