ちょっと本格的なDIY講座~住まいの学習館(通信講座)~

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通信講座No.051 「室内を全面的に改装して、気分転換したい気持ちはありませんか?」

講座No.051-2 「リフォームで気分転換と健康性能のアップ」

間取りを変えるような全面的リフォームでは、大規模な工事になる可能性が高くなります。限られた予算内で希望や要望をできるだけ叶えるようにすることも大切ですが、使い勝手の良さだけに固執せずに、住まいの健康性能についても検討してみましょう。

◆断熱化で健康性能もアップ

リフォームで気分転換と健康性能のアップ断熱性能の高い家に住む人ほど、慢性疾患にかかる割合(有病率)が低いことが、「CASBEE」(建築環境総合性能評価システム)のデータから分かっています。「CASBEE」は、省エネルギーや環境負荷の少ない資材や設備機器の使用といった環境配慮はもとより、室内の快適性や景観への配慮なども含めた建物の品質を総合的に評価するシステムで、断熱性能もその評価に含まれています。「CASBEE」の評価が高い住宅に住んでいる人ほど健康チェックリストのスコアが高く、さらに、図1が示すように、健康チェックリストのスコアが高い住宅に住んでいる人ほど、慢性疾患にかかる割合が低いうえに、風邪やアレルギー症状、脳疾患、高血圧などの頻度も少なくなっています。そこで、全面的リフォームの際には、ぜひ住まいの断熱化も一緒に行って住まいの健康性能を向上させましょう。

□壁の断熱化

リフォームで気分転換と健康性能のアップ壁の断熱化のためには、断熱性能の高い断熱材の充填や熱伝導率の低い壁材による内装リフォームがお勧めです。外壁のリフォームも一緒に検討されているのであれば、遮断熱塗料による外壁塗装もよいでしょう。リフォームの具体的なポイントについては、通信講座No.017-3 「本格的な壁リフォームのポイント」をご参照ください。
図2のように断熱性能も高く、調湿効果もある壁材を使用すれば、夏は調湿効果により体感温度を下げることが出来て、省エネにも効果的です。通信講座No.029-2 「湿度管理で快適な住まいづくり」は、体感温度について詳しい説明がありますので、ご参照ください。断熱性と調湿性のある壁材には下記のようなものがあります。

①珪藻土
内装材として珪藻土を売りにしている新築物件も見られるほど、最近はすっかり耳慣れた珪藻土は、コテなどで塗布する左官材として一般的には使用されますが、珪藻土を混入したビニールクロスなども最近は発売されています。珪藻土は、藻類の一種である珪藻の殻の化石の堆積物(堆積岩)です。珪藻の殻は二酸化ケイ素でできているため、珪藻土もこれを主成分としています。混入している粘土粒子などの色の違いにより、珪藻土の色は白色、淡黄色、灰緑色と産地によってさまざまです。耐火性と断熱性に優れ、高い保温性と程よい吸湿性で昔から壁材として使われてきました。珪藻土そのものには接着能力はないので、壁材としては石灰やアクリル系接着剤や樹脂を混ぜて使用されるのが一般的です。したがって、珪藻土を数パーセントしか含まないものも多く流通していますので、何がどのくらい含まれているのか確認して選ぶようにしましょう。

②石灰岩・貝殻
石灰岩や貝殻を焼成すると、成分が酸化カルシウムの生石灰になります。ちなみに、石灰岩からできた生石灰を石灰(いしばい)、貝殻からできたものを貝灰(かいばい)と呼びます。
生石灰に水を加えると成分が水酸化カルシウムの消石灰になり、消石灰に水を加えて練り合わせて壁に塗ると、空気中の二酸化炭素と反応して硬化します。消石灰を水で練ったものは粘性に乏しいので、壁材としての作業性を向上させるために角又(つのまた。暖海の岩上に生育する海藻)などの糊やスサと呼ばれる植物繊維を混ぜて補強したものが漆喰です。防火性が高いのが特徴で、古くは城や土蔵に使われたりしました。また、調湿機能も持ち、季節の変化に耐え、カビがつきにくいという性質をもつため、今でも押入れの壁などに使われることもあります。そのほか、遮音性や遮光性にも優れています。乾燥後の収縮率が高いためひびが入りやすいのが欠点といわれています。 ヨーロッパの建築にも石灰が使われています。それは消石灰に川砂だけを混ぜた石灰モルタルや生石灰を大量の水で消化させ寝かせてペースト状にした生石灰クリームです。生石灰クリームは、消石灰に比べて、硬化後の収縮が少なく表面硬度が硬いうえに、コテによる艶が出やすい特徴があります。

③シラス
シラスは、2万5千年前、現在の鹿児島湾北部を火口とする姶良カルデラの大噴火によって発生した火砕流が堆積したもので、マグマの超高温で焼成された高純度のセラミック物質です。南九州はシラスによる広大な台地から形成され、シラス地層の厚さは数十mから150mにもなります。非晶質の割合が60~80%もあるシラスは、火山灰や他の火山噴出物とは全く異なる特異な性質をもっています。非晶質は、分子構成が不安定で活性化し、環境によって触媒反応等が起きやすくなることから、消臭・分解・殺菌・イオン化などの機能を発揮すると考えられています。
シラスを原料とした壁材(図2)は、漆喰や珪藻土とも違った独特の風合いと色合いが特徴です。調湿、消臭性能に優れ、ホルムアルデヒドを吸着して再放出しません。また、多孔質なシラスの特性で、断熱性、防火性にも優れています。シラスは、すでにマグマの超高温で焼成された高純度のセラミックですので、珪藻土や石灰のように焼成する必要がなく、製造過程においても省エネで環境に優しい材料といえます。
図3~図4は、シラス壁の吸湿・放湿試験の結果です。15×15cm大のシラス壁を湿度93%(温度約30℃)に設定した10リットルのデシケータに入れた場合と何も入れない場合を比較計測しました。なお、試験ではあらかじめ90℃で、3時間乾燥したシラス壁を冷却後、投入しています。また、放湿試験では、吸湿性能の実験を終了したサンプルを遅滞なく、湿度17%(温度は約23℃)に設定した10リットルデシケータに入れて計測しました。
図の赤い線がシラス壁を入れた時の数値で、グレーの線は何も入れなかった時の数値です。吸湿については、30分後には54%、60分後に45%程度となり、以降安定します。放湿については、35分後には25%、80分後に27%,250分後には28%となり、以降はゆっくりとした変化となります。

リフォームで気分転換と健康性能のアップ

□窓の断熱化

窓からの熱の侵入出割合は、壁や床よりも高いため、断熱性能の高い窓に換えることは、住まいの温熱環境を大きく改善します。工事としては、サッシごと交換するか、既存のサッシによっては、ガラスだけ交換できるものもあります。図5のような内窓の設置は、簡単な工事で効果が大きいのでお勧めです。ひと窓あたり1時間ほどの施工で行えます。内窓は、結露防止や外から侵入する騒音を低減するのにも高い効果を発揮します。さらに、内窓と一緒に新しい枠が設置されるので、内装リフォームと一緒に行うことで、バランスよくコーディネートできます。住宅エコポインントの対象でもあります。

リフォームで気分転換と健康性能のアップ

□床の断熱化

お勧めは、無垢(単層)のフローリング材です。図6のように木には無数の空気層があり、その構造が断熱材と同様の効果を発揮します。財団法人日本木材総合情報センターによれば、スギの熱伝導率は、熱絶縁材料と云える、鋼材の480分の1の0.08です。さらに、無垢材には調湿作用があるため、部屋が乾燥している時は水分を吐き出し、湿気が多い時には余分な湿気を吸収して、湿度を快適な状態に保ちます。この調湿効果により、冬は暖かく、夏は涼しく感じる室内環境をつくることができます。

リフォームで気分転換と健康性能のアップ

◆自然素材活用で健康性能もアップ

住宅が及ぼす健康への影響についての研究や調査を行っている大学や企業があります。それらの調査や研究によって、使用する建材が及ぼす影響についても明らかになってきていますので、ご紹介します。

□内装の木質化で睡眠効率や学習効率が向上

図8は、慶應義塾大学伊香賀俊治研究室が高知県の自治体と協力して行っている調査結果の一部です。室内の内装を床・壁(一部)・天井に無垢材を使用した住宅とビニールクロスやビニールシートを使用した住宅で睡眠効率と学習効率を比較したところ、主観評価だけではなく客観評価でも向上する結果が得られています。

リフォームで気分転換と健康性能のアップ

□木材への接触による血圧の低下

リフォームで気分転換と健康性能のアップ財団法人日本木材総合情報センターによれば、目を閉じた状態で、木材6種類(ヒノキ、キリ、ナラ、それぞれを鋸で切った面と鉋で削った面2種ずつ)と、ガラス、金属、ビニール、紙やすり、ゴザ、人工芝、タワシ、タオル、綿の合計15種類の素材に触らせ、血圧や脳波の生理応答測定と官能評価による印象の調査を行ったところ、図9が示すように木材に触ると血圧が低下することが分かりました。官能評価で不快であると評価されていたガラスへの接触は血圧の上昇を起こしていました。

□シラス壁で得られるより良い睡眠の質

株式会社高千穂と東北大学若島孔文准教授との協力研究の結果、寝室にシラス壁を使ったほうが、より良い睡眠を得られる傾向が明らかになりました。

□揮発性有機化学物質が及ぼす免疫系

国立環境研究所の研究によれば、トルエンなどの揮発性有機化学物質は神経―免疫系へ影響を及ぼすことがマウスの実験で確認されています。
このように、断熱化や自然素材の活用は、単に間取りを変えるリフォームではなく、快適且つ健康的な住まいづくりを可能します。せっかくの全面リフォームの機会をより有意義なものとするために、材質についてもよく考えてみましょう。

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