通信講座No.016 「照明器具が汚れていませんか?」
何気なく使っている照明器具。買う時にデザインや機能に気を使って選んでも、一度取り付けてしまえば普段はあまり気に掛けることなどないものです。ある日突然照明がつかなくなって、あわてて電球や蛍光灯を変えることはあっても、照明器具が汚れたり、暗くなったりしていることに気がつかない人も多いのではないでしょうか。
最近では、LEDのような環境や省エネを考慮したタイプの照明器具が話題になっていますし、デザインも豊富で、用途、使用目的などに応じていろいろなものが発売されています。10年、20年前と比べれば、安全性、機能性など品質も技術も大きく向上しています。しかし、どの製品も、私たち使う側が正しく使ってこそ、その機能性や安全性が生かされるのです。そのためには、照明に関するさまざまなことを知っておく必要があります。
そこで、まずは正しいお手入れ方法や器具のチェック方法を確認しましょう。
照明カバー、電球(蛍光灯)、コンセント、コード、スイッチ引きひもなどをいつ掃除しましたか?メーカーでは、器具の清掃は6ヶ月に1回程度は行うよう勧めています。電球(蛍光灯)や照明カバーにホコリや汚れが付くと明るさは著しく低下し、気がつかないうちに電気を無駄に使っていることになります。特に蛍光灯は、器具の表面積が大きく、汚れの影響が多くなりますので、定期的に掃除をするようにしましょう。
化学ぞうきん
塗装面などのホコリ取りに適していますが、照明カバーに使われている透明ガラスや白木には、しみや油膜がついて不向きです。
スプレー式ガラス洗剤
細かい凹凸のあるガラスカバーには、一度スプレーをしてから水洗いすると汚れが取れやすくなります。水洗いしたら、柔らかい布で拭くようにしましょう。
中性洗剤
中性洗剤はほとんどの器具に使えますが、木製・布製・和紙製の器具には使わないようにしましょう。
アルカリ系洗剤
アルカリ系洗剤は器具を傷める可能性があるので、使用しないでください。カバーなどの強度低下につながり、破損の原因となることもあります。
はたき
木製・布製・和紙製の器具には、こまめにはたきをかけることが汚れを防ぐ一番良い方法です。
ブラシ
はたき同様こまめにホコリをおとすには有効です。細かい部分には柔らかいブラシを使うとよいでしょう。
せっけん
泥汚れに強く、油を遊離し汚れを浮き上がらせて落としやすくします。固形、粉末、液体のものがあり、スーパーやドラッグストアで手に入ります。成分表示に「純石けん○%」と書いてあるのを確認して購入しましょう。せっけんは使用後、水中で生物によって分解されやすく、また酢やクエン酸をかけると中和されてしまうので、人にも環境にもやさしいエコお掃除におすすめです。キッチンの照明や汚れのひどいものに使うとよいでしょう。
重曹
油汚れやほこりに強いうえに、たいていの汚れより固く、樹脂(プラスチック)より柔らかい粒なので、傷つきやすい素材についた汚れを落とすのに効果的です。ふりかけ容器に入れておいて使うと便利です。薬として薬局で売られているほか、スーパーなどでも掃除用を取り扱っています。分包の製菓材料は割高なので、大袋入りがおすすめです。キッチンの照明や汚れのひどいものに使うとよいでしょう。
酢水 ・クエン酸
水アカ、せっけんカスなどのアルカリ性の汚れを中和して落とします。スーパーで「食酢」の表示を確認して購入しましょう(寿司酢などの「調味酢」は使えません)。そのままでは刺激が強すぎるので、酢と水を半々に薄めたものを使います。まとめてつくってスプレー容器などに入れておくと便利です。酢の臭いが気になる人は、薬局でクエン酸を購入し、水1カップにクエン酸小さじ1杯を溶かして使いましょう。浴室の照明などに使うとよいでしょう。
炭酸水
ガラスは、炭酸水をさっとスプレーしてふくと、曇りがスッと楽に落ちます。食品なので、小さな子どもの口に入っても安全です。砂糖の入っていないタイプのものを購入し、スプレーボトルに詰め替えて使いましょう。
せっけんのいらない「アクリルたわし」
アクリル100%の毛糸でざっくりと編んだ「アクリルたわし」は、水をつけてこするだけでたいていの汚れが落ち活躍しますので、せっけんなどを使えないときにも便利です。油汚れはあらかじめ新聞紙やペーパータオルでざっとふいてから、アクリルたわしに重曹をふりかけてこすれば、きれいになります。市販品もありますが、手編みでも簡単。編むのが面倒なら、アクリル毛糸を適当な大きさに丸めて縛るだけでも代用できます。
静電気ハタキ
静電気の力でホコリを吸い取るタイプのハタキは、ホコリを散らさず乾いたまま吸い取ることができ、手の届きにくい細かい場所にも使えるので便利です。100円ショップやOA掃除用品コーナーで手に入ります。ホコリを溜めないように普段のお手入れに使うとよいでしょう。
その他
軍手や厚手のストッキングは、ほこりを落とすときに手にはめて使えます。もちろん古いもので構いません。
材質に合った方法で掃除をすることが器具を傷めず、長持ちさせるポイントです。上記で説明した一般的掃除道具やエコな掃除道具を使って材質に合った清掃を行いましょう。
・お手入れの際は、必ず電源を切って行いましょう。
・電気の通る部分には、水をつけないように気をつけましょう。
・シンナー、磨耗性クリーナーは使用しないでください。
・サンドペーパーなどで擦らないようにしましょう。
・電球などは無理やりソケットにねじ込まないように気をつけましょう。
・直管蛍光灯を取り付ける時は、ソケットに完全に入っているか必ず確認してください。
・丸型蛍光灯の取り付けや取り外しの時は、ランプの支持金具で強くはじかないよう気をつけましょう。
・取り付け時は、落下防止のため、カバーなどが完全に固定されているか十分に確認してください。
・ひとつの照明器具に複数のランプがついている場合は、悪いものだけではなく他のランプの寿命も近いので、同時に交換することをおすすめします。
・電球や蛍光灯の中には小さな金属粒が入っています。電球や蛍光灯を動かすと音がしますが、異常ではありません。
いかがですか。正しいお手入れ方法は決して難しいことではありません。器具の材質に合わせて定期的に清掃を行うだけで、機能を十分に発揮し無駄や負担をかけずに使用できるというわけです。結果、省エネにもつながるのです。ぜひ習慣にしていきましょう。
では、次に安全、且つ快適に使用するためのポイントについて確認しましょう。
各メーカーや社団法人日本照明器具工業会では、安全上の観点から照明器具の交換時期は8~10年が目安としています。外観に異常がなくても内部の劣化は進行しています。もちろん、設置環境や使用状況などさまざまな条件により個々に寿命の差はありますが、8~10年を目安に交換も考えた計画を立てておきましょう。使用年数の他にも、下記を参考にしてください。
①カバーなどが劣化変色し、所定の性能が得られなくなったときは、交換時期です。
②蛍光灯の照明器具についている安定器は、平均寿命40,000時間(8~10年)です。同時に、ソケット、スイッチ、パッキンなども劣化してきます。なお、パッキンは、防水(防湿)型照明器具(玄関ポーチ、浴室、庭園灯、門灯などで使われる)にとって、安全上重要な部材のひとつです。器具によっては、交換用パッキンを購入できるものもありますので、器具全体に劣化がなく、寿命的にも問題がなければ早めに交換しましょう。
③蛍光灯は、長年使っていると明るさも落ちてきますので、早めに取り替えましょう。蛍光灯の両側が黒ずんでいたら交換時期です。また、蛍光灯がパチパチと点滅したら、グロースターター(点灯菅)も寿命なので交換しましょう。
・節電・省エネの基本は、使っていない部屋の電気は消しましょう。図4はどのくらいの効果があるかを示したものです。
・蛍光灯にも、省電力化されたものがいろいろ発売されています。器具本体に適合したものを選んで使用しましょう。
・調光機能がついているものは、有効的に利用しましょう。リラックスしたいときやくつろいでいるときなどは、明るすぎる照明の下ではかえってストレスを感じることがわかっています。(詳しくは次回の講座をお読みください。)
・可能な限り、白熱灯の替わりに長寿命で高効率な電球形蛍光灯を使用しましょう。(図5)ただし、使用可能器具かどうかを確認して使用するようにしましょう。間違った使い方は、器具を傷めたり、火災の原因になったりします。図6と図7は、電球形蛍光灯を使用した場合の節電効果を示したものです。ちなみに、54Wの白熱電球と同じ明るさに相当する12Wの電球型蛍光灯を比べると、図7のように電球形蛍光灯は白熱灯の約6倍、電気代は4分の1以下です。白熱灯用のソケットにも取り付けられる電球形蛍光灯の価格は高めですが、電気代が少なくてすみますので、結果的にはお得になります。