通信講座No.075 「効果的に光熱費削減!節水での取組!」
2015年1月23日、電気事業連合会が発表した12月度の電力需要実績(速報)によると、電力会社10社の販売電力量の合計は前年同月比1.3%減の678億8500万kWhとなり、8ヶ月連続で前年を下回りました。そのため、電力会社10社が2014年に販売した電力量は15年ぶりの低水準となりました。全国各地で例年以上に寒い日が多かったにもかかわらず、電力の需要が増加しなかったのは、企業や家庭で電気の使用量を抑えるような取り組みが盛んに行なわれたためだと考えられます。日本商工会議所の調査では、今後さらに電気料金が上昇した場合、人員や人件費の削減を検討すると答えた企業が全体の56.5%に上りました。電力コストは、東日本大震災(2011年)直後の1年間と調査直前の1年間を比べると平均で3割近く上昇しており、6割近い企業から「現時点の単価も受け入れられない」という回答が寄せられている状況です。このことからも震災後の電気料金の値上げが、企業や家庭に大きな危機感を与え、電気の使用量を抑えようという動きを継続させている大きな要因であると考えられます。社会的に節電に対する意識は高くなってきていますが節水・節湯については、まだそれほど関心は高まっておりません。実は、節水・節湯によっても光熱費の削減に大きな効果が期待できます。そこで今回は節水に関わる光熱費削減の方法を提案します。
図1は家庭で使われる水の使用量の内訳を示しており、トイレ28%、風呂24%、炊事23%とトイレでの水の使用が最も多くなっています。トイレでの節水で最も効果があるのは節水型トイレを設置することです。
既存のトイレでは一回の洗浄に約13Lの水を使用していましたが、現在の節水型トイレは流れ方や構造の改良によって、約60%の水量で洗浄することが出来ます。試算によると4人家族で年間約45,260Lの水を削減でき、金額にして年間約14,700円の光熱費を節約することが出来ます。
節水による光熱費の削減をより効果的にするには、節湯することも重要です。お湯は水道代の他に、ガスや電気といった公共料金が複数かかりますから、節湯による光熱費の削減効果は大きくなります。
浴槽のお湯の量はシャワーを20分程度使用するのと同じ量であり、夏場は浴槽にお湯を張ることにより、シャワーにする方がお湯を削減することが出来ます。この取り組みで、年間約5,150円の光熱費削減になります。
また、水を温めるために使用するエネルギーを変えるという削減方法もあります。
太陽熱温水器とは、太陽の熱をそのまま熱として利用するため、エネルギー効率が非常に高く、自然エネルギーを利用していることから、家庭で創エネルギーに取り組むことが出来ます。試算では年間光熱費を約14,500円削減することが出来ます。
上述のような節水トイレや太陽熱温水器の設置といったリフォームには初期投資が伴います。しかし、現在ではこのような省エネルギーな取り組みを後押しする制度が多くあります。省エネリフォームを補助する制度としては、「省エネ住宅に関するポイント制度(省エネ住宅ポイント制度)」があります。「省エネ住宅ポイント制度」は、一定の省エネ性能を有する住宅の新築やエコリフォームに対して、様々な商品などと交換できるエコポイントを付与する制度です。以前の「省エネ住宅エコポイント制度」では、断熱改修工事とセットでなければ節水設備改修工事は対象になりませんでしたが、制度の改正によって、節水型トイレ、高断熱浴槽、高効率給湯器、節湯水栓等の節水設備改修工事だけでもエコポイントが付与されるようになりました。
これらの省エネに係る制度の改正や新設は、現代社会の省エネに対する関心が高まっていることに加え、政府が住宅投資の拡大によって住宅市場の活性化に力を入れていることが背景にあります。現在は環境や省エネに配慮した新築住宅やリフォームに係る補助制度が多く整備されているため、この機会に、より光熱費がかからない、環境にやさしい生活を考えてみてはいかがでしょうか。
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