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通信講座No.044 「光だけじゃない!太陽熱も利用しよう」

講座No.044-1 「太陽熱の利点と利用状況」

水力、風力、地熱、波。自然エネルギーにもいろいろありますが、最も利用しやすく多くを期待されているのは、なんと言っても太陽エネルギーでしょう。2012年7月より固定価格買取制度がスタートしたこともあり、つい電力としてのエネルギーに目を向けがちで太陽エネルギーと言えば、太陽光発電を思い浮かべてしまいます。しかし、エネルギー変換効率からいえば、太陽熱利用は太陽光発電よりも約4倍も効率がよいと言われています。もちろん、熱を電力に変換するわけではないので、電力としてのエネルギーは別に必要であり、自然エネルギーで電力を確保するのであれば、太陽光も有効です。つまり、それぞれの特徴を正しく理解し、自分や家族のライフスタイルにあったエネルギーを選択することが、自然エネルギーを効率よく使いこなすためには大切です。
そこで、本講座では太陽熱を使う利点とその方法、そして実際の利用状況を確認してみましょう。

◆太陽熱の利点

太陽熱の利点と利用状況地球に到達する太陽エネルギーは1㎡あたり1kwになるといわれています。仮に、この太陽エネルギーを100%変換利用できたとすると、全世界の1年分の消費エネルギーを1時間ほどで賄うことができるそうです。この太陽エネルギーを熱として利用すると、現在の平均的な技術で1kw/㎡から0.4~0.6kw熱量/㎡の熱が得られます。一方、太陽光発電では、1kw/㎡から0.1~0.15kw/㎡の発電量です。つまり、図1が示すようにエネルギーの変換効率は太陽熱の方が明らかに高いことが分かります。

日本の一般家庭は、給湯と暖房がエネルギー使用量の半分以上を占めています(図2)。つまり、太陽熱を給湯と暖房に使用すれば、その分省エネになり、光熱費も削減できます。例えば、4人家族で年間10万円の光熱費を使用している場合、太陽熱利用機器を導入することで計算上では図3のように光熱費を削減することができます。

太陽熱の利点と利用状況

最近では、太陽熱利用の温水器とヒートポンプを組み合わせて利用できる設備や、壁や屋根を利用して温風を暖房として利用するシステムもあります。住まいや環境の条件にあった方法で利用することで、より多くの効果を得られるようになってきています。

◆太陽熱の利用状況

太陽熱の利点と利用状況世界では熱利用が盛んで、特に中国とEUを合わせると日本の30倍以上の設備が設置されています。図4は太陽熱利用機器の設置容量で世界の利用状況を示したグラフです。2009年に新設された設置容量は中国とEUで90%を占めています。その一方日本は、アフリカ諸国と同等の0.3%にすぎません。
図5は、ドイツと日本の太陽熱利用の推移です。1970年代末から80年代には日本の方が明らかに多くの太陽熱を利用(主に給湯)していたにも関わらず、1999年を境にドイツの利用状況が上回るようになっています。さら、2008年にドイツは国の普及政策(新築での義務付け)により、利用状況が大きく変化しています。

太陽熱の利点と利用状況

日本での普及が遅れている大きな原因は、機器コストが高いことや太陽光発電に比べて補助金制度や固定価格買取制度のような直接的なメリットを感じにくいところにあるようです。中国やEUでは、国策として普及を推進していることもあり、量産効果でコストも大幅に下がっています。日本でも、太陽光発電は普及率が高まるにつれて、種類が増え、機能や性能が高まり、コストは下がってきています。太陽熱利用機器も太陽光発電設備のように普及が進めばコストは下がるはずです。
日本のエネルギー自給率はわずか4%です。将来を考えると、化石燃料資源に頼らない再生可能エネルギーの確保は急務です。日本が縦に長いことや国土の7割が森林という地形、周りは海に囲まれていることなどを考えるといかにその地域に適した自然エネルギーを取り入れていくかが重要になります。また、自然エネルギーを取り入れる場合、1つの方法に頼るよりも上手く組み合わせて利用することも大切でしょう。さらに、環境問題や災害時などを考えると、大型施設に頼るのではなく私たち個人でできること、地域や地区でできること、県や国でできることというように、エネルギー確保のあり方も多様化せざるを得ない時代がくるかもしれません。
その中でも、CO2を排出せず、効率的に熱として使うことできる太陽熱エネルギーの利用はもっと真剣に考えるべき再生可能エネルギーといえます。

◆いろいろな利用方法

太陽熱を効率的に利用する主な方法は下記のとおりです。

□給湯

図5のグラフで示したように、1979年から1980年代前半に日本で太陽熱利用が普及したのは、この給湯設備においてです。日本の太陽熱利用温水器の技術は世界的にも高水準です。かつて、主流だった集熱パネルと貯湯槽が一体になったタイプより、現在は貯湯槽が分離設置できるものの方が、屋根への負担が少ないため人気が高くなっています。

□温風

太陽熱で極めて効率的に加熱された空気を室内に取り込み循環させる、簡単で省エネ効果の高い利用方法です。主な方法としては、壁にパネル(ソーラーウォール)を設置し、室内にファンを使って温風を送り込むタイプと屋根にパネルを設置し小屋裏に設置したファンを使ってダクトを通して、床下まで温風を送り、床に作られた送風口から温かい空気が自然と出てきて部屋を暖めるタイプがあります。後者の床下から温風が出てくるタイプは、床そのものも暖められるため、床暖房にもなり冬のヒートショックを防ぐ健康的な暖房設備といえます。
最近では、温風だけではなく、間接気化冷却器も併設することで、冷たい空気を部屋に送風することができる設備も開発されています。

太陽熱の利点と利用状況

□ソーラーシステム

給湯、温風暖房、床暖房、空調と複合的に太陽熱を利用するシステムの開発も進んでおり、主に水式と空気式の2つのシステムがあります。どちらも天候などにより集熱量が不十分な場合の給湯は、補助熱源により加熱します。
①水式ソーラーシステム(図8)
太陽集熱器により高温に達した不凍液などの熱媒体をポンプで循環させます。
蓄熱槽の中に蓄えた水を、蓄熱槽内の熱交換器により温めてお湯にします。
暖房用配管、循環ポンプなどを備えて、温風暖房、床暖房などにも使用できます。
冷凍機などを組み込むことで、冷房も可能にします。

太陽熱の利点と利用状況

②空気式ソーラーシステム(図9)
ガラス付集熱面などで高温に達した空気を、屋根裏部屋に設置した送風機ユニットで床下に送付します。
床下の蓄熱コンクリートに蓄熱させ、室内に取り込み暖房します。
蓄熱槽の中に蓄えた水を、送風機ユニット内などの熱交換器により、温めてお湯にします。

太陽熱の利点と利用状況

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